以上のように、海外製品の取り売りを行う業者にとっては、クラウドファンディングの利用はメリットばかりで、デメリットはほとんどない。クラウドファンディングサイトを運営する側も、売れる品が増えれば文句のあろうはずがなく、今後こうしたスタイルはさらに増えると考えられる。
一方で、その参入障壁の低さから、「技適」などの認証がないガジェット製品をうっかり売ってしまうような、対応が未熟な業者が参入してくる懸念はある。また過去に起こした製品未着などのトラブルにより、社名を前面に出してビジネスを行うのが難しくなった業者にとっても、格好の隠れみのとなりうる点には、注意する必要がある。
ユーザーにできる自衛策は、せいぜい業者の代表者名で検索して、過去にトラブルを起こしていないかチェックするくらいだ。過去にクラウドファンディングの実績があっても、資金繰りは自転車操業で、気付いたときには連絡が取れず、となるケースも考えられるので、実績があるからといってイコール問題なしとはならないのも、難しい。
これらのリスクを総合的に勘案すると、クラウドファンディングにおける海外製品の取り売りビジネスは、業者にはメリットがあっても、ユーザーにとってはあまりメリットはない。確かに購入のハードルが下がるのは利点だが、海外クラウドファンディングのような「やむを得ない発売中止」とは違ったリスクがあり、大規模な詐欺事件はいつ起こってもおかしくないのが現状だ。
実際のところ、コストがかかる技適の取得など、正当な目的でクラウドファンディングを利用している業者もいるので、全てが危険と決めつけられないのも問題をややこしくしている。もし自分自身に、海外の元サイトから購入するスキルがなく、やむを得ずこうした国内クラウドファンディングサイトを経由して海外製品を買う場合、リスクの存在は十分に考慮しておいた方がよいだろう。
- 「白い製品」に「白いケーブル」を添付できないメーカーの裏事情
機器本体と、ケーブルやACアダプターの色が一致していないことはよくある話。ユーザーから見ると「なぜそんな簡単なことができないのか」と不思議に思ったりもするが、企画担当や開発担当などからすると、そう簡単な話ではない。
- PC周辺機器・アクセサリー選びで迷ったらバリエーションの多さに注目すべき理由
他社との差異化を図るためにカラーバリエーションが後から投入されるということは、オリジナルの製品が「当たり」であり、メーカーが寿命を延ばしたがっていると考えられる。つまりバリエーションが多い製品は、ユーザーにとってハズレを引かないための安全牌でもあるのだ(例外もあるが……)。
- せっかく著名デザイナーを起用したのに長続きしない製品の裏事情
社内にデザイナーがいるにもかかわらず、わざわざ社外のデザイナーを起用した製品が企画されることがある。もちろん著名なデザイナーであれば起用自体が話題になり、他社と差異化できるなどの利点はあるが、にもかかわらずこうした製品が長続きせずにフェードアウトしていくことが多いのはなぜか。そして一般に明かされることはない、社内のデザイナーに依頼しない理由とは?
- 貸出機の破損がまかり通る、メーカーと量販店の行き違い
量販店は製品を売るために店頭に試用機材を置きたがり、またメーカーもユーザーに製品のよさを伝えるためには試用してもらう機会は必要であることを認める。もっとも、実際に店頭に試用機材を置くとなると、さまざまな問題が噴出しがちだ。話題になった量販店における破損した試用機材の返品事件を例に、その裏事情を見ていくことにしよう。
- 「肉の隣にタレ」商法はPC売り場でも通用するのか
家電量販店のPC売り場に足を運ぶと、陳列されているデモ機の横に、そのPCと組み合わせて使うアクセサリーが陳列されていることがある。あまり売れているようには見えないが、PC本体の横への陳列は、メーカーにとっても、また量販店にとってもさまざまなメリットがある。その裏事情を見ていこう。
- 量販店の「プライベートブランド家電」は買いなのか
家電量販店が近年注力している「プライベートブランド家電」は、業界で1つのトレンドとなりつつある。家電量販店にとってこうしたプライベートブランド家電はどのような位置付けなのかを意識しつつ、これらメリットとデメリットをチェックしていこう。
- 買いたい人が多数、在庫もある、それでも出荷されない製品の裏事情
メーカーが何らかの事情で、限られた人にしか製品を売りたくないケースは少なくない。現在で言うと「Amazon Echo」がその典型例だろう。具体的にどのようなパターンが考えられるか、過去の失敗例なども挙げながら見ていこう。
- ネットで買った製品に開封した形跡が……あなたならどうする?
ネットで製品を注文したところ、パッケージに開封した形跡のある製品や、パッケージが汚れていたり、退色していたりする製品が届いた。そんなことはないだろうか。最近になってよく耳にするようになったこの問題は、スルーしても構わない場合と、今後そこからの購入は止めたほうがよい場合、両方のケースがある。
- 新規参入が「モノはいいけどサポートは残念」になる理由
あるジャンルでは名の知れたメーカーがいきなり新ジャンルに進出したり、未知のメーカーがある日突然ラインアップを一斉投入し、驚かされることがある。こうしたケースではたとえ製品そのものがよくできていても、思わぬところで足をすくわれることも多い。
- 購入者が知らない、店頭サンプル品をめぐる醜い争い
量販店店頭における製品のサンプル展示は、通販サイトへの対抗策という意味もあり注力する店が増えつつある。そこで用いられるサンプル製品は基本的にメーカーが負担するわけだが、現場ではその伝票処理を巡ってさまざまなせめぎ合いがある。
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