教育現場のIT化を巡るプラットフォームやデバイスの競争が激化しつつある。直近では、米Microsoftが7月に新しい10型のWindows 10デバイス「Surface Go」を発表して注目を集めたが、これも教育市場が主要なターゲットの一つだ。米国での399ドルからという戦略的な価格設定もまた、同分野で先行する米Googleの「Chromebook」対抗の意味合いが強いといわれている。
そんな米国の教育市場で多大な影響力を持つChrome OS搭載の「Chromebook」に、興味深いウワサが出回り始めた。それは「Chromebookが間もなくWindows 10とのデュアルOSブートに対応する」という、にわかには信じ難いような内容だ。GoogleはChromebookとChrome OSを使い、どのようなロードマップを描いているのだろうか。
このウワサは、米開発者コミュニティーサイトのXDA Developersが2018年8月12日に報じている。
そもそもXDAは2018年4月に「Pixelbook」が「AltOS」という謎の動作モードを備えていることをChromium Gitでの情報を基に報告しており、Chomebookが「Alternative OS(代わりのOS)」としてデュアルブートに対応する可能性を示唆してきた。
Pixelbookとは、2017年末に米国で市場投入されたGoogle純正Chromebookで、IntelのCore i5/i7プロセッサを搭載した「パワフルなChromebook」だ。ハイスペック故に価格は999ドルと、400〜600ドルの価格帯が中心のChromebookとしては比較的高いものの、ハードウェアの性能的には通常のWindows PCと変わらないため、「価格性能比では安価」という点がアピールポイントとなっている(日本では未発売)。
後にXDAは、このAltOSが「Windows 10」である可能性を示唆しており、今回あらためてGoogleのOSデュアルブートプロジェクトの詳細が明らかになったというのだ。
Pixelbookのファームウェア開発ブランチでは「eve-campfire」というものが存在しており、AltOSモードにおける一種の「Boot Camp」に該当しているという。Boot CampはAppleがmacOSで採用しているおなじみのOSデュアルブート機能だが、このGoogle版になるのが「Campfire」というわけだ。
なお、CampfireはGoogle純正のPixelbookだけに存在しているのではなく、複数のバリエーションが用意されているという。しかもデバイスごとにファームウェアが用意されるのではなく、これらのバリエーションを開発ブランチのマスターへと統合する動きがみられ、Chromebookにおける標準オプション的な扱いになっているようだ。
通常、ChromebookでこうしたChrome OS以外の動作を行う場合、開発モードでの実行が必須だが、Campfireではこのような要求仕様はなく、通常モードで呼び出せることもあり、一般公開後は多くのユーザーがこの機能を利用可能になると考えられる。
現時点でChromebookのどの製品がCampfireに対応するかは不明だが、利用には最低でも40GBのストレージ空き容量が必要になるとXDAは説明している。このうち30GBがWindows 10の領域で、残り10GBがChrome OSのリザーブとなる。
とはいえ、Windows 10を32GBのストレージ容量だけでストレスなく使うのはかなりの困難を伴うため、本当に最低限のスペックだと考えていいだろう。幸い、Pixelbookは128GBや256GBのストレージが標準装備となっているため、こうしたストレスとは無縁だと予想する。
XDAではCampfireの発表時期が近いとの予測もあり、Googleの次期スマートフォン「Pixel 3/3 XL」の発表日といわれている2018年10月4日に何らかのアナウンスがあるのではないか、とみている(Pixelシリーズも日本では未発売)。
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