4万円台で買える「ASUSTOR AS4004T」で10Gbpsの実力を発揮する(2/2 ページ)

» 2018年09月07日 10時00分 公開
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RAID/ネットワーク速度別

 まず、HDDでRAID 0(2台構成)、RAID 1(2台構成)、RAID 5(3台構成)、RAID 6(4台構成)、RAID 10(4台構成)を組み、1GbEと10GbEの両方で試してみた。比較用にシングル(1台構成)も計測している。

 結果は以下の通りだ。1GbE環境ではシーケンシャルリード、シーケンシャルライトとも大きな違いがなく、120MB/秒付近で頭打ちとなっている。これはネットワークのスループットに近く、ネットワークがボトルネックになっていることが分かる。

 そのため、10GbEに変更することで性能改善が期待できるが、結果としてはシーケンシャルリードではRAID 0の1070.3MB/秒が最高速で、857.5MB/秒のRAID 5が最低速となった。全体的に7〜9倍程度の高速化が見られる。

 シーケンシャルライトではそこまで劇的な変化ではないものの、それでも1.2〜2.6倍の改善となっている。一方、ランダムアクセスの方はデータ量が小さくなるほど10GbEの優位性は出にくくなり、むしろジャンボフレームの影響で性能が低下したものも見られる。

CrystalDiskMark 6.0.0の結果。左がHDD、1GbE、RAID 0(2台構成)、右がHDD、1GbE、RAID 1(2台構成)
CrystalDiskMark 6.0.0の結果。左がHDD、1GbE、RAID 5(3台構成)、右がHDD、1GbE、RAID 6(4台構成)
CrystalDiskMark 6.0.0の結果。左がHDD、1GbE、RAID 10(4台構成)、右がHDD、1GbE、Single(1台構成)
HDD、1GbEでRAIDごとに測定。120MB/秒あたりに壁がある
CrystalDiskMark 6.0.0の結果。左がHDD、10GbE、RAID 0(2台構成)、右がHDD、10GbE、RAID 1(2台構成)
CrystalDiskMark 6.0.0の結果。左がHDD、10GbE、RAID 5(3台構成)、右がHDD、10GbE、RAID 6(4台構成)
CrystalDiskMark 6.0.0の結果。左がHDD、10GbE、RAID10(4台構成)、右がHDD、10GbE、Single(1台構成)
10GbEに変えてみたところ。シーケンシャルが大幅に伸びていることが分かる

 また、RAID別に見ていくと、ネットワークのボトルネックが解消した10GbE環境ではシーケンシャルリードでRAID 0、シーケンシャルライトでRAID 10が最高速となっている。こちらはほぼ理論通りということになる。RAID 1ではリード・ライトともシングルに近い性能を出しており、並列多重書き込みのボトルネックがほとんどないことを示している。RAID 5、RAID 6はライトではほぼ同じ性能であることから、AS4004TのCPU処理能力の高さによって計算量増大がパフォーマンスに影響していないことが分かる。

HDD/SSD別

 次にHDDをSSDに変えた場合の性能変化を見てみよう。環境は10GbE、RAID構成は同じく、RAID 0(2台構成)、RAID 1(2台構成)、RAID 5(4台構成)、RAID 6(4台構成)、RAID 10(4台構成)、それにシングル(1台構成)で計測した。

 結果、シーケンシャルリードにおいて全構成で1000MB/秒超えを達成した。最も性能がいいのはシングルで、SSDのディスクI/O性能の良さがそのまま出た形となっている。そこにボトルネックがないために、RAID構成によるI/O改善が見られなかったということになるだろうか。ランダムアクセスについてはリードの4KiB Q8T8、4KiB Q32T1あたりまでは1GbEのシーケンシャルリード以上のスコアが出ていること、また、RAID構成の違いがほとんど見られないことからもSSDの強さが実感できる結果となっている。

CrystalDiskMark 6.0.0の結果。左がSSD、10GbE、RAID 0(2台構成)、右がSD、10GbE、RAID 1(2台構成)
CrystalDiskMark 6.0.0の結果。左がSSD、10GbE、RAID 5(3台構成)、右がSSD、10GbE、RAID 6(4台構成)
CrystalDiskMark 6.0.0の結果。左がSSD、10GbE、RAID 10(4台構成)、右がSSD、10GbE、Single(1台構成)
HDDをSSDに変えたところ。ランダムアクセスがRAID構成にほとんど左右されないことが分かる

RAID 0台数別

 RAIDは同じ方式のものであっても、構成台数を増やすことができるものもある。例えば、RAID1の台数を増やすと同時書き込みを行うディスクを2台、3台と増やしていくことになる。RAID 1の場合は利用可能容量が増えず、冗長性ばかりが向上するのでメリットは小さいが、RAID5であれば3台だと利用効率67%のところを、4台では75%、5台では80%と増やすことができる。同様にRAID 0の場合は分散書き込みの対象を増やすことでアクセスの並列率を高め、I/O性能を引き上げられる可能性がある。

 10GbE、HDDとSSDでRAID 0の構成台数を1台(シングル)から4台まで増やして計測した結果は次の通りだ。

CrystalDiskMark 6.0.0の結果。左がHDD、10GbE、RAID0(3台構成)、右がHDD、10GbE、RAID 0(4台構成)
10GbE環境でHDDを用いてシングル〜RAID 0(4台構成)で計測
CrystalDiskMark 6.0.0の結果。左がSSD、10GbE、RAID0(3台構成)、右がSSD、10GbE、RAID 0(4台構成)
こちらはSSDを用いて計測

 HDDで構成したRAID 0は期待通り、シングルよりも高い性能を出しているものの、台数を増やすことで単純に高速化するわけではなく、テスト項目によっては3台、4台構成でスコアが逆転しているものも見られる。

 一方、SSDではシングルの性能が高く、シーケンシャルリードではRAID 0によるスコア向上はほとんど見られない。一方、シーケンシャルライトは20%程度の伸びが見られる。RAID 0の性能向上は分散アクセスによるI/O性能改善であるため、そこに伸びしろがないと高速化は期待できないどころか、新たなボトルネックを生む場合もあるようだ。

10GbE環境のベスト構成はこれだ!

 幾つかのテストを実施した結果、分かったことは次の通りだ。

  • 10GbE環境ではジャンボフレームは必須
  • ランダムアクセスはジャンボフレームと相性が悪い
  • SSDでもHDDでも1GbEではネットワークがボトルネック
  • SSDの単体I/O性能はかなりよく、RAIDによって速度はほぼ変わらない
  • HDDであればRAID 0による高速化は少しだけ見込める

 もし、既に1GbE環境でAS4004Tを使っているなら、PCのNIC、10GbE対応スイッチを導入して10GbE環境にするだけで性能向上が期待できる。新規に導入するなら、SSDは冗長性・利用効率のみを考慮してRAID構成を選択すればいい。

 また、新規でHDDの場合は、冗長性と利用効率、性能を考える必要がある。冗長性と利用効率の両立を考えるならRAID 5だが、性能は低下する。利用効率50%にはなるものの、RAID 6の方が性能は高い。RAID 1は2台で構成しないと利用効率が悪くなりすぎるので、4ベイモデルのAS4004Tでは単一ボリュームでの運用を考えるとRAID 6を選択した方がよいだろう。

 10GbEによる性能向上はかなり大きく、数字以上に「速くなった」と実感できる。下手するとローカルストレージよりも高速なので、今までとは違った新たな使い方も生まれてくるだろう。10GbEに対応しながらも、手ごろな価格で購入できるAS4004Tは、これまでの常識を変える可能性を持ったNASといえる。

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提供:株式会社ユニスター
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2018年9月30日

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