次は視差についてです。まず、画面からペン先までの厚さは非常に小さいです。Cintiq Proより小さくて、感覚的にはiPad Proに近いです。
また、Cintiqシリーズなどの電磁気センサータイプと違って画面四隅でズレが出ないのも大きな利点です。Windowsは画面四隅に細かいGUIが集中しやすいですし、1mmや2mmずれるだけでも操作ミスが増えますが、本機は問題ありませんでした。
ならばCintiqシリーズより優れているのかというと、そう簡単でもないです。Cintiqシリーズはカーソル位置をキャリブレーションする機能があるので、液晶ユニットからペン先までの厚みがあっても画面中央あたりの集中して描きやすい範囲の視差は小さくなるよう調整できますし、ユーザーが自然に感じる「空想上のペン先」にも対処しやすいです。このあたりはiPad ProやWindowsタブレットでも、お絵描き用途を重視するなら対応してほしい要素ですね。
実用上は、視差の小ささから得られる精緻感やダイレクト感はジッターが大きいと台無しになりますので、片方が優れているだけではあまりうれしくないです。
本機はタッチ検知をオフにできませんので、パームリジェクションもチェックしておくことにしました。結果としてはとても優秀で、手のひらの横の面が触れた場合にはほとんどの場合タッチは検知されませんでした。それでも、小指の関節などの「点」に近い部位が触れた場合にはタッチとして検知されてしまいますので、そういう手の置き方をしないよう癖をつける必要はあります。
また、ペン先がホバー範囲(触れていないけどカーソルが追従する高さ)にある場合には、ペン先の右下、左利きの持ち手の場合はペン先の左下の一定の範囲だけがタッチ拒否されます。これもなかなか良い仕様で、右手でペンを使いながら、左手の指でツールパネルを触る、という操作がしやすいです。
といったところで……良い面もありますが、お絵描き用としては重視せざるを得ない2つの性能、筆圧とジッターが優れていないという、極めて惜しい結果でした。この時点での感想としては、
です。
それでは、実際にお絵描きに使ってみて、実際の使用感や、ここまでで気付けなかった点について見ていきましょう。
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