さて、Surface製品でここ2〜3年特につきまとっているのが「MicrosoftがどこまでSurfaceに本気なのか」という話題だ。昨今は株式市場でMicrosoftの時価総額がAppleのそれを再び上回って話題となったが、これもクラウドとAI重視を掲げるCEOのサティア・ナデラ氏の手腕やビジョンが評価されてのものだ。
それだけに、なかなか利益を生み出しにくいハードウェアビジネスのSurfaceに対する評価は同社全体のそれに比べて低く、Windows OS開発の位置付けが格下げされる背景の中、「MicrosoftがいつSurfaceから撤退するのか?」といった声にもつながる結果になっている。
だが英Independent紙のインタビューでパネイ氏は、インタビュアーのAdrian Weckler氏に対して「今後もSurfaceビジネスは続けていくし、仮に5年前に同じ質問を受けていたとしても確信を持って同じ回答をしていただろう」と述べている。ナデラ氏からの反応も「ソフトウェアを最大限に生かせるハードウェアの可能性を模索し、将来的なMicrosoftの成長につなげるビジネス」としてSurfaceが位置付けられており、CEOが示すビジョンから外れていない点を強調している。その意味で、MicrosoftがSurfaceでどこまでやれるのか、今後も楽しみに待ちたいと思う。
Microsoftの2019年のハードウェア製品として忘れてはならないのは「HoloLens 2」だ。以前のレポートでサムス氏が「2019年第2四半期が現在のターゲット」と報じていたが、現在量産ベースでの課題が解決すれば2019年春に製品が発表され、夏ごろには出荷される見込みとなっている。
特徴としては、AIコプロセッサ「HPU 2.0」の搭載によって画像やモーション認識機能が強化され、ディスプレイの視野角問題がある程度改善される他、ハードウェアが小型化されることが見込まれている。
これに加え、新たにNeowinが12月10日(米国時間)に複数の情報源の話として報じているのは、次世代HoloLensに「Snapdragon 850」が採用される可能性が高いといううわさだ。
Snapdragon 850は、Qualcommとしては初の「PCをターゲットとしたSoC」であり、現行版のHoloLensに搭載されているIntelのAtomプロセッサを置き換えるものとなる。さらに850の特徴として「Snapdragon X20 LTE modem」を搭載しており、これによりLTE接続を可能とする。
現状のHoloLensはスタンドアロンでの運用も可能だが、インターネット接続にWi-Fi環境が必須となっている。そのため、アプリケーション次第ではあるものの、屋内中心で運用環境の制限を受ける傾向がある。もしLTEによる携帯ネットワーク接続が可能になれば、従来の枠を飛び越えたアプリケーションの登場や活用場面が増えることになるだろう。基本性能の向上もさることながら、おそらくはHoloLens 2での一番大きな変化はここかもしれない。
最後の話題として挙げる“ハードウェア”がWebカメラだ。4K対応かつWindows Hello対応のMicrosoftブランドのWebカメラが2019年に市場投入される見込みだという。本件を報じているのはThurrott.comのポール・サーロット(Paul Thurrott)氏で、Surface以外のPCに加え、Xbox Oneでの利用が可能だという。
インタフェースとしてUSB Type-Cに対応し、2019年後半にも登場するSurface Hub 2向けの提供も行われるようだ。Windows Helloの顔認証を手軽に利用する仕組みがまだ限られる中、ビデオ会議への応用も可能な4K対応Webカメラは広く需要があると思われ、主にエンタープライズ向けを中心に訴求していくことになると予想する。
MSPoweruserも「Most popular Xbox Kinect feature coming back next year」のタイトルで同じように報じていたが、2017年に“レガシー”としてひっそり消えていったKinectの技術が翌々年の2019年に別の形で復活するのは非常に興味深い。
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