「Cintiq 16」と海外産の廉価液タブを徹底比較 人気プロ絵師が描き心地をチェック(5/6 ページ)

» 2019年01月08日 14時00分 公開
[refeiaITmedia]

線画を描いてみる

 気を取り直して線画を描いていきます。

ほぼイメージ映像としてしか機能してないですが、めげずに張っていきます

 Cintiq 16は例によって書くことがありません。大きなラインから細かいニュアンスまで気持ちよく拾ってくれる、描くことに集中できる描き味です。

 Artist 15.6も快適に描いていけます。ペン先が沈み込むのも気にならなくなってきます。ごく微妙にですが、マット面としてはやや滑りやすく、線が不安定になりやすいと感じました。また、後述しますが、XP-PenとHUIONの3機種はちょっとしんどい問題を共通して抱えています。

 Artist 16 Proも、反応もよくて滑らかに描けます。バッテリーペンのおかげか、画面端付近のカーソルのずれかたも小さくて、四隅のGUIを操作しやすかったです。ただ、先に述べた座標取得の問題で、ズームアウト状態での描き方によっては線が不安定になりやすいのは少しだけ気になりました。

 Kamvas Pro 13は反応は良いのですが、ジッターが出るのはうれしくないです。線画では特に重要で、ジッターが出づらい描き方を維持せねばならないのは快適とは言い難いものですが、髪の毛のような素早いストロークでは問題があることには気付かないと思います。

持ち手によってカーソルがズレる問題

 普段自然に描いていると意識していないこともあると思いますが、ペンは意外といろんな角度で使っています。例えば、頬のラインを描くときに人差し指の関節を使って滑らかに描いたり、あるときは手首を支点に描くこともあるでしょう。そういうときには自然に手首を上側に持っていたりして、画面に対するペンの角度は刻々と変わります。

これほど露骨にでなくとも、手首の向きを変えたりして描きやすい持ち手にすることは日常的にしているはずです

 こういう動かし方をしたときにXP-PenとHUIONの3機種はどれも、ペン先とカーソルの位置が数mm程度ずれてしまい、ストロークに失敗したり、ズレたカーソルを注目しながら描くという不自然な描き方が必要になりました。Cintiq 16はさまざまなペンの角度で、ペン先とカーソル位置は一致していました。

彩色してみる

塗りの工程が一番、差が見えにくくなりました

 どの機種も反応もよく、どんどん塗っていけます。ただし、ごく薄く塗りたいときのフェザータッチの自然な感触は、ペン先が沈み込まないぶんCintiq 16が一枚うわてです。塗りの効率自体はどの機種も大差なく、検知可能最大筆圧の差についても、今回の自分の作業では困るシーンはありませんでした。

 発色については、XP-Penの2機種は青みが強いのが気になり、Proが付く2機種はいつも通りに色を選ぶと発色がキツい場合があるのが気になりました。

 というわけで完成です!

実は去年の夏に完成していた絵でした。

 全体的に、発色の問題や持ち手を変えたときのカーソルのズレを除けば、どの機種も思ったよりずっと、同じ感覚で作業していられる時間が長いのが印象的でした。

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