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「世界最軽量」よりも「バランス」――LAVIE Pro Mobileの新たなる挑戦(1/3 ページ)

» 2019年05月15日 13時20分 公開
[井上翔ITmedia]

 2012年に登場した「LaVie Z」を含め、4世代続いてきたNECパーソナルコンピュータ(NECPC)の超軽量モバイルノートPC「LAVIE Hybrid ZERO」。5月14日、その後継として「LAVIE Pro Mobile」が登場した。

 今まで「世界最軽量」にこだわって開発を続けてきたLAVIE Hybrid ZERO。しかし、その後継たるLAVIE Pro Mobileは、世界最軽量には“こだわらなかった”という。一体なぜなのだろうか。

LAVIE Pro Mobile LAVIE Pro Mobile(店頭販売モデル、左からメテオグレー、クラシックボルドー、フレアゴールド)
LTEモデルの内部 直販モデル(LAVIE Direct PM)のLTEモデルの内部構造。右上の銀色のものがLTEモジュールだ

「軽量化」で犠牲にしたことがある

河島良輔執行役員 LAVIE Pro Mobileをお披露目する河島良輔執行役員

 初代のLaVie Zは、日本のPC市場に「1kg以下の超軽量モバイルPC」という新ジャンルを打ち立てた。この分野では国内メーカーを中心に「世界最軽量争い」が進み、2018年時点でモバイルPCの出荷台数の約19%が12型以上かつ1kg以下のモバイルPCだという(NECPC調べ、個人と法人の合算値)。

 NECPCの河島良輔執行役員によると、このような超軽量モバイルPCへのニーズは「日本独自のもの」だという。「(都市部を中心に)電車通勤をする人が多く、重すぎると(ショルダーバッグ)が肩に食い込んでしまう」(河島氏)といった事情があるからだ。

軽量モバイルは市民権を得ている 軽量モバイルPCはモバイルPC全体の出荷台数の20%近くを占めるようになった

 出荷されるモバイルPCの2割が超軽量モデル――そう言うと聞こえが良いかもしれないが、見方を変えるとモバイルPCの8割が超軽量モデル“ではない”ということにもなる。

 では、その「8割」のモバイルPCは何を基準に選ばれているのだろうか。そういうPCでは「質感」「バッテリー」「剛性感(丈夫さ)」がアピールポイントになることが多い。これらはLAVIE Hybrid ZEROが世界最軽量を追究する中で“犠牲”にしてきたものに他ならない。

犠牲にしてきたもの 世界最軽量のタイトルを守るために犠牲にしてきたものは少なくない

 「働き方改革」が叫ばれる中、個人のPCを仕事にも使うユーザー比率が高まっている。そういう昨今の状況を踏まえ、コアテーマを「世界最軽量の追究」から「モビリティ(可搬性)、剛性感、デザイン、生産性を高いレベルでバランスすること」に変えたのが、今回発表されたLAVIE Pro Mobileなのだ。

コンセプトを変更 コアコンセプトを変更し、バランスの良さを重視する方向に

重量は「900g以下」で十分 バッテリーはあえて「L」に

森部浩至マネージャー 商品企画担当の森部浩至氏

 世界最軽量を追うことをやめたLAVIE Pro Mobile。とはいえ、モバイルPCは“持ち運ぶ”PC。ある程度の本体の軽さは求められる。

 一方で、従来のHybrid ZEROでは手薄だったバッテリー持ちも“持ち運ぶ”上では重要な要素。しかし、それを重視してやみくもにバッテリー容量を増やすと、その分本体は重くなってしまう。

 どうバランスを取るべきか――LAVIE Pro Mobileを開発するに当たって、NECPCはユーザーアンケートを実施。すると、回答者の80%は「900g以下」「バッテリー持ち20時間以上」で満足するということが分かった。

 この“80%ライン”に従い、900g以下の重量で20時間以上のバッテリー持ちを確保しつつ、デザインや剛性感を向上し、使いやすさを高める方針が固まった。

アンケートの結果 ユーザーアンケートの結果、900g以下かつ20時間以上のバッテリー持ちを確保する方向で開発を開始

 これに従い、今回の店頭販売モデルは「L(大容量)バッテリー」を標準とし、約20時間(JEITA測定法 Ver.2.0基準)の連続稼働を実現した。

 実際のバッテリー持ちは実利用状況によって変わるが、商品企画担当の森部浩至氏が大阪出張時に店頭販売の上位モデル(PM750/NAR)で実際に試した所、8時間の利用で残量45%になったという。筆者の経験と合わせて考えると、公称値で約20時間あれば「終日外出」程度であれば十分すぎるほどに使えるはずだ。

 それでいて、重量は約837gと、ターゲットとした「900g以下」を余裕で満たしている。先代の大容量バッテリーモデル比で6g増に抑えられている。持ち運びもしやすい絶妙な重量だ。

 なお、Web直販モデル(LAVIE Direct PM)のCore i3/i5構成では「M(中容量)バッテリー」も選択できる。バッテリー持ちは13.3時間(JEITA測定法 Ver.2.0基準)と若干短くなるが、重量は約783g(Core i3モデル)または約785g(Core i5モデル)とさらに軽量となる。「バッテリー持ちよりも、もっと軽く!」という人はWeb直販モデルも検討しても良いだろう。

実証 森部氏が大阪出張のある日にバッテリーだけで上位モデルを使った結果、約8時間の稼働後のバッテリー残量は45%となったという
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