Intelは9月2日(米国太平洋夏時間)、モバイル向け新型CPU「11th Gen Core Processor with Intel Iris Xe Graphics」(開発コード名:Tiger Lake、以下「第11世代Coreプロセッサ」)を発表した。主要なPCメーカーから150モデル超の搭載製品が登場する予定だ。
第11世代Coreプロセッサは、開発コード名「Willow Cove」のCPUコアに、「Intel Iris Xe Graphics」または「Intel UHD Graphics」のGPUコアを統合している。製造プロセスは10nmで、開発コード名「Ice Lake」の第10世代Coreプロセッサの後継に相当する。
前世代のCoreプロセッサと比べて、CPUのパフォーマンスは20%以上改善し、グラフィックスパフォーマンスは最大で2倍、AI(人工知能)の処理パフォーマンスは最大で5倍に向上しているという。
モバイル向けCPUとしては初めてPCI Express 4.0に対応し、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)やThunderbolt 4(USB4)も統合している。メインメモリはLPDDR4xまたはDDR4(UP3プロセッサのみ)をサポートする。
発表イベントでは、最上位となる「Core i7-1185G7」と、競合となるAMDの「Ryzen 7 4800U」との比較も披露された。とりわけ、Iris Xe Graphicsのグラフィックス性能については「モバイル向け外部GPU(NVIDIA GeForce MX350)をしのぐ」ものであるという。
先述の通り、今回発表された第11世代CoreプロセッサはIce Lakeの後継モデルとなる。そのこともあり、モデル名規則はIce Lakeと新ルールが適用される。
今回の新製品で最上位となるCore i7-1185G7は、以下のような意味となる。
GPUレベル表記は、GPU内部の「実行ユニット(EU)」数に比例しており、今回の新製品では以下の通りの意味となる。なお、いずれのGPUも「DirectX 12.1」をサポートし、8K(7680×4320ピクセル)/60Hzの外部映像出力(※)が可能だ。
(※)DisplayPort出力時。eDP(内蔵ディスプレイ向けDisplayPort出力)とHDMI出力は最大4K(4096×2304ピクセル)/60Hzとなる
第11世代Coreプロセッサは、9モデルのラインアップとなる。従来のモバイル向けプロセッサでは省電力の「Uプロセッサ」と超省電力の「Yプロセッサ」という区分があったが、今回はパッケージサイズ(モジュールのサイズ)で区分されている。
UP3(46.5×25mmパッケージ)プロセッサは、従来の「Uプロセッサ」に相当する位置付けで、DDR4メモリ(最大64GB)とLPDDR4xメモリ(最大32GB)をサポートする。TDP(熱設計電力)は12〜28Wで、メーカーによって調整される。
Intelのデータベースに掲載済みのモデルは以下の通り。なお、最低クロック(周波数)はTDPが12Wの場合と28Wの場合を併記する。最高クロックが2つ記載されている場合は、前者がシングルコア時、後者が全コア時のものとなる。
その他、ニュースリリースには以下のモデルも記載されているが、TDPが12Wの場合の最低クロックには言及がない。
UP4(26.5×18.5mmパッケージ)プロセッサは、従来の「Yプロセッサ」に相当する位置づけで、LPDDR4xメモリ(最大32GB)をサポートする。TDP(熱設計電力)は7〜15Wで、メーカーによって調整される。
Intelのデータベースに掲載済みのモデルは以下の通り。なお、最低クロック(周波数)はTDPが7Wの場合と15Wの場合を併記する。最高クロックが2つ記載されている場合は、前者がシングルコア時、後者が全コア時のものとなる。
その他、ニュースリリースには以下のモデルも記載されているが、TDPが7Wの場合の最低クロックには言及がない。
Intelでは「Project Athena(プロジェクトアテナ)」というノートPCの認証プログラムを実施している。第11世代Coreプロセッサでは、これに「Intel Evo Platform」というブランドが付与される。
Intel Evo Platformは「電源を問わずレスポンスが良いこと」「9時間以上のバッテリー持ち(フルHDモデル)」「1秒以内のスリープ復帰」「30分の充電で4時間駆動(フルHDモデル)」「Wi-Fi 6(Gig+)とThunderbolt 4の実装」が要件として定められている。準拠製品には、専用のロゴが付与される。
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