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軽く薄く、そして、歴代最高のキーボードを──ThinkPad T400sで実現した究極のトレードオフ(2/2 ページ)

レノボが発表したThinkPad T400sは、ThinkPad X300の携帯性とThinkPad T400の性能を1台に融合した。開発陣が不可能を可能にした“工夫”を説明した。

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“ふくろうブレード”は第3世代へ

 次いで、磯田氏はThinkPad T400sの熱設計と省電力について解説した。熱設計では、ThinkPad T400シリーズとThinkPad T400sシリーズで比較したボディ表面温度と発生音レベルのデータを示している。ThinkPad T400sの表面温度は、測定したすべてのポイントでThinkPad T400シリーズを下回り、その理由としてボディ内部のエアフローを最適化したためと説明、発生音でもThinkPad T400sはThinkPad T400シリーズより静かであったが、こちらの理由では、ThinkPad T60で導入されて、2008年7月に発表された「ThinkPad W500/同 T500/同 T400」で改善された“ふくろうブレード”クーラーファンが、さらなる改良で第3世代になったことが紹介された。

 省電力設計については、ThinkPad T400sで通常タイプのCPUを搭載したのにもかかわらず、システムの消費電力を最適化することで、ThinkPad T400シリーズより25%少なくなったと磯田氏は説明している。ThinkPad T400sが搭載する標準の6セルバッテリーは、ThinkPad T400のバッテリーより35%薄くなり、10%軽くなった(そのため、バッテリー容量も減っている)が、バッテリー駆動時間はThinkPad T400シリーズとほぼ同じ最大約6.3時間を確保したという(ThinkPad T400シリーズは最大約6.6時間)。

ThinkPad T400とThinkPad T400sで比較したボディ表面温度と発生音レベル(写真=左)。第3世代の“ふくろうブレード”の採用で音は5%ほど静かになった。ThinkPad T400sの標準6セルバッテリーもThinkPad T400より薄く軽くなったが、省電力性能が改善されたおかげで、ほぼ同程度のバッテリー駆動時間が実現できた(写真=右)

直感的な操作を実現した意外な工夫とは

 「性能と堅牢性を維持しつつ、軽くて薄いボディを実現」したThinkPad T400sで、もうひとつ注目されるのが、「直感的に分かりやすい」と磯田氏が表現するユーザーインタフェースの改善だ。このために、ThinkPad T400sでは、キーボード、タッチパッド、指紋センサー、各種ボタンに新機軸を導入している。

 磯田氏が「歴代ThinkPadで最高」と評価し、キーボード開発担当者が「キレのあるタッチ」と呼んだというキーボードでは、「ちょっとヤワ」といわれていたThinkPad T400シリーズのキーボードを改善するべく、キーを打ち込んだ指をしっかりと支えるためにキーボードパネルベースの強度を向上させるとともに、クリック感の改善、パンタグラフ機構を構成するパーツのがたつきを減らすことによるタイピング音の低減、キーボードのすき間からごみが入らないように、隣接するキートップの間隔を狭くするといった細かい変更が施されている。

 ボディの薄型化のためにパームレストとの段差をなくしたタッチパッドでは、操作できるエリアを触っただけで認識できるようにタッチパッドの表面にドット状の突起を設けている。これは、日本の伝統工芸“印はく”をベースに採用されたもので、突起の高さ、ドットの密度を変えた多数の試作品を使ったユーザーテストで得られた最適なパターンを採用した。

 「直感的で分かりやすい操作」の実現では、本体に用意された各種ボタンにLEDを組み込み、視覚的に認識される場所とボタンの場所を一致させたと磯田氏は説明している。この工夫は、指紋センサーにも取り入れられた。レノボがユーザーに調査したところ、「指紋センサーが意外と利用されていない」というフィードバックがあり、その改善のために、指紋センサーに2色のLEDを組み込んで視覚的に利用しているのが分かるようにしたという。また、ThinkPad T400sの指紋センサーでは、パワーオン機能もサポートされ、PC起動時に指紋センサーを指でなぞれば、パワーオンとその後の指紋認証がワンアクションで済むようになっている。

直感的で分かりやすく改善されたキーボード(写真=左)。打鍵感が「歴代最高」となったほか、専用の機能ボタンにLEDを組み込こんで場所を識別しやすくしたとレノボは説明する。パームレストと段差がなくなったタッチパッドの場所を識別しやすいように、表面に突起のある「UVドット印刷」を採用した(写真=右)

ThinkPadが自動で切り替えるWiMAXと無線LAN

 ThinkPad T400sは、ThinkPadシリーズで初めてWiMAXモジュールを内蔵する(搭載モデルの正式な発表は7月以降の予定)。説明会では、WiMAXの高いデータ転送速度が紹介されたほか、ThinkPadシリーズに実装されているユーティリティの「Access Connection」がWiMAXに対応し、WiMAX基地局の検索から検出、接続まで短時間できることと、ThinPad T400sを使っているエリアの電波強度に応じて、最適な無線接続に自動で切り替える機能などが紹介された。

 説明会では、新しくなったドッキングステーションも3モデルが紹介された。搭載するインタフェースの種類によって、最上位機種の「ThinkPad ミニ・ドック プラス III」、ミドルレンジの「ThinkPad ミニ・ドック III 」、バリュークラスの「ThinkPad ポート・リプリケーターIII」が用意される。いずれも、イジェクト機構に新しい仕組みが採用され、ThinkPad本体を載せるプレートが上下に動くことで、取り付けるときの位置決めが容易になるなど、使い勝手が従来モデルから改善された。

 ThinkPad T400sのシステム構成は、CPU、ストレージデバイスなど、ユーザーが変更できるようになっている。説明会では推奨構成として2つのパターンが示されているが、中小企業向けの構成ではCore 2 Duo SP9400(2.4GHz)、メモリは2Gバイト(PC3-8500)、250GバイトHDD(1.8インチ、5400rpm)、DVDスーパーマルチドライブを搭載して19万9500円(ダイレクト価格)だ。OSはWindows Vista Business 32ビット版で、Windows XP Professional(SP3)のダウングレードも可能だ。

 構成のカスタマイズでは、CPUでCore 2 Duo SP9600と同 SP9400を選択できるほか、データストレージでは64Gバイト、もしくは 128GバイトのSSDが選べるようになる(海外モデルで用意されている25GバイトのSSDは日本モデルでは選べない)。また、内蔵ドライブではBlu-ray DISCドライブも用意される。

無線接続ユーティリティの「Access Connection」では、その場の電波状況を診断して、WiMAXと無線LANの切り替えを自動で行う(写真=左)。新しく登場するドッキングステーションとポートリプリケータでは、本体の取り付けと取り外しが容易にできるように、フローティングプレートが採用されている(写真=右)

 なお、説明会では製品が展示されていたほか、分解サンプルも用意されていた。これらの画像は別記事に掲載しているので、そちらも参考にしてほしい。

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