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「VAIO Fit 13A」――ソニーが新スタンダードを狙う“2 in 1”モバイルノートの実力最新PC速攻レビュー(1/4 ページ)

ソニーがノートPCの「ニュースタンダード」と位置付ける新生「VAIO Fit」から、モバイルに配慮した13.3型モデル「VAIO Fit 13A」を発売前に徹底チェックする。

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ココが「○」
・3つのスタイルで使えるマルチフリップヒンジ
・シンプルで上質なデザインのアルミニウムボディ
・ディスプレイ、サウンド、ペン入力にもこだわり
ココが「×」
・約1.31キロと最近のモバイルPCでは少し重い
・メモリが4Gバイト固定(直販で8Gバイト選択可)
・高機能だが価格も高め(直販で低価格構成も可)

はじめに:“2 in 1”をメインストリームに導く新しいカタチとは?

ソニー「VAIO Fit 13A」(SVF13N19DJS)

 スマートフォンとタブレットの普及が進む中、PC業界では新しい提案として「2 in 1デバイス」と呼ばれるタブレット/ノートPCの一体型デバイスを推進する動きが顕著だ。ソニーでは「VAIO Duo」と「VAIO Tap」がこれに含まれるが、Intelも2 in 1デバイス向けの省電力なプロセッサを積極的に投入し、業界全体で盛り上げようとしている。

 2 in 1デバイスはこれまで「コンバーチブル型」や「ハイブリッド型」と呼ばれ、多数のメーカーがさまざまなモデルを投入してきたが、どれも決定版といえる存在にはなり得ていない。ソニーはこの理由を、メインストリームのユーザー、いわゆる「ごく普通のユーザー」にアプローチできていないためだと分析した。こだわり抜いたスライドボディの「VAIO Duo 13」にしても、やはりごく普通のユーザー向けかどうかと考えると、コンセプトが先進的すぎる。

 2013年秋冬モデルで追加された「VAIO Fit 13A/14A/15A」は、まさにそこにターゲットを定めた製品だ。従来のラップトップ/クラムシェルノートPCの機能と使い勝手を100%確保しつつ、PCの新しいスタイル、新しい活用法を提案できる製品として開発されている。

 まずはクラムシェルノートPCとして完全であること。そのうえで「マルチフリップ」と呼ばれる独特のヒンジ機構により画面が反転し、状況に応じて2 in 1を超えた3つのスタイルに簡単に切り替えられること。これが最大の特徴だ。また、「ソニーグループの総合力を注入」とアピールするように、基本性能だけでなく、ディスプレイやサウンドの品質が高いことも見逃せない。そして、ソニーが秋冬モデルから展開しているクリエイティブアプリ群「VAIO Inspiration Suites」にも対応している。

 今回は11月30日の発売に先駆け、モバイルユースに配慮した13.3型の「VAIO Fit 13A」から店頭向けの標準仕様モデル(SVF13N19DJS)を入手したので、性能や使い勝手を見ていこう。

ボディと製品概要:金属ボディに新発想ヒンジが映えるデザイン

ボディのサイズは325.4(幅)×223.4(奥行き)×14.3〜17.9(高さ)ミリ、重量は約1.31キロ。天面に走る1本のラインは、VAIO Fit 13Aの象徴だ。最大の特徴である画面反転機構の軸であり、デザイン的なアクセントにもなっている(写真=左)。手前を絞ったくさび型のフォルムだが、天板とキーボードベゼル/パームレストはアルミニウム製で「板」を強調したデザインとなっており、金属の質感と剛性が体感できる(写真=右)
通常のクラムシェルノートPCスタイルである「キーボードモード」から画面を反転させると、対面する相手に表示を見せたり、映像コンテンツを視聴したりするのに適した「ビューモード」に切り替わる。天板が真っ二つに折れて画面が反転する「マルチフリップ」ヒンジに注目だ
ビューモードの状態で画面を倒せば、タブレットのようなスタイルでタッチ操作や写真撮影、ペン入力(デジタイザスタイラスはオプション)が行える「タブレットモード」に切り替わる
1920×1080ドット表示(フルHD)に対応する13.3型ワイド液晶ディスプレイは、広視野角のIPSパネルに専用カラーフィルターを導入して広色域にした「トリルミナスディスプレイ for mobile」を採用(写真=左)。液晶パネルとガラスの間にクリアな樹脂を挟んで空気層をなくし、コントラスト感とタッチの精度を高めた「オプティコントラストパネル」、超解像技術を含む映像高画質化エンジン「X-Reality for mobile」も備えている。画面の上には、"Exmor R for PC" CMOSセンサー搭載の92万画素カメラ、デュアルマイク、照度センサーも内蔵する。アイソレーションデザインの6列キーボードは、約19ミリのキーピッチと約1.2ミリのキーストロークを確保(写真=右)。左右ボタンを一体化したタッチパッドも105(横)×65(縦)ミリと余裕がある広さだ。キーボードの右上には「ASSIST」ボタン(メンテナンス機能の「VAIO Care」を起動)を配置している
キーボードモードで液晶ディスプレイを閉じた状態は、慣れ親しんだクラムシェルノートPCそのもの。先端を絞った前面にインタフェース類はない(写真=左)。背面の左端には、音量調整ボタンを備えている(写真=右)。「VOL」のプリントが逆向きであることから、タブレットモードでの利用を想定していることが分かる。音量調整はキーボードの「Fn」キーと「F3」または「F4」キーの同時押しでも行なえる
左側面は、奥からACアダプタ接続用のDC入力、ヘッドフォン出力がある(写真=左)。右側面の端子は、奥から電源ボタン、HDMI出力、SDメモリーカードスロット、USB 3.0(電源オフチャージ対応)、USB 3.0という内容だ(写真=右)。ステレオスピーカーは左右の手前側に内蔵している
タブレットモード時の前面(写真=左)と側面(写真=右)。反転した液晶ディスプレイとキーボード面の間にわずかな隙間ができるが、この部分も加圧試験などを行い、耐久性に問題がないことを確認済みという。なお、通信機能はIEEE802.11a/b/g/nの無線LANとBluetooth 4.0+HSを標準装備する
シンプルに見えて凝ったデザインの天面(写真=左)。肉厚のソリッドなアルミニウムに粗いヘアライン、そして光輝くダイヤモンドカットのVAIOロゴ……スタンダードなフォルムに宿る近未来的なイメージは、まさに新生VAIO Fitのコンセプトにぴったりだ。ネジや凹凸を極力減らして美しく仕上げた底面(写真=右)。マットな塗装で上質感があり、手触りもさらっとしていて心地よい。中央の手前側にNFC、奥側に"Exmor RS for PC" CMOSセンサー採用の799万画素カメラを内蔵している
オプションで筆圧検知が利用できる「デジタイザスタイラス」(ペン)に対応(写真=左)。ペンはVAIO Duo 13や「VAIO Tap 11」と同じものを採用する。付属のACアダプタはVAIO Tap 11と同じだ(写真=右)。ACアダプタは実測でのサイズが39(幅)×104(奥行き)×27(高さ)ミリ、電源ケーブル込みの総重量が215グラムと、持ち運びが苦にならない。公称バッテリー駆動時間は約12時間、充電時間は約2.5時間。5ボルト/1.0アンペア出力のUSBポートも装備し、スマートフォンなどを同時に充電できる点も便利だ

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