検索
ニュース

Let'snoteの「ふるさと」はどんな感じ?――パナソニック神戸工場見学記(1/2 ページ)

パナソニックのノートPC「Let'snote」は、神戸市西区にあるパナソニック神戸工場で作られている。一体、どのような工場なのだろうか?

Share
Tweet
LINE
Hatena

 2月17日、パナソニックの「Let'snote(レッツノート)」シリーズ初のデタッチャブルタイプの2in1 PC「Let'snote CF-XZ6」が発売となった。それに先立つ2月15日、大手量販店への初回出荷を祝う出荷式が同社の神戸工場で行われた。

 神戸工場ではLet'snoteシリーズのほか、過酷な環境下での利用にも耐えるフィールドPC「TOUGHBOOK(タフブック)」「TOUGHPAD(タフパッド)」を一部生産している。月間の生産能力は合わせて7万台弱だという。

 Let'snoteにとっての「ふるさと」である神戸工場は、一体どのような工場なのだろうか。

歴代のLet'snote(一部WOODY note)とTOUGHBOOK
神戸工場のエントランスで展示されている歴代のLet'snote(一部WOODY note)とTOUGHBOOK。筆者は「昔のパナソニックのDOS/V PCはIBMのBIOSを使っていたよなぁ……」と、どうでも良いことを思い出して遠い目になった
現行の主なLet'snote、TOUGHBOOKとTOUGHPAD
同じく神戸工場のエントランスで展示されている現行の主なLet'snote、TOUGHBOOKとTOUGHPAD
風船で浮くXZ6
今回の工場見学会の“主役”であるLet'snote CF-XZ6。タブレット(本体部)は超軽量構造(約550g)となっており、風船とつなぐと浮いてしまう

工場創立は1990年6月、PC生産は翌8月から

清水実プロダクトセンター長
神戸工場について解説するITプロダクツ事業部の清水実プロダクトセンター所長

 工場見学への出発に先立って、同社のITプロダクツ事業部の清水実プロダクトセンター所長が神戸工場の概要を報道関係者に説明した。

 現在の神戸工場は、1990年6月に同社(旧・松下電器産業)のパーソナルコンピュータ事業部のワープロ工場として竣工。翌年8月からPCの生産を開始し、1992年10月には品質マネジメントに関する国際規格「ISO9002」を同社(旧・松下電器産業)全体で2番目に取得。現在は「(工場周辺で生産がさかんな)神戸牛などの生鮮食料品と同じようにスピードと品質にこだわるという考え方」(清水所長)のもと、同社のAVCネットワークス社ITプロダクツ事業部のPC工場として稼働している。

 同社PCの開発センターと、PCの販売・サービス部門は大阪府守口市にある。神戸工場と守口市の拠点は1日3便の専用バスで結ばれており、開発・生産・販売・サービスを一貫して提供している。

神戸工場の概要
神戸工場の概要。神戸市の西端に位置し、PCの開発・販売・サービス拠点(大阪府守口市)とは車で約1時間の距離で結ばれている

「自社一貫」と「お客様ダイレクト」を日本品質で

 先述の通り、パナソニックのPC事業は開発・生産・販売・サービスを自社一貫で行っている。また、4部門がそれぞれユーザー(顧客)と直接対話する「お客様ダイレクト」という取り組みも行っている。これら大きく2つの取り組みによって、パナソニックPCは「Japan Quality(日本品質)を実現することを目指して」(清水所長)いる。

 神戸工場における「日本品質」は、「柔軟・迅速」「高品質」「カスタマイズ・サービス」「体験型実証ショウルーム」の4点に大きく集約されるという。

パナソニックPCの強み
パナソニックPCの強み

柔軟・迅速

 まず「柔軟・迅速」を実現する要素として、「工場直結の材料倉庫」と「セル生産方式」が挙げられる。

 通常ならこれらの取り組みはコスト高につながるため避ける方向に行きがちだ。しかし、神戸工場では1〜2週間分の部品をあえて在庫しておき、生産計画を毎日変更する「多品種変量生産」に対応できる体制を作ることによって、ユーザーからの要望に柔軟かつ迅速に対応できるようにしているのだ。

柔軟・迅速
あえて部品を常備し、セル生産によって生産計画を毎日変えられる体制を整えることでユーザーからの要望に迅速かつ柔軟に応えられるようにしている
XZ6の組み立て工程
日々変動する生産計画に柔軟に対応できるように「セル生産方式」をいち早く導入した(写真はCF-XZ6の本体【タブレット】部の組み立て工程)

高品質

 次に「高品質」を担保するために、工場内に各種試験装置を設置している。世界各地の気候や法規制に合致する製品を工場(自社)内で開発できる体制を整えているのだ。

各種施設
検証用の設備・施設内を神戸工場内に設けることで、各国の気象条件や法規制に合致し、高耐久・高信頼性を持った製品を開発できる
防水試験
TOUGHBOOK・TOUGHPADの開発過程で行われる「防水試験」。「IPX4」と「MIL-STD-810G」に定める防水性能を試験できる設備がある
開閉試験
画面の開閉耐久試験。デタッチャブル2in1であるXZ6に対応すべく新型を導入したようだ
電波暗室
電波照射試験などを行う電波暗室。もともとは外部の電波暗室を借用していたが、他社も利用する施設ですぐに借りられるとは限らなかったために自前で作ることにしたそうだ
落下試験
落下試験。机から落下を想定し、76cmの高さから落としている

 他にも、高品質を担保するために「トレーサビリティシステム」と「故障予兆管理システム」を導入している。

 「KISS(Kobe Internal Solution of Super-production)システム」と名付けられたトレーサビリティシステムでは、部品がどの本体に組み込まれ、その本体がどこに出荷されたのか追跡できるようになっている。万が一、部品に問題が生じた場合は、ユーザーから障害・故障連絡が来る前に「先手」を取って対応できるのだ。

 故障予兆システムは、世界各国から寄せられた障害・故障情報を集めた「グローバル品質情報システム(Super Terra System)」に蓄積された情報を独自アルゴリズムで分析するものだ。これにより、品質に関わる問題を従来よりも早く把握できるようになった。

トレーサビリティシステムと故障予兆管理システム
システム面でも高品質を担保する取り組みを行っている
       | 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る