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まだ7を使う? 2017年秋にWindows 10のセキュリティと管理機能はここまで進化する鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(1/2 ページ)

まだまだ企業で多く使われているWindows 7だが、2020年1月には延長サポートが終了する。Microsoftは次期Windows 10大型アップデートでセキュリティと管理機能を強化し、Windows 7からの移行をさらに加速させる構えだ。

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 2017年4月11日に配信が始まったWindows 10の大型アップデート「Creators Update」、そして2017年9月以降に配信予定の次期大型アップデート「Fall Creators Update」では、ビジネス向けに数多くの機能拡張が行われている。企業ユーザーにとって、Windows 10は管理面や安全面でさらに使いやすいOSに進化を続けている状況だ。

Windows 10
ビジネス向けの機能拡張が進む「Windows 10」(写真のデバイスは「Surface Pro」)

年2回のWindows 10大型アップデートを適用するか否か

 Microsoftが掲げるWindows 10の特徴の1つとして「Windows as a Service(WaaS)」が挙げられる。

 これは、従来の「ソフトウェアを導入したら、ライフサイクルの終了まで基本そのまま(セキュリティ対策の更新や細かな新機能追加はあるが)」という方針とは異なり、定期的に新しいソフトウェアに更新され、その度にユーザーは全く新しい機能が利用可能になるというもの。「Software as a Service(SaaS)」と呼ばれるWebサービス型アプリケーションでのセールスポイントを、そのままWindowsというOSの仕組みに導入したわけだ。

 Windows 10は既に最初のバージョン(1507)からCreators Update(1703)まで3度の大型アップデートを経ており、今後もこの方針は継続される。このWaaSには「ソフトウェアを最新状態に保たないと18カ月でサポートが終了する」というデメリットがあるものの、アップデートを継続する限りはサポート期間の延長が保証される仕組みだ。

 そのため、企業のIT管理者にとってはアップデートのタイミングが重要になるが、2017年4月20日にMicrosoftは「今後のWindows 10大型アップデートは3月と9月の年2回で行う」と、大型アップデートの提供サイクルを固定化したため、クライアントPCのアップデート計画が従来より立てやすくなった。企業のIT管理者は、大型アップデートの適用サイクルを年1回または2回のどちらにするかを選択可能だ。

Windows 10
Windows 10における最新の企業ユーザー向け管理機能群
Windows 10
WaaSにおけるWindows 10大型アップデート周期の固定化

セットアップ自動化ツールでWindows 7からの移行を容易に

 新規にPCを導入した場合、企業のIT管理者にとって面倒なのは各種セットアップ作業に違いない。Fall Creators Updateでは、これを省力化して簡単にデバイスを管理できる仕組み「Windows AutoPilot」が提供される予定だ。AutoPilotは一種のPCセットアップ自動化ツールであり、初期段階では「AutoPilot Reset」「Enhanced Personalization」「Self Service Active Directory domain join」の3機能が用意される。

 ユーザーが初期セットアップ段階でAzure ADへと接続することで、あらかじめ管理者が登録していた各種設定内容が自動的に導入され、必要な設定が済んだ状態ですぐにPCの利用を開始できる。この作業の進行状況はユーザーが確認可能だ。利用を開始したPCはIntune MDMを介した管理に対応し、後述のWindows Analyticsなどと組み合わせてリアルタイムでの監視や制御が行える。

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「Windows AutoPilot」の解説動画
Windows 10
AutoPilotでのセットアップ進行状況はユーザーが逐次確認できる

 このようにして管理制御下に入ったデバイス群は、Microsoft OMS(Operation Management Suite)のダッシュボードで一律監視が可能だ。

 「Windows Analytics」という名称で幾つかのツールの提供が予定されており、「Upgrade Readiness」では旧OSならびにWindows 10間でのアップグレードに関する互換性情報の収集、「Update Compliance」では各デバイスのバージョン情報や更新プログラムの適用状況の把握、「Device Health」ではデバイスの稼働状況における正常性チェックが行える。

 現在、企業ユーザーは2020年1月に控えたWindows 7の延長サポート終了に向けたクライアントOSの移行期間に突入しており、企業のIT部門は今後1〜2年の予算や負荷の増大が見込まれる。これら管理ツールや新しい機能群は、Windows 7からWindows 10へのスムーズな移行をサポートするためのものだ。

Windows 10
旧OSを含むWindows 10でのアップグレードに必要な情報を収集する「Upgrade Readiness」
Windows 10
更新プログラムの適用状況を把握する「Update Compliance」
Windows 10
デバイスの正常性をチェックする「Device Health」

 なお、個人ユーザー向けの機能ではあるが、3GB超もの大型アップデートのダウンロード容量を3分の1程度に圧縮する「Unified Update Platform(UUP)」という機能もFall Creators Updateで追加される。これも大量のクライアントPCを社内に抱える企業にとって非常に影響が大きいだろう。

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