Google Homeは「Let It Beを再生して」で曲をかける? アルバムをかける?:山口真弘のスマートスピーカー暮らし
スマートスピーカーやその関連デバイスについて、試行錯誤を繰り返しつつ、機能をバリバリ使えるようになる(予定)までの過程を、時系列でお届けする本連載。今回はスマートスピーカー「Google Home」での音楽再生についてお届けする。
ビートルズ(The Beatles)を聴くようになって、かれこれ30年近くになる。まだネットもなかった当時、読売テレビの「CINEMAだいすき!」という番組でテーマ曲に使われていたのが耳に留まり、レンタルレコード店で探したのが最初の出会いだ。昭和の終わりごろの話である。
当時はまだ全アルバムがCD化されておらず(そもそもCDが出始めた直後だ)、レンタルレコード店の品ぞろえもアナログレコードが9割、試験的に置かれ始めたCDはレンタル料が割高だったので、まずアナログレコードで全アルバムをそろえ、そこから10年近くかけてCD音源にリプレースしていった。
21世紀に入ってから、それらの音源をさらにリマスター盤と入れ替え、その後iTunesに取り込む際にあらためてビットレートの高いデータで取り込み直すといった具合に、この30年間に音源が数回入れ替わっている。今はiTunes Matchを利用しているので、知らないうちに別の音源に入れ替わっている可能性もある。
では、現在聴いているのはiTunesに入っているその音源なのかと問われると、実は違う。今ビートルズを聴くときはもっぱら、Spotifyで「ビートルズ」のチャンネルを聴いている。手間を掛けて集めた音源はほったらかしで、Spotifyの、しかも無料のFreeアカウントを活用しているというのが、何とも皮肉だ。
そして今回、自宅に「Google Home」がやってきたことで、「ねえ Google、ビートルズをかけて」とリクエストするだけで、手先を一切動かすことなく、ビートルズがシャッフル再生されるようになった。今回はこの、Google Homeでの音楽再生についての話。
「Abbey Roadをかけて」 → なぜか、かぐや姫が再生
Google Homeでは、音声コマンドを用いて、連携する音楽プロバイダーの楽曲を再生できる。対応する音楽プロバイダーは「Google Play Music」、そして先ほども紹介した「Spotify」の2つだ。
セットアップ時に上記のどちらかをデフォルトプロバイダーに指定しておけば、「(曲名)をかけて」と指示するだけで、そのプロバイダーで指定条件に合った曲が検索され、再生が始まる。「Play Musicで音楽をかけて」「Spotifyで音楽をかけて」とプロバイダーを指定することもできるので、両者の使い分けも可能だ。「次の曲」や「曲名を教えて」などのリクエストにも対応する。
ただ、筆者はこの「Google Homeで指定の曲を再生する」という単純な操作にすら、購入初日につまづいた。筆者のGoogle Play Musicライブラリには、手持ちの曲が約1.5万曲アップロードされているのだが、「ねえ Google、音楽を再生して」とリクエストすると、その中から必ず伊福部昭氏の「舞踏音楽サロメ 前奏曲」という曲が再生される。
これは某アニメ映画のサントラに含まれる曲で、同じサントラだけでも他に十数曲あるはずだが、何度リクエストしてもこの曲ばかりだ。「次の曲」とリクエストしても、「プレイリストの最後になりました」と繰り返すばかりで、他の曲が再生される気配が全くない。
が、たまたま「何かかけて」とリクエストしたとき、アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」のBGM「何かがおかしい」が再生されたことで謎が解けた。全曲からランダムに再生するという意図で「音楽を」と付けていたのをキーワードと誤解し、ライブラリの中でに唯一曲名に「音楽」という単語を含む「舞踏音楽サロメ」を毎回呼び出していたというわけだ。
どうやら「音楽を」は不要で、曲名やアーティスト名やアルバム名を指定すればいいらしい。もうちょっと融通を利かせてほしい気もするが、なるほどロジックは分かった。これならいける。
ということで、「ビートルズの曲をかけて」と、アーティスト名を含めたところ、「The Beatlesの曲をPlay musicのライブラリから再生します」と返事があり、無事に再生が始まった。しかし、うまく再生される場合もあれば、タイトルにビートルズという単語を含むアルバム、具体的には「With The Beatles」や「Beatles for Sale」がピンポイントでヒットする場合もあり、どうにも挙動が読めない。
さらに「〜を再生して」と「〜の曲を再生して」でも挙動が違うし、「再生して」を「かけて」に変えただけでも結果が変わる。またアルバムを指定するつもりでアーティスト名を略して「Abbey Roadをかけて」とリクエストすると、かぐや姫の「アビーロードの街」を再生し始めたりするので油断も隙もない。予測不能な対応よりも、相手が人でないが故にツッコミを入れられないことの方がストレスだ。
「卒業をかけて」 → 渡辺美里と斉藤由貴と尾崎豊がランダムで再生
ところで、これら音楽再生で使える音声コマンドは、「Google Home ヘルプ」でその一覧が掲載されている。
抜粋すると以下の表の通りで、特定の曲を再生したければ「(曲名)を再生して」または「(アーティスト名)の(曲名)を再生して」とリクエストすればよいらしい。アーティスト名など、なくても通じるのであれば省略しても構わないというのが基本ルールのようだ。
ただしその場合、別アーティストの同名の曲がヒットする場合もある。その場合はアーティスト名も含めてリクエストするとよい。
例えば「ねぇ Google、卒業をかけて」とリクエストすると、筆者の環境では渡辺美里、斉藤由貴、尾崎豊などがランダムに再生されるが、「ねぇ Google、尾崎豊の卒業をかけて」とアーティスト名を指定すれば、尾崎豊の「卒業」をピンポイントで再生できる。J-POPが好きな人なら、「卒業」という名前の曲がライブラリの中に10曲以上あってもおかしくないが、そうした場合でも安心だ。
一方で厄介なのは、同じアーティストで、同じ名前の「曲」と「アルバム」が存在する場合だ。例えば、筆者のPlay Musicでは「ビートルズのLet It Beを再生して」とリクエストすると、曲ではなくアルバムの「Let It Be」が再生され、アーティスト名を略して「Let It Beを再生して」だと曲単体が再生される。これが普遍的な法則なのかどうかは不明だ。もし同名のプレイリストがあれば、さらにややこしくなるだろう。
他にも、Play musicをデフォルトに指定している場合、「〜をかけて」だとそのままPlay musicに検索に行くが、「〜を再生して」だとPlay musicではなくSpotifyに検索に行く確率が高かったりと、ちょっとした癖のようなものまである。これにしても法則性は不明で、かつこの挙動がこのまま続くのかも不明だ。ある日突然アルゴリズムが変わって別の動きをする可能性もある。
実際のところ、もう少し「こうリクエストしたら必ずこういう挙動をする」というのは固めてほしい気はするが、あまりガチガチに挙動を縛るよりも、ファジー(死語)なまま使い続けるのが、賢い付き合い方なのかもしれないな、とも思う。この辺りの挙動の違いについては、いずれ他のスマートスピーカーと比べたうえで、快適さの良しあしを評価してみたい。
つづく。
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