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スマートスピーカーの聞き取り性能を徹底比較(大型・画面付きモデル編)山口真弘のスマートスピーカー暮らし(1/2 ページ)

スマートスピーカーやその関連デバイスについて、試行錯誤を繰り返しつつ、機能をバリバリ使えるようになる(予定)までの過程を、時系列でお届けする本連載。今回は画面付きモデル1製品、および大型モデル2製品について、その聞き取り性能をチェックする。

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 本企画では、2018年9月時点で国内で市販されている、サードパーティー各社の製品を除いたスマートスピーカー9製品について、距離および音量を変えつつ、聞き取り性能をチェックする。

 第3回は、画面付きのモデル「Amazon Echo Spot」に加えて、第2回で紹介しきれなかった、縦長スピーカー形状のモデルの中でもサイズが一回り大きい「Amazon Echo Plus」と「Clova WAVE」をまとめて取り扱う。

 なおテストの詳しい方法、およびコンパクトモデルの結果については第1回で、スタンダードモデルの結果については第2回で紹介しているので、それぞれの記事を参照いただきたい。

smartspeaker
今回は画面付きモデル1製品(Echo Spot)と、大型モデル2製品(Echo Plus、Clova WAVE)の結果をお届けする

Amazon Echo Spotのテスト結果

Echo Spot
「Echo Spot」。円形ディスプレイを搭載する。今回は専用スタンドを装着してテストしている
Echo Spot
音量「小」での聞き取りテストの結果。この音量での聞き取り性能は「Echo」と並びトップクラスだ
Echo Spot
音量「中」での聞き取りテストの結果。全域にわたって聞き取りが可能だ
Echo Spot
音量「大」での聞き取りテストの結果。全域にわたって聞き取りが可能だ

 本体サイズだけ見るとコンパクトモデルに相当するEcho Spotだが、その聞き取り性能はコンパクトモデルと比較しても極めて高く、音量「大」および「中」であれば、高さ1.5m×奥行き2.5mの範囲全域においてムラなく聞き取りが行える。「Echo」と同水準の、聞き取り性能が極めて高いモデルだ。

 音量「小」では、高さ0.5m×奥行き0.75mの限られた範囲内はほぼ完全に聞き取れるのだが、それよりも範囲が広がると、聞き取れたり聞き取れなかったりと、他のEchoシリーズに比べて反応が気まぐれになる。逆に言うと、うまく聞き取ってくれない場合は、無理に近づくのではなく、同じ場所から二度、三度と話し掛けたほうが、反応されやすいかもしれない。

 ちなみに本体からの距離が1.5mまでに関しては、高さがゼロ、つまり本製品を置いたデスクないしは棚と同じ高さであれば、比較的聞き取られやすい。これは「Echo Dot(第2世代)」にもみられた傾向で、遠くから呼び掛けて反応してくれない場合は、本製品と同じ高さまで目線を下げて呼び掛ければ、小声であっても反応してくれる可能性がある。

Amazon Echo Plus(第1世代)のテスト結果

Echo Plus
「Echo Plus」(第1世代)。Echoに家電リモコン機能を追加したモデル
Echo Plus
音量「小」での聞き取りテストの結果。Echo、Echo Spotに次いで聞き取り性能が高い
Echo Plus
音量「中」での聞き取りテストの結果。全域にわたって聞き取りが可能だ
Echo Plus
音量「大」での聞き取りテストの結果。全域にわたって聞き取りが可能だ

 Echo Plusは、ハードウェアとしては第2世代にあたるEchoと違い、第1世代のフォームファクタ―を採用したモデルだ。10月30日にEcho Plusとしては第2世代となる新モデルが発売される。しかし性能が低いかというとそうではなく、音量「大」および「中」では全域にわたって聞き取りが可能であるなど、Echoと比べても遜色ない。

 音量「小」では、高さ0.5m×奥行き0.75mという範囲内はほぼ完全に聞き取れるのだが、それよりも範囲が広がると聞き取りが難しくなるなど、Echoおよび前述のEcho Spotに比べるとわずかに狭い傾向にあるようだ。高さがゼロ、つまり本体から見て真横の方向について、やや遠くでも聞き取られる場合があるのは、Echoと同様だ。

 ちなみに本製品は全長235mmと、とびきり背が高いことが特徴だが、その割には垂直方向の聞き取り性能はあまり高くない。Echoの場合、高さ0.5〜1.0mの範囲においては、1.5mより遠い距離であってもまれに聞き取れる場合があったが、本製品はそうした傾向はみられない。小声で使うのであれば、Echoに比べて近距離での利用にとどめた方がよいだろう。

Clova WAVEのテスト結果

Clova WAVE
「Clova WAVE」。円すいに似た形状が特徴
Clova WAVE
音量「小」での聞き取りテストの結果。コンパクトモデル並の聞き取り性能しかない
Clova WAVE
音量「中」での聞き取りテストの結果。全体的に貧弱で、かつ反応にムラがあるのも気になる
Clova WAVE
音量「大」での聞き取りテストの結果。他製品の音量「中」相当の性能しかなく実用性は低い

 国内初のスマートスピーカーとして登場しながら、性能面ではあまりよい評判を聞かないClova WAVEだが、今回のテストの結果はそれを裏付ける内容となっている。

 今回テストしてるスマートスピーカーほぼ全てが全域にわたって聞き取り可能な音量「大」でも、本製品が安定して聞き取れるのは高さ0.75m×奥行き0.5mという、ごく限られた範囲でしかない。その他の範囲は、全く聞き取れないわけではないのだが、聞き取れたり聞き取れなかったりとムラがあるのが、逆にストレスになり得る。

 また音量「小」ともなると、安定して聞き取れるのは直上0.25mと正面0.25mのみというありさまである。本製品の全長は約0.2m(=201.05mm)なので、高さ0.25mというのは、製品の天板から約5cmしか離れていない。そこでは辛うじて聞き取れるものの、さらに0.25m上、高さ0.5mになると全く聞き取れないなど、かなり絶望的な性能だ。

 ただし音量「大」に限れば、まだ使いようはある。というのも本製品は、垂直方向に比べて水平方向の聞き取り性能が高く、1.75m離れた距離からでも聞き取れるケースがあるため、なるべく高い位置に本製品を置くことで、聞き取られやすくなる可能性があるからだ。

 本製品のテレビCMでは、胸元近くの高さに置いた本製品に出演者が話し掛けるシーンがあるが、今回のテスト結果を見る限り、この指向性を生かした演出だったのかもしれない。

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