新型iPad Proを手にした旧式iPadユーザーの戸惑い(試行錯誤編):iPad Proへの道
ある日、突然新型iPad Proがあなたと手元に来たらどうしますか。期せずしてそんな事態に直面した、旧式iPadユーザーの戸惑いと希望を一部始終お伝えします。3回目は、IT機器に無頓着な家族に新型iPad Proを突然見せたらどのような反応を示すのかを見ていきます。
Appleから発表された新型iPad Pro(第3世代)シリーズですが、フルモデルチェンジを果たしたことで、これまで導入を見送っていた旧式iPadユーザーに加え、従来のiPad Proユーザーも乗り換えを検討している方が多いのではないでしょうか。
何と気がつかれなかった新型iPad Pro
前回の記事では、家族(大人1人、子供2人)で共用している4年選手(発売は2014年)のタブレット「iPad Air 2」を「11型iPad Pro」に復元し、オタク視点でサイズの違いや使用感をチェックしました。
今回は、ガラリと生まれ変わった11型iPad Proを、何の説明もなしに家族に見せたらどうなるのかを試してみました。普段は宿題の調べ物や大好物のYouTuberの動画閲覧などに大活躍のiPad Air 2ですが、それが11型iPad Proに切り替わったらどういった反応を示すのでしょうか。
まず、普段からiPad Air 2置き場になっている食卓のテーブルに、しれっと11型iPad Proだけを置いて様子を見てみました。さすがに赤い物体(iPad Air 2)が黒くなる(11型iPad Pro)のだから嫌でも分かるだろうと高をくくっていたのですが、あに図らんや全く気がつかれず、こちらが問いただす羽目になりました。
ちなみに、原稿チェックのためについ最近導入したAmazonの画面付きスマートスピーカー「Echo Show」を同じテーブルに置いたところ、「何これ、TV?」「音がすごくいい」「うぉ、天気予報で温度とかも表示されてる」と即座に反応したのとは好対照です。
よくよく聞いてみると、高校生女子は「フツーに何か変な機械というか古いタブレットでもあるのかな、としか思っていなかった。iPadとは考えもしなかったよ」とのことで、中学生女子は「さすがにタブレットだとは分かっていたけど、また会社から何か持って帰ってきたのかなと思った。そもそもiPad Proなんて知らないし」とやや怒り気味です。さらに嫁さんに至っては「邪魔だから片付けて」と至って通常運転という状態でした。
そんなつれない扱いを受けた11型iPad Proですが、「iPad Air 2の最新モデルだよ!」と雑な説明をしただけで、あえて何も言わずにいたところ、おもむろに触りだしました。途端に「画面が広い!」「あれ、ボタン(ホームボタン)がないよ!」「指紋いらないの?」「イヤフォンをつなげられないよ」と、iPad Air 2との違いをようやく認識し始めました。
そして「薄っ!!、でもちゃっちいなぁ」「カバーをつけてないけど、赤いの(iPad Air 2)より圧倒的に軽くて持っている感じがしない。でも薄すぎて持っていて落としそうになる」と歴代モデルで最薄となる11型iPad Proに興味津々の様子です。
ホームボタンやイヤフォン端子の廃止に戸惑う側面も
一方、これまで親しんできたホームボタンがないのには慣れないようで、アプリの切り替えや画面下部からのスワイプ動作、スクリーンショットの取り方などで試行錯誤を繰り返していました(すぐに分かったようですが)。
そんなこんなを経て、Webブラウジングやゲームアプリを使い出すと「うぉ、画面の切り替えが速い」「スピードがくそ速い」と、3コアのA8X→8コアのA12X Bionic+M12コプロセッサという大幅な性能アップを肌で感じているようです。
新型iPad ProはSoCに「A12X Bionic」を採用しています。統合されたGPUや独自のニューラルネットワーク処理プロセッサである「Neural Engine」に多くのトランジスタを割り当てています
P3の広色域を確保した11型iPad ProのLiquid Retinaディスプレイはどうでしょうか。
「画面が明るい」(600ニトだしね)、「SmartNewsのグルメ(チャンネル)がうまそうに見える」(色域が広いのよね)、「画面の感じがKindle(Paperwhite)に似ている気がする。紙っぽさが」(渋いところを突いてくるな)とのことで、最大120Hzで動作するProMotionテクノロジーや、カバーガラスと液晶パネルを一体化したフルラミネーションディスプレイに関する指摘はあまりありませんでした。
「でも、YouTubeの音がまるで違う」「音がいいよね」「セリフが聞き取りやすい」と、ツイーターとウーファーがセットになった合計8個のユニットにマルチウェイ化した11型iPad Proのダイナミックなサウンドを満喫していました。
日頃からiPhone 8とiPad Air 2を使っていた女子高校生からすると、Touch IDがなくなった点や、ヘッドフォン端子がない点、音楽を聴きながら充電できないのは考えられない(JKは分岐ケーブルなんて使わないとのこと)、さらには何でiPhoneとiPadでボタンの位置が違うのか納得できないと主張していましたが、総じて使えば使うほど11型iPad Proの良さが肌にしみてきたようです。
iPad Air 2と11型iPad Proの両方をテーブルに置いて出社し、夜に帰宅すると画面が汚れているのは後者のみという結果が物語っていました。逆にいうと、耐指紋性撥油(はつゆ)コーティングを施した11型iPad Proも、指先の脂や指紋の後がどうしても目立ってしまいます。
新型iPad Proは欲しくなった?
「ところで、新しいiPad Proは欲しくなった?」と聞いてみると、「あるに越したことはないけど、赤い方(iPad Air 2)でもそんなに不満はなかったよ。重いけど」「うーん、なくても耐えられるけど、家にあったらうれしい。赤いヤツでも困ってはいないけどね」と、つれない返事。
加えて「ちなみに、一番安いのでも10万円近く(64GBのWi-Fiモデルで税込9万6984円)するよ」と伝えると「10万円以上なんて想像できない」「10万円なんて高すぎだよ」と、クリスマスやお年玉、手伝いの駄賃などをいくらまとめても届かない“大人の金額”に憤慨していました。
もちろん、トドメの一言は嫁さんの「ウチにいくつタブレットがあると思っているの」(タブレットはかろうじて二桁に届かないくらいしか持っていないのですが)。現状、新型iPad Proを手に入れるべく家庭内稟議(りんぎ)を突破するのは、無酸素でK2(世界第2位の高さとなるカラコルム山脈の最高峰)に単独登頂するようなイメージです。
次回は、もう1つの新型iPad Proである12.9型(第3世代)を見ていきたいと思います。
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