Brand New PC Style / Education:小林道夫さん(神奈川大学附属中・高等学校 教諭)02

神奈川大学附属中・高等学校の小林道夫先生への一回目の取材の後、小林先生が実際に教えていらっしゃる生徒のみなさんにタブレットPCに実際に触れていただき、授業や課外活動で活用してみていただく機会をもっていただいた。そこにはいままでにない新しい学習スタイルを実体験しているリアルな高校生の姿があった。

  神奈川大学附属中・高等学校 では、 早くからパソコンを大量導入するなど、情報教育に力を入れている実践校だ。授業での積極的な活用はもちろん、課外活動でもパソコンがごく当たり前のように使われていることは 前回 も触れた。学習指導要領の改訂で高校での情報教育も様変わりしつつあるが、以前より情報教育に取り組んできた同校にとっては、教科の内容や教科書そのものなどに変化があるものの、同校の情報教育に対するスタンスそのものには変わりはないようだ。

 さて、前回はタブレットPCに触れた感想を小林先生にお伺いし、今回は生徒のみなさんに無線LAN環境を用意したコンピュータ教室でタブレットPCを使ってみた感想をうかがう予定だったが、実際はそれ以上に面白い話を聞くこととなった。

神奈川大学附属中・高等学校は横浜市緑区の高台にある。まわりは静かな住宅街で学業には最適のロケーションだ

Web制作を通じてコラボレーションとコミュニケーションを学ぶ

 同校では 「ThinkQuest@JAPAN」 という中高校生を対象としたWeb教材開発コンテストに提出する作品制作を課外活動として行っている。ThinkQuest@JAPANは、もともと1996年にAdvanced Network & Service, Incの主催で米国においてスタートしたインターネットを使った世界規模の教育プロジェクト 「ThinkQuest」 の一貫として行われている全世界の中高生を対象としたWeb制作コンテスト「ThinkQuest Internet Challenge」の国内版として位置づけられ、1998年にスタートしたもの。今年も 「ThinkQuest@JAPAN 2002」 が審査中であり、4月22日に最終審査の結果が発表される予定だ。

 ThinkQuest@JAPANのスタート当初より、同校では毎年15グループ程が参加している。ほとんどのチームは3名で構成し、テーマ決めから教材内容を企画し、自ら取材・調査し、研究した成果をWebページとして形に制作、さらにコンテストに作品を提出するまでの数カ月をチームメンバーが協力しあいながら進めるわけだ。取材にうかがった時期は、学期末でもあり、情報の授業の提出物制作やThinkQuest@JAPANに参加している生徒などで隣のコンピュータ教室は大変賑わっており(実際にはとっても静かなのだが)、生徒がコンピュータ準備室に入れ替わり立ち替わりやってきては、小林先生に質問攻めをしていた。その忙しいさなかの小林先生にお話をうかがった。

チバ  ThinkQuest@JAPANに参加することでどのような成果が得られるのでしょう?

小林  最終的にはWebページというデジタル制作物が作品となりますが、スタートはまったくアナログ的な形ではじめます。当然のことですが、テーマ決めや企画内容の検討、制作自体もチームで意見交換をしながら進めていくわけですが、その中でそれぞれがお互いを尊重しながら、コラボレーションとコミュニケーションを学び、それぞれが教養やスキルを高めることができるわけです。

チバ  実際にどのように制作を進めるのでしょうか?

小林  まず、テーマが決まったら、どういう内容にするのか、ツリー構造を描いて固めていきます。ところが感覚でわかっていても、頭の中で整理ができていないのでなかなかこのツリー構造をうまく描くことができるチームは少ないですね。高校生になるとやれるチームも多くなるのですが、イコールうまくできているか、というとそうでもなく、やはりなかなか難しいですね。

チバ  それはプロである私たちにとっては耳の痛い話ですね(笑)

小林  実際にこういう風に用紙に描かせてみるわけです。しかし、これも含めブレストを行うなど紙ベースとなる場合、これをどうやって共有化するか、という課題があるんです。

Webページの制作は、制作する上で重要な階層構造を考えるところから始まる。こればかりは手書きで行うことになる

チバ  そういう場面にはタブレットPCが役立ちそうですね。

小林  はい。そう思うところもあって、実際にここにいる3人のチームにタブレットPCを持たせてみました。実際、僕なんかよりあっという間に使いこなしてしまったようで、出る幕がない、という感じなんですよ(笑)

[チバヒデトシ, ITmedia ]

前のページ | 1/2 | 次のページ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

PICK UP

news010.jpg ベールを脱いだ“Origami”、MicrosoftとIntelがOrigamiことUMPCを披露
CeBIT 2006で、ついに“Origami”がベールを脱いだ。3月9日、MicrosoftとIntelはそれぞれプレス発表会を開催、OrigamiことUltra-Mobile PC(UMPC)デバイス戦略を明らかにした。

news015.jpg “Origami”命名者らが明かすUltra-Mobile PC構想
CeBIT 2006の目玉となった“Origami”ことUltra-Mobile PC(UMPC)。会場ではIntel、Samsung、ASUSなどのブースでUMPCを見ることができた。3月10日に催されたMicrosoft、Intel、Samsungの共同記者発表会の模様とあわせて、UMPCを検証してみよう。

news001.jpg 1キロを切る超小型・軽量のコンバーチブル型タブレットPC──富士通「FMV LIFEBOOK P8210」
富士通の企業向けノートPC「FMV LIFEBOOK」シリーズに、コンバーチブルスタイルのタブレットPC 2モデルが追加された。その中でも「FMV LIFEBOOK P8210」は、本体重量が約990グラムと非常に小型・軽量でありながらも、コンバーチブルスタイルを実現した意欲的なタブレットPCである。

news002.jpg これが“ThinkPad”クオリティのタブレットPCだ──レノボ・ジャパン「ThinkPad X41 Tablet」
性能面はもとより、耐久性や操作性なども含めたノートPCとしての完成度の高さで幅広いユーザーから支持されている「ThinkPad」シリーズ。そのThinkPadからコンバーチブルタイプのタブレットPCが登場した。それが「ThinkPad X41 Tablet」である。

news002.jpg デジタルクリエイター教育におけるTabletPCの可能性──デジタルハリウッド杉山学長インタビュー
デジハリEXは、TabletPCを使ったデッサン入門講座を6月に開講する。なぜTabletPCを教材に採用したのか? クリエイティブツールとしての可能性・将来性は? 日本のデジタルクリエイター教育の先駆者であるデジタルハリウッド大学・大学院の杉山知之学長に話を伺った。

1.jpg サラリーマンのためのタブレットPC使いこなしガイド 第1回:OneNoteの登場でタブレットPCがいっそう身近に(1)
ノートPCとPDAの中間――普段のWindowsアプリケーションが使え、PDAなみの軽快な操作性と携帯性を持つタブレットPC。メールやWebの閲覧はもちろん、企画書を作成して他社に営業に行き会議室でプレゼンを行う……そんな今回の企画にぴったりの人はもちろん、それ以外の人にもタブレットPCとOffice OneNote 2003などのアプリケーションを組み合わせた、きっと役に立つちょっとしたノウハウを今後数回に分けて展開していく。

news009.jpg マイクロソフト、次世代TabletPCのコンセプトモデルを初披露
マイクロソフトは都内で行われた開発者向けコンファレンス「WinHEC 2005 Highlights」で、次世代TabletPCのコンセプトモデルを本邦初公開した。スライド式の液晶タブレットを搭載し、ノートPCモードとピュアタブレットモードを瞬時に行き来できるのが特徴だ。

news020.jpg TabletPCの現在、そして未来を語る──モバイルプラットフォーム事業部GMインタビュー
TabletPCはノートPC市場のメインストリームに対して、フェーズに合わせて普及のターゲットを広げてきた。さらに将来的には、タブレットの機能はすべてのノートPCにも搭載されるようになるという。米マイクロソフト モバイルプラットフォーム事業部 ジェネラルマネージャーにTabletPCの現在と未来を聞いた。

news003.jpg ペンオペレーションでモバイルAVノートの魅力が変わる──富士通「FMV-BIBLO LOOX P70R」
富士通のモバイルAVノート「FMV-BIBLO LOOX」シリーズに、新モデルとなる「FMV-BIBLO LOOX P70R」が登場した。1キロを切る軽量ボディを実現しながらも、一般ユーザー向けとしては同社初のコンバーチブル型タブレットPCであるという意欲的な製品だ。

news005.jpg タブレットPCのプレゼンは、なぜ琴線を揺さぶることができるのか?
今や、ビジネスパーソンだけでなく、学生にもプレゼン能力が問われる時代。とはいえ、スライドと話術のみで受け手に強い印象を残すプレゼンを行うのは非常に難しい。しかし、タブレットPCを利用すれば、誰でも簡単に“勝てるプレゼン”が可能になるという。それはなぜか──。

news001.jpg コンバーチブル型を採用した企業ユースのメインストリームモデル──日本HP 「HP Compaq tc4200 Tablet PC」
日本HPから、同社初となるコンバーチブル型のタブレットPC「HP Compaq tc4200 Tablet PC」が登場する。利用シーンに合わせてスタイルを変更できるトランスフォーム型で脚光を浴びた同社製タブレットPCだが、新モデルはイメージを一新し、企業ユースの本流を狙う意欲的な製品に仕上がっている。

news001.jpg オフィスを狙った本格仕様の2スピンドルコンバーチブル型タブレットPC──富士通「FMV LIFEBOOK T8210」
「FMV LIFEBOOK T8210」は、携帯性を重視したB5サイズの2スピンドルコンバーチブル型タブレットPCだ。タブレットモード、ノートPCモードのどちらも快適に使用できるハイスペックを備えており、オフィスユースに適した魅力的なマシンに仕上がっている。

news003.jpg TabletPCでペーパーレス化や広告イメージの具体化・共有化を実現
アカウントマネージメントパーソンにとって、クライアントに関するあらゆる資料・情報は“ビジネスのなる木”だ。だが、それらをすべてため込もうとすると、今度はその量に飲み込まれて身動きができなくなってしまう……。マッキャンエリクソンに勤めるあるアカウントマネージメントパーソンは、TabletPCを使うことでその矛盾を克服した。

news002.jpg タブレットPC・ガールの旅日記Vol.8「東京ベイエリアに行きました」
KAORI(臼田 華織)、歌って踊れるキャンペーンガール&モデルユニット「IT GIRLS」のメンバー。所属はアトランティックス マネージメントです。柔らかな初春の日差しに誘われ、葛西臨海公園からパレットタウン、お台場海浜公園まで、東京ベイエリアをぐるっと回ってきました。