タブレットPC活用ソリューションも紹介された「HP WORLD 2003」をレポート

4月22日と23日、日本ヒューレット・パッカードとコンパックコンピュータの合併後初となるプライベートイベント「HP WORLD 2003」が新高輪プリンスホテル国際館パミールで開催された。多くの基調講演やカンファレンスが行われ、ブースでもタブレットPC活用ソリューションが数多く見受けられた。

 日本HPのプライベートイベント「HP WORLD 2003」が4月22日と23日、新高輪プリンスホテル国際館パミールで開催された。イベント全体のキーメッセージとなる「日本が元気になるにはどうすればいいのか」をテーマとした多くの基調講演やカンファレンスが行われ、その中にはタブレットPCを活用したソリューションも紹介された。

「HP WORLD 2003」は、新高輪プリンスホテル国際館パミールで開催された。来場者が多く、日本HPの提供するソリューションへの関心の高さがうかがわれる

 カンファレンスでは、「タブレットPC、ポケットPCを活用したモバイルソリューションと導入事例の紹介」を聞くことができた。冒頭では、タブレットPCでコミュニケーションをとることでイベントを成功させた実例が紹介され、その可用性と機動性が強調された。

 また、サイバーサインジャパンの認証システムやCAD プラス Lite for Tablet PC、AutoCAD 2004が紹介され、実際の導入事例として市場調査会社が紹介された。タブレットPCの導入によって、商品のデモンストレーションからアンケート採取、データ集積、分析までをシームレスに行えるようになった。顧客からPCへの抵抗感無くアンケートが採れることもメリットだ。アンケートの収集から集計・分析作業まで電子化できることも効率化につながる。

 モバイルソリューションの変化によって起こる市場予測も紹介され、無線ネットワークを経由した基幹サーバとトータルソリューションとして構築しやすいという日本HPならではのメリットが強調されていた。ネットワークと親和性が高いモバイル端末は、今後さらにプライオリティが高くなるという。

 展示会場では、サーバやストレージ、プリンタからiPAQ、タブレットPCに至る日本HPの最新製品やソリューションを見ることができた。また、SAPジャパン、日本オラクル、日本BEAシステムズ、日立製作所、マイクロソフトといったパートナーブースも設置され、盛況だった。

 日本HPブースのタブレットPCコーナーには「Compaq Tablet PC TC 1000」が用意され、自由に触れられるようになっていた。担当の方にお話をうかがってみると、「ペンを使えることでどんなことができるのか」といったものから実際の導入事例に関するものまで、幅広い質問を受けるという。年代や職種を問わず高い興味が持たれているようだ。

幅広い年齢層や職種から質問が相次いだというタブレットPCコーナー。デモ機ではカンファレンスで紹介されていたBMWでの導入事例のムービーを再生

 現行機種であるTC 1000の後継機種について質問してみると、「提供時期は未定だが、後継機種の開発は着実に進んでいる」とのこと。ただし、具体的にどこが変わるかまでは教えてくれなかった。後継機種の情報は、もう少し待つしかないようだ。

 SAPジャパンのブースでは、「mySAP CRMモバイル・セールス」のデモが行われていた。CRMはビジネス全体の管理から作業、在庫、顧客、スタッフまで情報を共有しながら効率よく進行できるソリューションだ。このソリューションはPDAやタブレットPCでCRMを利用することで、さらにビジネスの効率を上げるというもの。

 このソリューションでは、PDAの場合は必要なデータを切り出して持ち歩くことになる。しかしタブレットPCなら、自分のデスクと同じ環境をそのまま持ち運べる。また、充実したネットワーク機能によって活用の幅も拡げられる。まさにタブレットPCの長所を生かしたソリューションであるという印象を受けた。

SAPジャパンのブースでは、「mySAP CRMモバイル・セールス」のデモを実施。タブレットPCなら社内と同じ環境を持ち出せるため活用の幅が拡げられるという

 マイクロソフトのブースにはデモスペースとiPAQ、タブレットPCの体験コーナーが用意されていた。とくにタブレットPCは人気が高く、体験者が途切れることがない。ここではタブレットPCに搭載される基本的なソフトのほか、2本の参考出品ソフトも用意されていた。ひとつは交通事故の実況見分用のソフト。マイクロソフトの「Visio」をベースに作成されており、完成度の高いソフトだ。

「マイクロソフトギャル」が迎えてくれるマイクロソフトのブース。アンケートに答えることでクロックがプレゼントされる


マイクロソフトのブースにはiPAQとTC 1000が並ぶ。タブレットPCは人気が高く、多くの来場者が足を止めていく

 事故現場の見取り図に使用する道路や交差点、車、自転車、人などは図形のドラッグで簡単に作成でき、アシスタント機能によって調書の作成まで行える。当然、使用するのは警察官ということになるが、タブレットPCならではの機動性と操作性がうまく生かされている。すでに導入を検討している警察署もあるという話だった。

「Visio」をベースに作成された交通事故の実況見分用のソフト。タブレットPCの特長が生かされたソフトで、可能性のひとつを示唆している

 もうひとつは歯医者向けの歯科診療記録ソフト。こちらはタブレットPC用SDKが新しくなったことで、その機能を紹介するためのもの。新バージョンのSDKでは、入力パネルをさまざまにカスタマイズできる。オリジナルの文字パネルを表示したり、項目に直接手書きで入力するといったことが可能だ。もちろん歯科診療記録ソフトとしての完成度も高い。このようなソフトは今後も登場してきそうだ。

新バージョンのSDKの機能を使用した、さまざまなタイプの入力パネル

▼ 日本ヒューレット・パッカード

[吉澤亨史, ITmedia ]

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