総合評価コメント

　究極ともいえる薄さ軽さ小ささの光学3倍ズーム機でありながら、光学ファインダ、三脚穴、マイク、スピーカ、リモコン対応と場所を取るアイテムをすべて用意しているのはすごい。バッテリ、カードスロットの蓋や十字スティックなどにやや無理を感じるものの、総合的には魅力の方が優る。さすがだ。写りには多少不満はあるが、この機動力を考えれば文句はないだろう。→レビュー本文

評価のポイント

本当に小さい。誰が見てもここから沈胴式ズームレンズが出てくるとは思わないサイズ。緑色に光る電源スイッチまわりのランプや表面と背面のスピンドル加工は印象的。小さいものを小さく見せるいいデザインをしているうえに個性的でもある。ただ、小ささが優先したのか、背面の十字キーは薄さ実現のためだろうが、中央がクリックになったスティックタイプを採用している。これはスティックを倒したつもりでOKボタンを押してしまうことがあり、ちょっといただけない。ペンタックスは液晶ディスプレイを使った操作が不可欠な設計をしているため、十字キーの使い勝手はより重要なのだ。

「スライディング・レンズ・システム」を使った3段式沈胴ズームレンズは画期的。それでいてレンズのスペックはF2.6-4.8、35-105mm相当と一般的で、そのうえスーパーマクロ機能を使えば6cmまで接写できる。写りは1/2.5インチCCDを使った300万画素機としては一般的で、やや硬めではあるが悪くない。オートホワイトバランスの精度がいまひとつで白熱灯系の室内ではうまく合ってくれないし、AFが失敗してピンボケになるケースも見られた。

超小型カードサイズデジカメにしては機能は豊富。マイクとスピーカを内蔵していて音声付き動画が撮れるし、撮った写真に音声メモをアフレコすることもできる。十字キーを下に入れるとバーチャルモードダイヤルが現れ、プログラムAEの他に風景・花などのピクチャーモード、夜景、立体写真、動画、パノラマアシスト、3D撮影、デジタルフィルタ、USERと機能が選べる。撮影機能だけでも、カスタムホワイトバランスやAFエリアの選択、感度の設定と多彩。けっこう細かい撮影もできるのだ。それは感心する。

厚さ2cmで重さ98g。やや分厚いカードサイズで収納も困らないし、片手でさっと撮れるし、意外にグリップも悪くない。機動力には10点満点を付けてもいいくらいだが、ひとつだけ気になる点があった。起動時間である。レンズの駆動は高速なのだが、起動画面が消えて液晶モニタがちゃんと点灯するまでに4秒以上かかるのだ（初期設定時）。これがマイナス1点と思っていただいていい。

残念ながらクレードルはなく、パソコンとの接続は専用のUSBケーブルを利用する。マスストレージクラス対応なので作業は楽だが、小さいデジカメほどクレードル対応してほしい。バッテリは本体内充電ではなく、バッテリを外して充電器にセットする方式である。

ベンダー製品担当者からの一言

　持ち歩いて使う喜びを感じられる、究極のサイズ・充実のスペック・洗練のスタイルの光学3倍ズームを搭載した世界最小最軽量デジタルカメラです。スライディング・レンズ・システムと3段沈胴で3倍ズームデジタルカメラの超小型化を実現させました。（ペンタックス　イメージングシステム事業本部マーケティング部商品企画室　中野 浩一）

スペック

[荻窪圭, ITmedia]

関連リンク ペンタックス ホームページ ペンタックス 製品インデックス ペンタックス オプティオS 製品情報