> レビュー 2003年5月27日 03:00 PM 更新

オーソドックスなボディに野心的な中身
ペンタックス Optio 33L(3/3)


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 「デジタルフィルタ」はグラフィックソフトでいう「フィルタ」ではなく、銀塩カメラの世界でいう「カラーフィルター」に近い。白黒、セピアのほか、赤、緑、青のそれぞれのカラーフィルターに加え、「赤(あるいは緑や青)以外は白黒」というフィルターが用意された。これがなかなか面白い。モノクロ写真の中で一部の色だけが残っているという印象的な写真を撮ることができる。

 「オートブラケット」は少しずつ設定の違う写真を3枚撮影する機能で、普通の露出ブラケットももちろんあるが、それ以外のデジタル処理を行うブラケット処理が面白い。ホワイトバランスブラケット、彩度ブラケット、コントラストブラケット、シャープネスブラケットだ。ブラケット撮影でこんなにバリエーションがあるデジカメは初めて。


オートブラケットの多彩さも特徴の1つ。ホワイトバランスブラケットなどを選べる

 実は彩度もコントラストもシャープネスもメニューで3段階から調整することができる項目で、それをオートブラケットで3枚いっぺんに撮っちゃおうというものなのだ。これはかなり面白い。露出ブラケット以外は1枚だけ撮影し、その現像パラメータを替えながら記録するという方式なので、同じ写真で微妙に焼き具合が違うものが3枚できあがる。これらのデジタル処理機能は処理にちょっと時間がかかるが(数秒ほど)、待てないほどではなく、十分実用的だ。

 この4つのほかに、「夜景」「動画」「パノラマアシスト」「3D撮影」(立体写真撮影のアシスト)の計8つが用意されている。

 マニュアル露出のようなカメラ系の撮影機能はシンプルにして、逆にデジタル処理撮影機能を充実させたのが一番ユニークな点。中にはパソコンで処理した方が早そうなものもあるが、カメラ内でできることでデジタルならではの遊びをその場で楽しめる。

 ちなみに再生するときは、再生ボタンを押すと再生モードにはいる。撮影時の細かい設定はMENUボタンで行う。MENUを使えばマニュアルホワイトバランス、AFエリアの設定や測光方式、ISO感度など細かな設定が可能だ。

 Optio 33Lでもう1つ印象的なのは、個々の演出がめっぽう面白いこと。これもデジタル処理を駆使した楽しさの1つではあるのだが、撮影後のプレビューが引っ込むときに上下にフィルム風の枠が付いて左にスライドしていったり、メニュー表示時に中央からメニュー表示枠が上下に伸びてきたりと、画面が切り替わるときの演出が微妙に凝っているのだ。これも使っていて楽しさを感じる。

 肝心の画質は、300万画素3倍ズームデジカメとしては非常にオーソドックスなもの。色は鮮やかで、ディテールは甘いがきれいな絵が撮れる。晴天時はやや青っぽいがそのぶん青空や緑が爽やかになるのでそう悪くもない。白飛びしやすく感じることもあるが、細かい彩度やコントラストはブラケットなりなんなりで自分で設定できるので、好みの絵を探してみるのもいいだろう。ただ、ときどきAFを外すことがあった点と白熱灯下でのオートホワイトバランスだけは注意したい。慌てずに撮ることだ。

 このようにOptio 33Lは見た目を裏切る「デジタルであることをとことん楽しみたいデジカメ」だ。操作は簡単なので、デジタルずれしてない人の方が楽しめると思う。  今までデジカメのデジタルならではの機能といえば、フレームをつけたり構図のアシストをしたりといった写真装飾や写真撮影のアシストが多かったが、このようにデジタル処理をした写真自体を楽しむというコンセプトを前面に押し出したのははじめて。

 回転式の液晶モニタと合わせて、銀塩カメラの常識に縛られないデジカメならではの面白さを簡単に味わうには最適のデジカメだ。もちろん普通のデジカメとしても、デザインはややファミリー向けっぽいが十二分に活躍するし、コストパフォーマンスも悪くないので、デジタルも楽しめるデジカメと思って選んでも問題はなかろう。

Optio 33L:作例

 このページの画像はWeb掲載用に加工してあります。リンクをクリックすると、手を加えていないオリジナルの画像を見ることができます。


木陰でくつろぐ親子と散った桜の絨毯。コントラストがきつい構図だがなんとかうまくおさめている。スナップ用途には十分な画質。絞り:F5.0、露出:1/80sec(オリジナル画像はこちら


イラスト風モードで撮影。エッジ検出もしっかりしており、カメラ内で数秒でデジタル処理をした割にはよくできていて実用になりそう。なかなかレベルが高い処理だ。絞り:F7.6、露出:1/125sec(オリジナル画像はこちら


マクロモードで花を。光の具合がいいところのように自然で鮮やかな写真を撮ってくれる。絞り:F5.0、露出:1/400sec(オリジナル画像はこちら


赤いチューリップを上から撮影。ただし、「赤以外は白黒」というデジタルフィルタをかけてみた。こういう印象的な写真ができあがる。花びらの一部が白くなっているのは、白飛びしていて赤と認識されなかったためだ。絞り:F4.8、露出:1/160sec(オリジナル画像はこちら

[荻窪圭, ITmedia ]

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