> レビュー 2003年6月2日 03:00 PM 更新

有効500万画素、光学3倍ズームレンズ搭載のデジカメ
京セラ 「Finecam S5」(2/2)


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 Finecam Sがはじめて登場した頃は世界最小最軽量を肌で感じられる本格的デジカメとしてインパクトが強かったが、他の製品がどんどん小さく軽くなっていったため、以前ほどのインパクトはない。ただ500万画素CCDを搭載した機種としては今でも最軽量。


ほぼ中央にレンズを置いたカメラらしいデザイン。スイッチを入れるとストロボがポップアップする。正面から見るとほとんどカードサイズだ

1/1.8型の500万画素を搭載した超小型デジカメ

 CCDサイズは1/1.8型。多くの小型軽量デジカメが採用している1/2.5〜1/2.7型CCDに比べて一回り大きく、それをこのサイズにおさめたのは立派だ。レンズは35〜105mm相当の3倍ズームでF2.8〜4.8。コンパクト機としては一般的な仕様だ。マクロ時はワイド端とテレ端でレンズ前12センチまで寄れる。テレ端で12センチというのはなかなかのスペックだ。


側面:小型だが厚みが結構あるのでポケットには入れづらい


側面(ズーム時)

 上部にある電源スイッチを入れるとストロボポップアップとレンズの繰り出しが同時に行われる。この動作自体は高速だが、実際に液晶モニタが点灯して撮影可能になるまで5秒以上かかるのはちょっといただけない。4秒は切って欲しいところだ。終了も同様にちょっと時間がかかるが、終了時にストロボも自動的に格納されるのは感心。


ディテールの質感は非常に高く、高級感がある。電源スイッチは押しやすい位置にあるし、ズームレバーもかなりシックなデザインだ

 画質はさすが500万画素の解像感。ディテールもしっかり出ているし、なかなかシャープだ。ただ、コントラストがキツめで、例えば青空も青というより紺色に近い感じになるなど、白飛びや中間調の沈みが気になることがある。もっと階調を緩やかにして色を豊かに出してもよいのではないだろうか。鮮やかだが記憶色重視の誇張もなく、室内のようなコントラストが高くないシーンでは、ノイズも目立たずにメリハリがあっていい絵になる。

 普通に使っているとフルオートのみのシーンモードもないシンプルなカメラに見えるが、実は奧に細かい機能が隠れている。MENUボタンを押すと画面の下に小さくアイコンが並んで解像度や露出補正やホワイトバランスの設定が可能になるが、さらに一番右にあるMアイコンを使うとその奧に彩度やシャープネスのコントロール、絞り優先AE(ただし、F2.8とF9.6の2段階しかないので有用なシーンは限られるが)、マニュアルフォーカス、長時間露光、ISO感度の設定と多彩な機能が現れるのだ。

 だが、これらは1つ下の階層にあるうえに2ページにもわたる。アクセスしづらいところにあり、せっかくの多機能が泣いているといっても過言ではない。撮影モードを2つに分けるなどで、凝った撮影をしたいときにもっと簡単にアクセスできるようにしてほしいところだ。せっかく用意した機能なのに使いにくいのは良くない。特にISO感度が奥の方にあるのは残念な点だ。

 使い勝手も、円形の十字キーがやや頼りなく全体の渋い外装に比べてそこだけが銀色で浮いているのは残念。また使っているとグリップ部がだんだん熱を持つ傾向がある。


液晶モニタがやや上についているのはボディの底にバッテリが横たわっているため。背面のボタンは非常にシンプルだが、円形の十字キーだけが光っていて目立つ。液晶モニタのメニューは文字が小さくてちょっと読みづらいかも

 液晶モニタは屋外では反射光も利用するデイファイン液晶で、晴天下での視認性がウリ。確かに一般の液晶がほとんど使い物にならなくなる太陽の下でもしっかり見えるのは素晴らしいが、それ以外のシーン、例えば薄曇りや曇天下では明るさや鮮やかさで一般の液晶より劣ることもある。その辺は割り切って使う必要があるだろう。

 500万画素の解像感は魅力的だが、カメラとしては基本機能に徹していて、強い印象はあまりない。楽しんで使うお散歩デジカメというよりは、ビジネスマンがカバンに忍ばせ、必要なときに必要な写真をピシッと撮るのが似合う感じだ。デザイン的にもスーツが似合う大人のデジカメといった風である。

Finecam S5:作例

 このページの画像はWeb掲載用に加工してあります。リンクをクリックすると、手を加えていないオリジナル画像を見ることができます。


マクロモードでたんぽぽの種を撮影。ディテールまでシャープでさすが500万画素という写り。こういう絵は得意。絞り:F2.8、露出:1/350sec(オリジナル画像はこちら


ISO200で室内の猫を撮影。ホワイトバランスはきれいに合っており、露出もOk。絞り:F2.8、露出:1/8sec(オリジナル画像はこちら


マクロモードで青空を背景に花を撮影。ちょっと狙ったところとピントがずれているが、それはさておいても背景のボケ方などなかなかきれいで印象的。ただ青空や花の鮮やかさには不満が残る。絞り:F6.7、露出:1/125sec(オリジナル画像はこちら

[荻窪圭, ITmedia ]

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