> ニュース		2003年6月16日　03:00 PM 更新

東芝がRD-Styleにマルチドライブを搭載した理由――開発者インタビュー（2/3）

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　例えばDVD-RAMとDVD-RWは、「追記や編集が可能なメディア」という用途自体は一緒だ。通常、民生用の製品では「同じ用途のものは複数搭載しない」という方針を持つメーカーが多い。同じようなメディアを両方サポートすることによってユーザーが混乱することはないのか、片岡氏に尋ねた。

　「DVD-RAMは、パソコンで言うとMOに当たるんですよ。カートリッジもあるし、ファイルのコピーもHDDと同じようにドラッグ＆ドロップでできます。じゃあDVD-RやDVD-RWは何かといえば、CD-RやCD-RWです。CD-Rはたくさん持っていても、CD-RWはテスト用などに何枚か使うだけで、たくさん持っている人は少ないですよね。CD-RWの価値は『使い回せるCD-R』というところにあると思いますし、DVD-RWも同じだと思います」（片岡氏）

　RD-XS31では、DVD-RWは「いったん消去してまた使えるDVD-R」として扱われ、追記などはできない。「現行の機種では『DVD-R作成』というメニューがあって、その中で書き込むパーツやメニューの絵柄を選んでDVD-Rを焼きますが、DVD-RWを入れても扱いは同じです。DVD-RWに直接録画はできませんし、初期化メニューなどもありません。書き込み済みのDVD-RWが入っている場合は、『データが消えますよ』とアラートが出るだけで、他はDVD-Rの時と一緒です」（片岡氏）

　RD-XS31では、ユーザーの混乱を避けるため、DVD-RAMと同様の使い方が可能なDVD-RWにあえて制限を設けたのだ。「DVD-R、DVD-RW、DVD-RAMそれぞれの役割がはっきりとしていることは、お分かりいただけると思います」（片岡氏）

　またRD-XS31では、DVD-RWはDVD-Rと同様に扱われるので、書き込みはDVD-Videoのみで、DVD-VR（Video Recording Format）では書き込めない。これも片岡氏によれば、「ユーザーの混乱を避けるため」だという。

　「DVD-RWへのVR書き込みは僕が大反対したんですよ。社内的には『VRで書いてもいいんじゃないの』という声もあったんですが、RD-XS31を買うような入門者にとって、DVD-RWを使った時に、DVD-VideoとDVD-VRを選ぶという行為自体が難しいんですよ」

　RD-XS31の場合、DVD-Video形式で書き出すならDVD-RかDVD-RW、DVD-VRならDVD-RAMと、メディアそのものを使い分ければいい。DVD-RWという1つのメディアで複数のファイル形式を使い分けるよりも、用途に応じてメディアを使い分ける方が、入門者にとってはずっと分かりやすいだろう。

　なお、RD-XS31はDVD-RWへのDVD-VR録画はサポートしていないが、再生は可能だ（実はRD-XS31に限らず、現行機種のRD-X3などでもDVD-VRで書かれたDVD-RWが再生できるのは有名な話）。

　「もともとDVD-VRで書かれたDVD-RWメディアは、RD-Styleの『見るナビ』でタイトル情報まで含めて表示できるし、HDDに劣化なしで高速ダビングも可能です。現在DVD-RWレコーダーを使っている人がRD-Styleに乗り換えたとしても、現在使っているメディアがそのまま再生できるので安心です」（片岡氏）

　乗り換え需要はともかくとして、DVD-VRで書かれたDVD-RWの再生ができれば、DVD-VR録画の方はDVD-RAMを使えばできるのだから、通常の使用において不満は何もないはずだ。

「ネットdeナビ」がマイナーバージョンアップ

　RD-XS31は、マルチドライブとネットdeナビの搭載が大きな特長だが、それ以外の新機能について見ていこう。「その他にはネットdeナビをちょこっといじった程度ですね。本当にマイナーなバージョンアップで」と片岡氏は笑う。

　「まずネットdeナビのMac OS完全対応が挙げられます。Mac OS XのIEとNetscapeの最新バージョンで動くようにしました」（片岡氏）。

　現行機種のネットdeナビもMac OS XのNetscape 7.xには対応していたが、RD-XS31からはInternet Explorer for Macの5.xにも正式対応したのだ。なおMac OS 9.xでは、従来通りNetscape 7.xのみの対応となる。

　「また、PDAなど小さな画面のWebブラウザでネットdeナビを見た場合に、スクロールできるようになりました。従来はスクロールバーを出さない仕様になっていたので、小さな画面で見た時は下の方へたどり着けないなんてことがありました（笑）」（片岡氏）

　ネットdeナビを使えば、パソコンのWebブラウザ上に過去に録画した番組などを一覧表示できて便利だが、番組の数が増えるほど画面は「縦長」になる。WindowsやMac OSのWebブラウザではスクロールバーが表示されていても、PDAなどのWebブラウザではスクロールバーが表示されないことがあったのだ。

[浜野高正, ITmedia ]

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