開発コンセプト
市場特有のニーズ及びソフトから見る、東芝のビジネスノートPC(1/2)
ビジネス向けノートPCを開発するにあたって、ワールドワイドで展開する東芝ならではの、市場ニーズとのマッチングはどうなっているのだろうか。オリジナリティあるソフトとともに紹介する。
ビジネスノートPCとしての差別化
基本設計はインテルのアーキテクチャー、OSはWindows。ともすれば、似通った製品ばかりが勢ぞろいしそうなPCを取り巻く情勢の中で、各PCベンダーは、いかに差別化された製品を出荷するかに注力している。
特にビジネス市場においては、コンシューマーモデルのように、これでもかとばかりにプレインストールしたアプリケーションソフトや、TV関連のハードウェア構成で特色を出すわけにもいかない。他にはできないユニークな技術によって、まさに、「ならでは」の特色を打ち出し、他社製品に比べ、いかに優れているかをアピールしなければならない。
まず、ユーザーは、製品のパッケージングを見る。特定のスペックを、どのようにパッケージングするかは、ベンダーの腕の見せ所であり、ユーザーにとっても、特色として、最もわかりやすい部分だ。
とはいえ、ノートPCであれば、バッテリの進化や、各種デバイスの世代交代、そして、供給されるチップセットに左右される部分も少なくない。同じスペックであれば、薄型軽量化された筐体の方が良さそうに感じるのは当然だが、それで、堅牢性が犠牲になっているようでは意味がない。
また、高まる一方のプロセッサの発熱を、どう処理するかも、技術者の腕の見せ所だ。そのあたりに、いかにこだわれるかが、ビジネスノートPCの完成度を大きく左右する。PC事業部・PCマーケティング部・PC商品企画担当グループ長の清水敏行氏は言う。
清水:いかにお客様に満足していただける商品を提供できるかを、最優先に考えています。大切な点は、安定・安全動作するという品質へのコミット、安心できるセキュリティ機能の搭載、マーケット・ニーズに応じたビジネスPCスタイルへの配慮です。
東芝としては、グローバル展開での使い勝手も重要です。今、ビジネス市場のPCは、海外でも安心して使えることが求められています。特にモバイル系では、小さく軽く持ち歩きに便利なものでなければならないのは当たり前なのですが、それを目指したことで、品質面が犠牲にならないかに細心の注意を払います。信頼性を勝ち取るために、どうカタチを作っていくかということですね。。
実はビジネス市場というのは、かなり保守的です。最新の技術は、ある意味で信頼性が確認されていない面もありますよね。東芝は、ノートPCの開発段階からインテルやマイクロソフトと密接に話をしながら、アーキテクチャーの考え方などの議論をしています。だからこそ、高い性能、最新の性能をいち早くご提供できるのです。ある意味では、世界で最もインテルやマイクロソフトに近い位置にいるノートPCメーカーではないでしょうか。
ホームとオフィスとモバイル、すべてをサポートする東芝PC
グローバル展開における製品の位置付けは、各社ともに悩みの種だ。海外と日本では、ノートPCに関する考え方も違えば、ビジネスマンの移動手段も異なる。
例えばデスクトップ代替ノートPCの場合、海外では2スピンドルモデルで良しとされるが、日本ではFDD付きの3スピンドルモデルが根強く求められる。
そして、電車で移動する日本人と、クルマで移動する海外のビジネスマン。大切にパソコンを扱う日本人と違い、外国人の多くは、パソコンを無造作にクルマのトランクに放り込む。そんな状況での移動に際する振動にも耐えられるような堅牢性は海外特有のニーズだ。
市場の要求がそれぞれ違い、すべての要求に応えると、何も手を抜けない。結局のところ、全体のバランスを、かなり高いところで保つ姿勢をとらざるをえない。
清水:長年の経験から、多岐に渡る品質チェック項目を用意し、部品調達の段階から設計・製造の段階に至るまで、きめ細かい品質管理を行っています。
今、最も重要なテーマは課題は、PCのセキュリティです。例えばハードウェア・セキュリティチップのようなソリューションを搭載することは今すぐでも可能ですが、どう使用するのが良いのか、まだ明確になっておりません。完璧と断言できるものができない限り、中途半端なままでは、機能を載せられないというのが東芝の考え方です。
さらに、旬のテーマとして、薄いけれども大きなノートPCというような、新しいフォームファクタも考えています。燃料電池や水冷なども現実味を帯びてきました。いずれにしても、ホームとオフィスとモバイル、すべてにおいて企業向けに提供するPCとしてふさわしいものを作る努力を続けております。
[山田祥平, ITmedia
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