「アドビよ、お前もか……」――次期Photoshopにアクティベーション導入が決定
アドビシステムズが、Photoshopの次期バージョンで、インストール時のアクティベーション(=ライセンス認証)プロセスを導入する。既にオーストラリアでは試験的に導入しており、その結果をふまえて、米国と日本での導入が決定したとのことだ。 まずはWindows版からの実施とし、Mac版については時期を未定としながらも、システム導入の意志があることは明確にした。今後はアドビの全製品が対象になっていくという。 このライセンス認証はアクティベーション(ロック解除)とも呼ばれるもので、正規ユーザーを的確に認証するためのプログラミングがソフトウェアに埋め込まれたプロテクトシステムである。ソフトウェアをインストールしてから30日以内に、正規ユーザーに対してアドビから提供される認証コードでアクティベーションする手続きを行なう。これを行なわずにソフトウェアの使用を続けた場合、インストールから30日過ぎると、ロックがかかってしまい起動不可となる。 このようなシステムが導入される背景には、周知の通り「不正コピーの蔓延」という問題がある。友人や知人との間で何気なく貸し借りすることによって行われる、ソフトウェアのカジュアルコピー。これを阻止しようというのが、今回の措置の狙いというわけだ。
同様のシステムは、マイクロソフトが2001年からすでに導入を進めており、同社のWindows XP、Office XPがその対象となっている。しかし先行したマイクロソフトのシステムではいくつかのトラブルが起きている。例えば、正規ユーザーが使用するWindowsマシンのアクティベーションシステムでバグが発生し、Officeが起動不可になる障害などだ。
PCを頻繁にアップグレードしたりパーツを変更したりするユーザーには、アクティベーションは厄介なタネになりかねない。仮にHDDを初期化しなくてはならなくなった場合、どうすればよいのか? これについて、アドビの説明は次の通りだ。 「アドビはシステム導入の後発組というメリットを生かし、深刻なエラーが起きない努力はしている。HDの初期化に対しては、再度アクティベーションをしていただく作業は発生するが、問題なく使用継続できる。個人のライセンスについては2台目までインストールが可能。これについてPCの買い替えなどがあった場合、電話(フリーダイヤル)でご説明いただければ正規ユーザーとして認証させていただく」(マーケティング本部・デジタルイメージング&ビデオ部・フィールドプロダクトマネージャーの栃谷宗央氏)。 つまり、ユーザーに対しプログラムで機械的なふるい分けはするが、その後の諸問題はヒューマンに対処する、という比較的緩やかなシステムなのである。とはいえ、おそらく多少のトラブルはあるに違いない。アクティベーション導入を円滑に進める上で、同社にはヒューマンな部分での不公平感を生じさせないことが求められるだろう。
アドビシステムズの栃谷氏
アクティベーションのサンプル画面 また「ライセンス認証とユーザー登録は別物」とアドビは説明するが、“ソフトウェアベンダーによる個人情報の収集”は現実の事件として過去に起きている。そういったことへの懸念は、ユーザーの立場としては、にわかに払拭できない。 マイクロソフトに続いてアドビがアクティベーション導入を決めた波及効果は、相当大きいだろう。この傾向は業界全体の動きにつながっていくことが容易に予測できる。 「悪質なユーザーを探すために行うのではなく、正規ユーザーの権利を守ることを意図している」とアドビは述べているが、悪質なユーザーに対する取り締まりに関する明確な解答は得られなかった。 結局のところ、アクティベーション全般の簡便性の向上及び“ヒューマンな対応”に、すべてはかかっている。大部分の正直なユーザーが気を悪くしない行動を、アドビには期待したい。 [島津篤志, ITmedia ] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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