> レビュー 2003年11月4日 12:35 PM 更新

400万画素CCD搭載の超薄型軽量3倍ズーム機――ペンタックス Optio S4(2/3)


前のページ

コンパクトなボディに多彩な機能を搭載

 Optio S4は98グラムの常時携帯型デジカメだが、そのボディに似合わないほど機能はしっかりしている。

 液晶モニタは1.5インチ。その下にMENU、DISPLAY、再生の各ボタンが並び、右には円形十字キー、発光モード兼削除ボタン、フォーカスモード兼プロテクトボタン、ズームキーが並ぶ。モニタを小さくしたおかげで親指を置くスペースができ、小さい割にグリップはしやすい。


液晶モニタに表示されているのは、十字キーを下に押すと出てくる撮影モードのバーチャルダイヤル。十字キーがスティック状から円形に変わったのにも注目したい。ボタンやキーは、超小型軽量機としては多い方だ

 注目すべきは、中央がOKボタンになっている円形十字キー。Optio Sではスティックタイプが採用されていて、OKを押そうとしてスティックが斜めに入ったり、スティックを倒そうとしてOKボタンを押してしまうといった誤操作をしがちだったが、円形になったことで押す場所がはっきりし、誤操作が減った。これはよいことだ。

 この十字キーには、メニュー操作時以外に使う機能が割り当てられている。デフォルトでは左右が露出補正、上がセルフタイマー、下が撮影モードだ。左右は露出補正のほか、ホワイトバランス、画質など12種類のファンクションから好きなものを割り当てることができる。

 面白いのは、十字キーで呼び出す撮影モード(MODE)と、MENUボタンで呼び出すメニューの2種類の使い分けだ。

 MODEは撮影モードを選ぶためのもので、十字キーを下方向に押すと8種類の撮影モードが円形に並んだバーチャルダイヤルが現れる。「P」はプログラムAEで、「ピクチャー」、「夜景」、「動画」、「パノラマアシスト」、「3D撮影」、「デジタルフィルタ」、「ユーザー」の各モードが時計回りに並んでいる。

 ピクチャーモードはいわゆる「シーンモード」で、風景、花、人物、自分撮り、サーフ&スノー、紅葉、夕焼けがアイコンで並んでいる。メニューで選ばなければならないとはいえ、さっと呼び出せるため、使い勝手は悪くない。

 デジタルフィルタモードにも注目だ。モノクロ、セピアのほか、青、赤など色別のフィルタが用意されている。「スリムフィルタ」という、わざとゆがめてスリムに撮るフィルタも面白い。

 3D撮影モードは、簡易立体写真撮影機能である。立体写真は、左目と右目で少しずれた画像を見ると、平面の写真が立体的に見えるという錯覚を利用したもので、1枚の画像を左目用と右目用に左右に分割して記録する。Optio S4では左目で左側、右目で右側の絵を見る平行法と、その逆の交差法の両方をサポートしており、プリントアウトした立体写真を見るためのビューワーも付属する(慣れればビューワーがなくても立体視が可能)。

 簡易的な立体写真撮影機能なので、左目用、右目用と2回シャッターを切る必要があるが、画面にガイドが出るのでなかなか楽しめる。できればカメラを三脚に固定し、マクロスライダーなどを使ってカメラを平行にずらして撮る(人間の目の間隔である5〜7センチくらいずらすとよい)のが確実だ。こういった、多彩な撮影モードに含まれた遊び心がOptioシリーズの特徴といってよいだろう。

 一方、MENUボタンを押すと、撮影、再生、詳細設定の3個のタブが現れ、細かいセッティングをすることができる。ここではそのボディに似合わないほど、多彩な設定が可能だ。ホワイトバランスはオート、4種類のプリセットのほかにカスタム設定が可能だし、測光パターンもマルチパターン、中央重点、スポットの3種類から選べる。

 特にマニアックなのが画質の設定で、彩度、コントラスト、シャープネスの3種類について5段階から選べるのだ。デフォルトの彩度が高いと思ったら抑えめにできるし、コントラストが高くて硬いと思ったら低めにすることができる。フルオート系のデジカメでここまでできる機種はあまりない。自分好みのセッティングができたら、それをユーザーモードとして登録しておくこともできる。

ビジネスパーソン向けのAVメモツール

 ボイスレコーディングも、Optio S4が力を入れている機能の一つだ。電源ボタンを長押しすると、「ボイスレコーダーモード」で起動する。また、撮影後のプレビュー中にOKボタンを押すと、音声メモを写真に添付することができる。音声はWAVファイルで記録されるので、パソコン上で簡単に再生可能だ。

 再生モードに入るには、再生ボタンを押す。これは便利で、撮影モードからさっと再生モードに入れるし、再生モードにいてもシャッターボタンを半押しすればすぐ撮影モードに戻れるので、シャッターチャンスを逃さない。

 再生は非常に高速だ。十字キーの左右でさくさくと画像をめくっていくことができるし、十字キーによる拡大再生も高速で快適だ。また、再生時にOKボタンを押すとボイスレコーダーモードになってアフレコが可能だ。

 記録メディアはSDメモリーカード。さらに内蔵メモリも11Mバイト装備しているので、いざという時はそれで撮ることもできる。バッテリーは薄型のリチウムイオン充電池だ。充電は、電池を取り出して専用充電器にセットする方式で、本体内充電ができないのはやや残念だ。なお、SDメモリーカードとリチウムイオン充電池は底面のカバーを開けてセットするが、ボディの小ささを優先したためかカバーが開きやすいので持ち歩く時は注意したい。


底面の蓋にはロック機構はなく、指をひっかけるとすぐに開く。中には薄型バッテリーとSDカードスロットが並んでいる。このサイズで三脚穴まで設けているのは立派

 さて、本機のライバルといえば、従兄弟機でもあるカシオのEXILIM EX-Z4と前機種のOptio Sである。Optio Sに比べると、使い勝手や高速化による快適さではS4が優れているが、画質面の向上はあまりない。画素数が300万から400万に増えても、体感的にはディテールの描写力が少し上がったかなという程度だ。だが、快適さの向上は大きく、日常的に持ち歩いて撮りたい時に即撮る、という使い方をするなら、S4に決まりだろう。

 EXILIM EX-Z4と比べると、どちらを選ぶかは悩みどころだ。だがよく比べてみると、EX-Z4とS4ではコンセプトが微妙に異なる。S4が向いているのはビジネスパーソンだ。シンプルでスーツに似合いそうなデザインや、ボイスレコーダーモード、撮影モードと再生モードのどちらからも音声メモを追加できる機能は便利で、写真を撮ったあとで一言それについてのコメントを入れておけば、あとで見返す時に重宝するだろう。

 仕事で現場や製品の写真を撮ったり、さまざまな記録を残しておきたいという人にOptio S4は向いている。紙の手帳に手書きでメモするよりも、写真+音声メモの方が簡単だ。プライベートでも多彩な撮影機能を楽しめる。

[荻窪圭, ITmedia ]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページ | 2/3 | 次のページ


モバイルショップ

最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
第3世代インテルCoreプロセッサー搭載PC ドスパラはスピード出荷でお届けします!!

最新スペック搭載ゲームパソコン
高性能でゲームが快適なのは
ドスパラゲームパソコンガレリア!