> ニュース 2003年11月13日 09:19 PM 更新
IDG

Windows版iTunesで「ファイル共有」を可能にするツールが登場

Rendezvousを使えばiTunesで他のマシンの音楽をストリーミング再生することはできた。しかし、最近登場した「ファイル共有」までを可能にするWindows版ツールの存在は物議をかもしそうだ。(IDG)

 Apple ComputerはiTunesソフトウェアとミュージックストアをWindowsユーザーにも開放したことで、ダウンロード音楽の市場を広げる大きなチャンスを獲得した。しかし同社は最近リリースされたMyTunesのようなアプリケーションとも対抗していくことになるだろう。MyTunesはこのソフトウェアが想定していない使い方ができるようにするツールで、iTunesからネットワーク越しでプレイリストを共有することができる。

 20歳のTrinity College学生であるビル・ゼラー氏がMyTunesを書き上げてリリースしたのはiTunes for Windowsが公式リリースされてちょうど10日後。同氏のウェブサイトの記載によれば、このアプリケーションはユーザーに「他のコンピュータからあなたのハードディスクに音楽を保存する」ことができるという。

 MyTunesはAppleが購入済み楽曲につけているデジタル著作権管理システムを破るわけではないが、CDから読み込んだ楽曲をダウンロードし、再生することはできる。ゼラー氏は自身のウェブサイトで、MyTunesはネットワーク上で検知されることはないので、データの所有者が知らないうちに共有された楽曲がダウンロードされることはない、と述べている。

 ゼラー氏はMacCentralに対し、このアプリケーションは違法な目的のために作られたわけではないと主張しているが、アプリケーションの使用に当たっては開発者ではなく、利用者が責任を負うべきだと考えている。現在までAppleやRIAA、レコード会社から彼のアプリケーションに関して問い合わせは一件もないという。

 「彼らには法を破る人を追及してほしい。遵守している人をではなくて」とゼラー氏。「ただ、MyTunesは法的な目的に使うことはできるが、AppleやRIAAがこのソフトをどういうふうに問題視するかは分かる。私は、法を遵守する責任はユーザー側にあると考えている。法律に従わせるためにユーザーの子守をする義務はソフトウェア作者にはない」と同氏。

 ゼラー氏はさらに続けて語った。「ソフトウェアの本質は善でも悪でもない。単にユーザーがあることをやるための手段を提供しているだけなのだ。そのあることとはこの場合、iTunesを経由して共有されているファイルをコピーすることだ。何が著作権を侵害し、何がそうでないのかを判断する責任は開発者ではなく、ユーザーにある。著作権侵害は犯罪だと思うし、このソフトウェアを悪用することは可能だが、ユーザーに選択肢を与えることは重要だと思う。MyTunesのライセンス契約と常識から考えれば、このソフトウェアは法律を遵守した目的のためだけに利用されるべきだ」と同氏。

 「この種のアプリケーションが存在していること自体は驚きではないが、この訴訟に満ちた状況の中で、匿名ではないデベロッパー(ゼラー氏)がこれほど無頓着であるというのにはびっくりだ」Technology Business Researchのアナリストであるティム・ディール氏はMacCentralに語った。

 ディール氏は、現在では音楽の合法的なダウンロードを簡単にできるようになったため、MyTunesのようなアプリケーションはかつてのような人気は得られないだろうと考える。iTunes Music StoreはMacとWindowsで利用でき、WindowsではさらにBuyMusic.comや再起したNapsterなどにアクセスすることもできる。

 「合法音楽ダウンロードはとても簡単で安くなった。この種のアプリケーションが広く人気を得られるとは考えられない」とディール氏。「それでも、その機能を活用しようという少数の人間は存在するが」と同氏。

 ユーザーの反応は、予想通り賛否両論だ。MacとPCユーザーから届いたメールの比率は正確にはわからないが、一般的にWindowsユーザーはこのアプリケーションに感謝し、Macユーザーは音楽の違法なダウンロードを助長するとして非難しているという。あるユーザーはこのアプリケーションのことをTrinity CollegeとAppleの法務部に通報した。通報があった時点ではゼラー氏のサイトは大学のネットワーク内にホストされていたが、その後問題を回避するために別のドメインに引っ越したという。

 Appleが最初にiTunes 4をリリースしたとき、ユーザーがプレイリストから音楽を共有できる機能がついていた(ダウンロードはできない)。IPアドレスを直接入力すればインターネットを通して直接アクセスできることを、ユーザーが発見した。しばらくすると、ユーザーは自分のハードディスクから音楽をストリーミング放送し始めた。

 AppleはすぐにiTunesのアップデートをリリースし、インターネット経由で音楽を共有する機能を利用できないようにした。同じサブネット上のユーザーであれば、引き続き音楽共有は利用できる。

 「Rendezvous音楽共有はiTunes 4新機能の一つだが、その使い方にはわれわれを驚かせ、そしてがっかりさせたものもあった」とAppleはiTunesを改訂したとき、MacCentralに語った。「われわれは友人や家族が家庭や小さなグループで音楽を(コピーではなく)ストリーミングできるようにしたかった。しかし、一部の人たちはこの機能を利用して自分が知らない人にまでストリーミングしようとし始めた。Rendezvous音楽共有はiTunes Music Storeで購入した楽曲では使うことはできず、認証された3台のMacでしか再生できない。たとえばCDから読み込んだ楽曲であれば共有できる」とAppleは答えた。

 MyTunesのようなサードパーティ製アプリケーションが一般化しても、ティム・ディール氏はこれがAppleのクロスプラットフォーム音楽キャンペーンに実質的な影響はもたらさないと考える。

 「このようなアプリケーションにより、Appleはソフトウェアをアップデートして悪用を防止するようにせざるを得なくなるかもしれない。しかし、Appleの音楽キャンペーンへの影響は最小限に抑えられるだろう」とディール氏。

 オンライン音楽ダウンロードビジネスはAppleを王座から引きずり下ろそうと競合が激しくなっている。Appleはフルにソリューションをそろえており、ユーザーにソフトウェアとハードウェアを提供し、ダウンロードした音楽をMP3プレイヤーで再生できるようにしているが、ディール氏は音楽ライブラリを積極的に充実させていかないとユーザーを失ってしまうことになると警告する。

 「iTunes Music Storeは統一価格を提供した、最初のメジャーなオンライン音楽配布サービスで、これが市場の大きな発展につながった」とディール氏。「市場は同じような付加価値を持つサービスが乱立し始めており、3つの異なる価値命題が生み出されている。それは、価格、セレクション、使いやすさだ。iTunes Music Storeの価格戦略は他のサービスと互角だが、楽曲ライブラリを増やすようAppleが努力しないとNapsterにユーザーを奪われてしまう。iTunes Music StoreはiPodを売るために存在する。これはハードウェア、ソフトウェア、ウェブアプリケーションのすばらしい結合で、顧客をiPod/iTunesの組み合わせに誘導する。この統合に対抗するのは難しい」とディール氏は結論づけている。

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