> レビュー 2003年12月17日 01:31 PM 更新

インクジェットプリンタ絵作り大研究――第2回「自動修正機能時の絵作り」(1/3)

前回に引き続き、エプソンの「PX-G900」と「PM-G800」、キヤノンの「PIXUS 990i」の絵作りを見ていこう。今回のテーマは、各社がドライバあるいは付属ユーティリティに組み込んでいる自動修正機能が写真データに対してどのように作用するかだ。

いかに“アタリ”を出すかが腕の見せ所

 エプソンは「オートフォトファイン!」、キヤノンは「オートフォトパーフェクト」という機能を搭載しているが、いずれも最適な状態で撮影されていない画像をデジタル処理し、見栄えのよい写真へと自動修正するための機能という点は共通だ。

 ただし、自動修正すると言っても、人間が自らの判断で修正する場合のように、あらゆるケースで最適な状態になるとは限らない。コンピュータはデータの内容を一定の法則に基づいて分析・処理することは可能だが、“撮影の意図”まではデータから抽出することはできないからだ。従って、デジタルカメラのフルオートモードで撮影した80点の画像を自動修正機能で90点に引き上げることがある反面、意図的に露出やホワイトバランスをコントロールした画像では撮影意図を外してしまい、70点以下の写真になってしまう場合もある。

 同様の現象は、フィルムカメラのプリントなどで経験している人も多いはずだ。ポジのダイレクトプリントでは、忠実にフィルムに記録した画像をプリントしてくれるが、ネガプリントは見本となる色がなく、かつラチチュードも広いため、通常はDPEの装置側で自動補正がかかる。あからさまに露出不足な状況でも、ネガの場合はシャッターさえ押せていれば、とりあえずそれなりの写真に仕上がってくれる。しかし、たまには大きく外してしまっている場合もある。

 自動処理である以上必ず“ハズレ”はあるものだが、いかに“アタリ”を出すかが、各社の腕の見せ所と言えるかもしれない。各製品の処理結果を見ていこう。なお、テストに使用したオリジナルの写真データは、こちら(約35Mバイト)にアーカイブとして置いておく。

PX-G900:自動補正で見栄えが大きく変化

 先週の記事でも報告したように、PX-G900のデフォルトのトーンカーブは、シャドウ部ではかなり敏感な曲線を描いているようだ。このため、理想的な露出ではない写真データを印刷すると、黒浮きが強く感じられたり、妙に薄味で色乗りの悪い写真になってしまう場合が散見される。

 しかしその分、自動補正によって大きく見栄えが変わる可能性も持ち合わせているとも言えるだろう。ここでは、先週用いたサンプルの中から4つをピックアップして、オートフォトファイン!の「標準」モードと「EPSONフィルム調」モードを用いて印刷を行っている。


右から順に、デフォルト、オートフォトファイン!(標準)、オートフォトファイン!(EPSONフィルム調)【拡大表示

 キャンギャルの写真では、非常に良好な結果が得られている。標準モードでの補正結果を見ると、黒いスカートが黒く締まり、それとは対照的に肌が明るくキレイに印刷できた。肌の陰になっている部分の描写の違いが大きい。

 EPSONフィルム調モードも基本的には標準モードと同傾向だが、よりコントラストが強く、鮮やかさも強調された結果となった。肌色重視なら標準モードだが、全体的にパリッとした絵作りを評価するならEPSONフィルム調モードもよい。


上から順にデフォルト、オートフォトファイン!(標準)、オートフォトファイン!(EPSONフィルム調)【拡大表示

 次は室内での子供のポートレート。この例では、オートフォトファイン!が今一つよい結果を出せていない。標準モード時の補正はそれほど悪くはない。被写体を考えれば、多少オーバー目でコントラストも低い方が好みという人も多いだろう。しかし、その一方で立体感も失われ、“のっぺり”とした絵になってしまった。この辺りは意見の分かれるところかもしれない。

 EPSONフィルム調モードでの出力は、赤みが強すぎる。EPSONフィルム調で印刷すると、全体にコントラストや彩度が上がるが、この例では特に目立って不自然な出力結果になってしまった。他のショットでも、バストアップ以上の人物写真ではよい結果が得られなかった。


右から順にデフォルト、オートフォトファイン!(標準)、オートフォトファイン!(EPSONフィルム調)【拡大表示

 夕暮れ近い浜辺での写真で、雲やカモメがわずかに赤く色づいているシーン。主役のカモメに露出が合っており、背景はわずかに露出アンダーだ。オートフォトファイン!の標準モードで補正を行うと、カモメの描写には大きな影響を与えないまま背景の露出が補正され、彩度もアップする。ホワイトバランスは若干補正されているが、夕方の雰囲気は残っている。ただ、多少補正が行き過ぎており、単体の写真としては悪くないものの、オリジナルとの比較ではどちらがよいかは微妙なところだと言える。

 EPSONフィルム調モードは全体的に色が濃く、露出補正は行われているものの、それほどあからさまな感じではない。名前の通りポジフィルムのような描写で、元写真の雰囲気からは大きく変わるものの、楽しめる絵作りとは言えるだろう。


上から順にデフォルト、オートフォトファイン!(標準)、オートフォトファイン!(EPSONフィルム調)【拡大表示

 日が沈む間際の浜辺で、空が淡い紫色に染まっている状況での写真だ。標準モードだと露出補正過多になるのは上記の例と同じで、EPSONフィルム調モードでも同様の露出補正が行われている。過多と言うほどではないが、せっかくのポジフィルムっぽいマニアックな絵作りの元絵に露出の補正がかかってしまうのが多少残念である。


上から順にデフォルト、オートフォトファイン!(標準)、オートフォトファイン!(EPSONフィルム調)【拡大表示

 典型的なクマノミの写真。水中写真では富士フイルムの「ベルビア」というISO50感度のポジフィルムを使う人が多い。非現実的な鮮やかさのベルビアと、水中写真の世界がマッチするという理由もある。そうした水中写真のセオリーから行くと、標準モードで補正された写真は多少色乗りが悪く、白っぽい仕上がりに感じる。

 一方EPSONフィルム調モードは、基本的には撮影したかった写真に近いイメージの仕上がりである。ただし、オレンジの彩度は行き過ぎの感アリ。とはいえ、水中写真マニアならばEPSONフィルム調モードをぜひ試してほしい。ここではオレンジの補正が行き過ぎた例を挙げたが、他の例では良好な結果が出ている。

[本田雅一, ITmedia ]

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