日本発のTDD技術を世界へ――日中3団体が技術交流で合意

» 2009年06月25日 21時54分 公開
[ITmedia]
Photo 左からYRP研究開発推進協会会長の甕昭男氏、TD産業協会秘書長のヤン・ファー氏、XGPフォーラム副議長の若尾正義氏

 6月25日、YRP研究開発推進協議会とXGPフォーラムが、中国でTDD(Time Division Duplex)技術を推進する業界団体のTD産業協会と技術交流することで合意し、覚書を締結した。

 3団体はTDD技術の研究と開発に向けた検討を共同で行うとともに、TDD技術を採用した次世代通信技術の可能性を追求するとしている。

 TDD技術は、時間軸圧縮を行って送信と受信を時間ごとに切り替え、二重通信を同一周波数帯域で可能にする通信方式。技術面では(1)ペアバンドが不要なため周波数割り当てが容易であり、国際的な普及に向けた優位性が高い(2)無線通信の品質を向上させるスマートアンテナ技術との親和性が高く、大容量ネットワークの構築が可能 という特徴を備えている。

 日本で開発されたこの技術は、ウィルコムが展開するPHSやXGP(次世代PHS)、中国で開発された3G技術のTD-SCDMAやTD-LTEに採用されている。中国では中国移動がTD-SCDMAのサービスを提供しており、TD産業協会秘書長のヤン・ファー氏によれば、2009年第3四半期にはTD-HSUPAが提供されるという。「2010年にはTD-HSPA+が提供される予定で、TD-LTEについては2010年5月の上海万博での試験サービスを予定している」(ヤン・ファー氏)

 XGPフォーラム 事務局長の杉浦正一氏は、上りと下りの通信を同じ周波数で行うTDD技術は周波数帯の利用効率が高く、「モバイルブロードバンド時代にメリットがある技術」とアピール。XGPは、PHSで12年間運用してきたTDD技術を進化させた技術であり、「このノウハウに中国の広い市場と優秀なテクノロジー、YRPのR&D体制をミックスし、TDD技術を世界に向けて発信したい」と意気込んだ。「世界のモバイル通信の80%はFDDだが、アジアから新しいTDDベースの技術を世界に向けて発信したい」(同)

 なお今回の技術交流は、5月5日に日中両政府間で交わされた「情報通信分野の協力強化に関する合意」を受け、3G携帯電話やBWAに関する民間レベルの交流を行った結果、実現したという。

Photo 左からXGPフォーラム副議長の近義起氏、総務省情報通信国際戦略局国際交渉専門官の飯田陽一氏、YRP研究開発推進協会会長の甕昭男氏、TD産業協会秘書長の楊●氏(●は馬+華)、XGPフォーラム副議長の若尾正義氏、中国工業情報化部の葉林氏、YRP研究開発推進協会副会長の大森愼吾氏

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