韓Samsung電子が「CommunicAsia 2009」開幕前日のシンガポールで新製品のプレス向けイベント「Samsung Unpacked」を開催。“スマートフォンよりもスマート”というコンセプトの「Jet」を発表した。
Jetは約3.1インチのアクティブマトリックス有機ELディスプレイを搭載したフルタッチ携帯電話。同社のタッチパネル端末向けでおなじみの「Touch Wiz」ユーザーインタフェース(UI)を搭載しており、指先での操作や待受画面へのウィジェット配置などが可能だ。また携帯電話としては高速な800MHzのプロセッサを搭載しており、全体的な処理速度が大きく向上している。通信規格は、下り最大3.6MbpsのHSDPAとEDGE/GPRS、無線LAN(IEEE802.11 b/g)、Bluetooth 2.1に対応する。
Samsung電子は昨年の「CommunicAsia 2008」でスマートフォン「OMNIA」を発表。それから1年、今回はスマートフォンに近い操作感と機能をもったハイエンドな音声端末を世に出した。搭載OSは日本でも販売されている「OMNIA 930SC」「OMNIA POP 931SC」と同じSamsung電子独自のものであり、Windows Mobileなどのスマートフォン向けOSではない。しかしながらMicrosoft Exchange ActiveSyncに対応し、プッシュメールの利用やカレンダー、アドレス帳の同期など、スマートフォンと同等の機能を備えている。ちなみに同機能の搭載は、非スマートフォン端末としては初めて実現した。
Jetに搭載されるアクティブマトリックス有機ELは、従来のTFT液晶と比較して消費電力が少なく済むのが特徴。180度の広い視野角と高コントラスト、高レスポンスも特徴で、動画や写真をより鮮明に表示できる。
Webブラウザは独自開発の「Dorfin Web Browser」を搭載。PC向けサイトの表示はもちろん、Flash再生や5画面までのマルチウィンドウ表示、バックグラウンド通信などにも対応。また画面の拡大/縮小を指1本で行える「ワンフィンガーズーム」機能も搭載した。これはブラウザやフォトビュワーの画面を指先で長押しすると、上下方向にズーミングボタンが表示され、そのまま指先1本で画面を拡大/縮小できるという機能。2本の指を使うマルチタップ操作に比べ、片手で操作できるメリットがあるという。
このほかにも、手ブレ補正と顔認識AF、デュアルLEDフラッシュを備えた5Mピクセルカメラ、マルチタスクや端末からウィジェットを直接ダウンロードできる機能、日本向けOMNIAシリーズでもおなじみのお絵かきアニメ、DivX/XviD形式にも対応した動画プレーヤーとテレビ出力機能など、Samsung電子らしいマルチメディア機能を搭載した。
フルタッチ端末で気になる通話時の使い勝手だが、電話をかける際は画面上に指先でアルファベットを書くだけで電話帳からその頭文字のコンタクトリストが表示されるなど、フルタッチを利用した新しい機能も搭載する。
このようにJetは非スマートフォンでありながらもスマートフォンと同等の機能を搭載しており、高機能携帯電話に飽き足らない一般ユーザー層をターゲットにした製品になっている。発表会の席上、同社グローバルマーケットグループ・モバイルコミュニケーション部門 部長のリー・ヤンヒー氏は「Jetはスマートフォンに相当する機能を備えた新世代のハイエンド携帯電話であり、インターネットやビジネスユースなどスマートフォンが得意とする機能をより広いユーザーに体験してもらうことが可能になる」とその特徴を語った。
また日本での展開について、同社アジアマーケットグループ・モバイルコミュニケーション部門 専務のチョウ・ホンシク氏は「日本市場では通信キャリアとの調整もあり、すぐにJetを投入するかどうかは未定だが、端末の優れた機能をアピールしていきたい」と含みを持たせた。
Jetの発表イベントはシンガポール、ドバイ、ロンドンの3都市で時間をずらして開催され、この3都市では6月中旬から発売となる。その後、欧州やアジア各国で順次販売される。
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