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» 2009年07月10日 14時44分 UPDATE

Ericsson Business Innovation Forum 2009:「PDC」の失敗から“世界標準”の重要性を学んだ日本――Ericsson エワルドソン氏 (1/2)

WiMAXやLTEといった新技術や、iPhoneやAndroidケータイなどの革新的な端末への注目が集まっている。しかし業界全体では、市場からの撤退や統合など、再編の動きも絶えない。次世代通信を巡る市場環境について、業界最大のEricssonに話を聞いた。

[末岡洋子,ITmedia]
photo Ericsson 無線ネットワーク プロダクトエリア 担当副社長のウルフ・エワルドソン(Ulf Ewaldsson)氏

 インフラではLTEの足音が近づき、端末側ではiPhone 3GSAndroidケータイなどがモバイル業界をにぎわせている。モバイルブロードバンド時代を迎え、固定網に近い接続速度が無線でも現実のものとなる一方、通信機器業界は撤退する企業やグループの統合など、業界再編のさなかにある。

 通信機器最大手のEricssonで無線ネットワーク プロダクトエリア 担当副社長を務めるウルフ・エワルドソン(Ulf Ewaldsson)氏に、次世代のLTEやHSPAを巡る市場環境について話を聞いた。

ITmedia(聞き手、末岡洋子) 先日、Ericssonの競合であるNokia Siemens Networksが、カナダのNortelからLTEとCDMA技術を買収すると発表しました。これは御社にどのような影響を与えるでしょうか。

ウルフ・エワルドソン氏 Ericssonは、早期にLTEで優位なポジションを獲得しており、この取引がわれわれに影響を与えるとは思っていません。われわれはLTEでは、NTTドコモ、Verizon、TeliaSoneraの3社との早期契約を発表しており、ほかのオペレーターとも同じような話を進めています。

ITmedia Huaweiなど、中国のベンダー勢も追い上げています。Ericssonの強みとは何でしょうか。

エワルドソン氏 我々の最大の強みはスケールメリットです。2Gと3Gで40%以上のシェアを持っているため、市場から多種多様なフィードバックが得られ、これが研究開発や製造面のメリットになっています。

 スケールメリットが強みを発揮するのはハードウェアだけでなく、ソフトウェアでも同じです。Ericssonは世界中で同じソフトウェアを利用しており、容易にアップグレードできます。

 また、グローバルな組織を持っていることも強みといえるでしょう。これは中国ベンダーとの競合で重要な強みになります。われわれには約130年の歴史があり、長い時間をかけて世界市場で成長してきました。世界中の顧客に確かなサポートを提供できます。

 もっとも品質を重視する市場である日本では、新横浜に大規模なサポートセンターを設置しています。

ITmedia LTEの商用サービス開始はいつ頃と予想していますか? 経済危機の影響はあるのでしょうか。

エワルドソン氏 LTEのローンチが経済危機の影響を受けて大きく遅れるとは見ていません。2009年中には、デモ目的かあるいはテストサービスの形でスタートするでしょう。商用サービスの開始は2010年と予想しています。ただし、どの市場でも当初の提供エリアは限定的ですから、本格的な商用化は2011年から始まると見ています。

ITmedia LTE導入を控えている今、HSPA+の役割とはどのようなものでしょうか。またオペレータにとってHSPA+への投資は意義があるのでしょうか?

エワルドソン氏 HSPA+のチップセットとターミナルは、LTEと比べると価格面で大きなメリットがあります。また多くの顧客が、既存基地局のソフトウェアアップグレードのみでHSPA+の実装を開始しています。

 HSPA+の意義ですが、現在のGSMと同じ状況になると思います。GSMは1992年に始まった第2世代の古い技術ですが、利用者数ではいまだに3Gを上回っています。15年以上前に開発された技術がもっともシェアのある規格なのです。3GをベースにしたHSPA+も同様に、今後大きなボリュームになるでしょう。LTEはこれより遅い速度で普及し、2つの技術は平行して使われます。こうなることは、モバイルの歴史から見てとれます。

 HSPA+の速度はこれまで、下り速度が最大21Mbps/上り速度が最大5Mbpsでした。しかし6月にはMIMO技術に対応したことで、下り最大28Mbpsになりました。これに64QAM変調を組み合わせることで、年内に42Mbpsへとスピードアップする見込みです。

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