Flash導入で“ケータイ利用の座席指定”がここまで変わった――ANAのケータイFlash導入事例(1/2 ページ)

空席の有無だけではなく、足元の広さや化粧室の位置などの周辺環境まで分かるようにできないか――。ANAのモバイル向け座席指定コンテンツのこんな課題を解決したのが、携帯向けFlashの導入だ。このサイトに直感的な操作や快適なレスポンス、美しいグラフィックをもらたしたのが、りーふねっとのFlashソリューションだった。

» 2009年09月01日 10時00分 公開
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Photo 従来のHTML版座席指定サイト(左)と新たに導入したFlash版サイト。予約時に座席の属性や周辺環境を把握しやすくなり、操作性も向上した

 携帯電話のディスプレイが大型化、高解像度化するのに伴い、Webコンテンツをリッチ化させる動きが加速している。中でも携帯サイトのFlash化は、見栄えをよくするとともに操作性の向上も見込めることから、対応する企業が増えている。

 こうした中、4月から全日本空輸(以下、ANA)もモバイルサイト「ANA SKY MOBILE」内の事前座席予約システムにFlashを導入。これまでのHTMLサイトでは空席の有無しか把握できなかったが、Flash Liteの導入で足元の広さやリクライニングの可否、非常口付近かどうか、近くに幼児連れの人がいるか、座席の近くにトイレがあるかどうかまでを把握した上で座席を決められるようになった。

 ANAがサイトをFlash化する上で重視したのが、年齢や性別を問わない使いやすさを実現するユーザビリティとサクサク動く快適なレスポンス、見栄えのいいグラフィックの3点。この条件を満たしたFlashサイトの実現を支えたのが、りーふねっとのFlashソリューションだった。


 サイト構築を担当した全日空システム企画とりーふねっとは、どのような技術と工夫でANAの要求に応え、Flashサイトを完成させたのか――。通信・ITSジャーナリストの神尾寿氏がANA、全日空システム企画、りーふねっとの担当者に聞いた。

ケータイはもはや“PCの補完的なサービス”ではない

Photo 全日本空輸 営業推進本部 営業システム部 スーパーバイザーの大村成雄氏

ITmedia(聞き手:神尾寿) ANAはネット予約の活用に積極的なことで知られています。その中で「モバイル」の利用率はどの程度なのでしょうか。

全日本空輸 大村成雄氏(以下、敬称略) 国内線の場合、インターネットを利用した予約の割合は全体の7〜8割、さらにその中のモバイルサイトの利用率は2割程度になります。

ITmedia モバイル予約も含めて、ネットの予約率が高い傾向にありますね。

大村(全日空) 国内線のネット予約率は順調に推移してきていますが、国際線はまだまだですので、これからがんばっていかなければならないと思っています。

ITmedia ANAは今回、モバイル向け座席指定コンテンツのFlash化に踏み切ったわけですが、これは携帯電話を利用した予約の重要性が高まっていることを受けた施策なのですか。

大村(全日空) そうですね。PCサイトでのFlashの採用など、これまでも、より分かりやすく、より使いやすいサイトへと改良を続けてきました。また、最近は他のモバイルサイトも利便性が向上してきていて、われわれとしても、これまで培ってきたノウハウを生かして、モバイルサイトも向上させていかなければならないと考えています。また、世の中には(ネット利用が)ケータイオンリーというユーザーも少なからず存在しています。今までの“ケータイはPCの補完的存在”という考えを少し変えて、ケータイしか使わない層も意識した上で、ある程度一貫したサービスを提供できる環境を携帯電話向けにも整えていこうと思っています。

ITmedia “ケータイのみのユーザー”とは、具体的にどのような属性の人たちなのでしょうか。

大村(全日空) PCに比べると、若い女性の比率が高いですね。ここを新たなモバイルサイトで開拓していきたいと考えています。

ITmedia 今回、Flashを導入した経緯や、導入にあたって重視した点についてお聞かせ下さい。

大村(全日空) 携帯向けサイトの利便性を高めるにあたって、まずは“ケータイのどこが使いづらいのか”をあらためて考えるところからスタートしました。いろいろと調べてみたのですが、ケータイはどうしても操作に使えるボタンが限られ、ユーザビリティが悪い部分がある。そこを少しでも改善したいと考えました。

 その中でも、PCとケータイで操作性に大きな差があったのが、シートマップ(座席表)による事前座席指定機能でした。PC向けサイトのシートマップはFlashを使った分かりやすい仕様になっており、それが競合他社に対する我々のアドバンテージになっています。しかしケータイ版は、(テキストで)○×が並んだようなシンプルなもので分かりにくかったのです。大量の情報を分かりやすく表示する良い方法はないかと思ったのが(Flashを導入しようと考えた)きっかけです。

ITmedia 確かにANAのPC向け座席予約サイトは、クォータービューで座席の状況が分かりますから、とても使いやすいですね。シート周辺の状況もよく分かります。

大村(全日空) 自分の座るシートが窓側か通路側かというのは当然として、足元の広いシートがいいとか、お手洗いの近くがいいとかその逆であるといったような、細かいニーズを拾えるようにしたいという思いは強いですね。国内線なら座っている時間もせいぜい数時間レベルですが、国際線は長時間になりますからなおさらでしょう。

ITmedia PC向けと同じクオリティをケータイでも提供したい――という、ANAのニーズがあったわけですね。

大村(全日空) 我々の思いはもちろんのこと、(シートマップの見やすさや操作性の向上は)お客様からのニーズも強かったのです。お客様のためにも、モバイルサイトの利便性と操作性を上げなければならないと考えたわけです。

ITmedia こうした背景からANA SKY MOBILEの予約画面は、Flash Liteを採用したグラフィカルなものになりました。しかし、これだけリッチなユーザーインタフェースを携帯電話のスペックで実現するには、いろいろと葛藤や苦労があったのではないでしょうか。

Photo Flash化されたANAのモバイル向け座席指定コンテンツ。座席の位置や属性、周辺環境が一目で分かるようになった。操作性についても、十字キーの上下と決定キーのみで操作できるよう工夫した

大村(全日空) そこはたくさんありすぎて……(苦笑)。ファイルサイズを100Kバイトに抑えようということだったのですが、それはもう苦労が多かったですね。特に国際線は、シートの形がファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミークラスでそれぞれ違うのですが、そこは実物に近いグラフィック表現をしたかったから大変でした。また(飛行機の)機種ごとに座席数が異なり、大きな機種になるとさらに容量が増えてしまうところも難しかったですね。

 もともとFlashを導入する目的が“モバイルサイトをリッチで分かりやすく、使いやすくしたい”ということだったので、あまりデータを削りすぎて貧弱な見栄えになってしまうのでは意味がないわけです。チープにならず、リッチな表現を実現しながら容量を抑えていくというのは、我々としても強くこだわりましたし、(開発を行った)ANAシステム企画とりーふねっとさんに努力していただいたポイントですね。

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提供:株式会社りーふねっと
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia プロフェッショナルモバイル編集部/掲載内容有効期限:2009年9月30日