元グーグルのラーゲリン氏が「驚いた」iPhone広告の魅力(3/3 ページ)

» 2009年09月02日 10時30分 公開
[山田祐介,ITmedia]
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iPhoneアプリは“ランキングが命”

 iPhoneは、インターネット環境に加えて豊富なアプリケーションも魅力の1つだ。世界中のベンダーがiPhoneアプリのビジネスに取り組んでおり、実際にアドモブでもアプリをダウンロードするApp Storeへの誘導広告は非常に多いという。また、アプリの中にバナー枠を設けて広告収入を狙うケースも多く、“アプリの中で別のアプリが宣伝されている”といったこともiPhoneでは日常的だ。

 このようにアプリのプロモーションが活発な背景には、大量のアプリがリリースされる中で自社のアプリを目立たせることが難しく、一種のSEO的な工夫が必要になっていることがある。

 ラーゲリン氏によれば、ユーザーの93%はiPhoneから直接アプリを探し、PCからアプリを探すユーザーはわずか7%だという。そのため、アプリのユーザーを増やすには、iPhone上でマーケティングを図り、App Store内のランキング上位に入ることが有効な手段だと同氏は話す。アプリの配信と同時に1週間ほど広告を配信し、App Storeでのランク上昇を狙う――そのような広告プランが想定されるという。

 広告の実際の効果について、ラーゲリン氏は「iPhone広告のクリック率は1〜2%と高い。私はグーグルに勤めていたが、この数値には驚いた」と自信を示す。また、コンバージョン率(最終的な成果:アプリの場合はダウンロード)に関しても、「無料アプリの場合では、10〜20%と高い」という。

 アプリのマーケティング事例として紹介されたのは、米国の塗装チェーン店Sherwin-Williamsが配信するアプリ「ColorSnap」の広告だ。

photophoto 単なるゲームやツールに加え、最近ではブランドの認知やイメージ向上を狙った“ブランドアプリ”がトレンドになっているという。Sherwin-Williamsのアプリ「ColorSnap」は、撮った写真の色に近い塗料を探し出すというもの
photo キャンペーンの概要

 同アプリはキャンペーン前から配信を行っていたが、バナー広告のキャンペーンを2日間実施したところ、広告期間中のダウンロード数は通常の5倍になり、カテゴリランクは70位から18位に上昇した。さらにキャンペーンが終了した後も、キャンペーン前よりダウンロード数が増えた。こうした効果がどれほど続くかは、「アプリ次第」だが、キャンペーンの初期に強力に広告を展開し、その後は小規模な広告を続けてランクの降下を防ぐといったケースも多いという。


photophoto ColorSnapのダウンロード数の推移(写真=左)とランクの推移(写真=右)

 現在アドモブでは、リアルタイム性にこだわった広告効果の検証サービスをクライアントに提供している。キャンペーンの最中でもインプレッションやクリック率、ダウンロード数などを5分間隔で調べることが可能で、これによりクライアントはキャンペーン中に複数の広告を試し、最も効果の高いものを見つけることができるという。同サービスの日本語版は「外国人の私が見ても、満足なレベルのものではない」(ラーゲリン氏)というが9月中にも刷新する予定だ。また、InsightExpressとともに、PCサイト向け広告とモバイル向け広告とでキャンペーンの効果を比較する手段も準備しているという。

 「従来とは別物の広告がモバイルでも配信できるようになったことで、マーケッターのPCとモバイルの広告に対する“割り振り感”も変わってくるはず。アドモブとしては、広告効果をきちんと検証できる形でモバイル広告を使ってもらえるよう、技術を開発していく」(ラーゲリン氏)

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