こうした状況の中、iPhoneアプリのPR手段として注目されいているのが、自社アプリの中に、ほかの自社アプリのPRコンテンツを組み込む“インアプリPR”だ。「3月に行われた『GDC 2009』(ゲーム開発者向けの国際イベント)では、多くのセッションでインアプリPRの重要性が語られていた。海外のiPhone向けコンテンツプロバイダーは積極的にインアプリPRを取り入れ、成功している。ぜひ日本でも、世界で戦うことを前提にインアプリPRを導入してほしい」(幅氏)
しかし、インアプリPRは“PR自体にコンテンツとしての魅力がない”“広告を追加する度にアプリをアップデートする必要がある”などの課題を抱えており、「ただ入れれば成功するものではない」(幅氏)。また、多くのiPhoneアプリが比較的少人数で開発されているため、インアプリPRの管理まで手が回らないのが実際のところだという。
こうした課題に着目し、ヴァルアップテクノロジとともに開発したのが、インアプリPRを効率的に管理するためのミドルウェア“CLOUDIA”だ。同製品の最大の特徴は、PRの追加やスタイルの変更をWeb上から簡単に行えること。アプリのアップデートは不要で、プログラマーの手をわずらわせることなく、誰でも簡単にインアプリPRを制御することができる。
またCLOUDIAは、「飽きやすいユーザー」にPRを魅力的に見せる工夫も凝らされている。PR画面のスタイルは「汎用バナー」に加え、「カバーフロー」「カルーセル」などのスタイリッシュなものを用意し、順次種類を増やしていくという。WebリンクやYouTubeのプロモーション動画へのリンクなども、URLを指定するだけで設定が可能だ。
CLOUDIAは現在、βテストのパートナーを募集している段階で、利用料金はまだ決まっていない。ただ、「個人、法人それぞれに付加価値を切り分けるような、使っていただきやすいサービスと価格の体系にしたい。サーバを利用するため、ASPやSaaSなどの料金体系に近いものになると想像している」と幅氏は説明する。
今後の機能強化としては、“購入済みアプリ”の広告をクリックした場合はそのアプリが起動する「アプリランチャー」機能を新たに実装する予定。各アプリのアップデート情報なども表示できるようにし、ブランドを総合的にマネジメントできるエンジンに進化させる。
さらに将来的には、Xbox 360に搭載された実績機能のような、ユーザーがスコアやランキングを共有する機能や、SNSとの連携、iPhone以外の端末とも連動するマルチプラットフォーム展開なども検討していくという。
詳細は明らかにされなかったが、「CLOUDIAを搭載したアプリが近日リリースされる」と幅氏はコメント。そのほかにも、マジックメーカーのテンヨーとコラボしたiPhoneアプリもリリースする予定と、ミドルウェアメーカーの枠を超えて同社はiPhoneビジネスに取り組む構えだ。
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