Pantechは、初のブランド携帯を発表するなど個性のある端末を中心に存在感をアピールしている。
「S.T.Dupontフォン」(IM-U510LE・SK Telecom用)は、その名のとおり宝飾品メーカーとして有名なS.T.デュポンと提携したフルタッチパネル携帯だ。S.T.デュポンを象徴するダイヤモンドヘッドを端末の各部に配置してブランドイメージを強調しているほか、上部にはロゴ入りの18金をあしらって高級感を演出している。30代の男性が主要ターゲットということで、皮ケースや自動車用充電器なども付属している。
シンプル携帯では「ダブルアイ」(IM-U490S)が話題を集めている。これは端末の前後にあるカメラで同時に撮影ができるという点が特徴。片方で自身の姿を、片方で風景を撮影し、これらを1つの写真として合成する機能もある。また、同社が使用している「SKY」ブランドの10周年を記念して発売された「オマージュ」(IM-U440S・SK Telecom/IM-U440K・KT)は、前面部分に112個のLEDを搭載した華やかなスライド携帯。加速度センサーを搭載し、端末を振ると騒音除去センサーが自動的にオンになるなど性能プラスアルファの機能が他社にない個性的なものとなっている。
ところで同社は今年9月、Qualcommに対する技術使用料など7626万米ドルの債務のうち、4739万米ドル分の債権を出資に切り替えるという形で増資を行った。これによりQualcommはPantech系列の第2位株主となり、企業の再生事業にも弾みがついている。また、PantechとQualcommの結び付きが強くなることも予測される。Qualcommにとってはチップ市場でのシェア拡大の一助となるほか、PantechとしてはQualcommの最新チップを搭載したスマートフォンを発表するなどして、端末バリエーションを広げていけるメリットもある。
フルタッチパネル型の携帯電話が多く発表されている韓国市場では、機能やデザインへのこだわりはもちろんのこと、ユーザーインタフェース(UI)の重要性がこれまで以上に増している。タッチパネルの操作性は、既存のダイヤルキーを使った入力とは、使い勝手が全く異なるためだ。
LG Electronicsの場合、ニューチョコレートフォンやARENAなどには「SクラスUI」が搭載されている。画面中央に3Dのキューブが登場し、ここから写真や音楽などさまざまな機能を選択していく立体感のあるUIだ。
Samsung電子でもUIには力を入れている。「Haptic」に搭載されているHaptic UIや「スター」(S5230)などに搭載されている「TouchWiz」UIなどは、携帯電話のみならずMP3プレーヤーにも搭載されるなど活躍の場を拡大中だ。また、Pantechも「TruEmotion(トゥルーエモーション)」というタッチパネル専用の3D UIを今年7月から適用し始めている。
とはいえ、それが必ずしもユーザーから絶賛されているわけではないのが現状だ。ダイヤルキーとは異なり、画面上のアイコンなどを指で触れて操作するタッチパネル携帯では、誤操作が発生する頻度も高くなるからだ。SクラスUIやHaptic UIなどは、利用する上での“楽しさ”も追求した動きのあるUIとなっており、人によっては動きが目まぐるしく慣れに時間がかかるといったデメリットも指摘されている。また、いずれのUIもデザインや動きの面で類似している部分が多く、使いやすさを追求した個性的なUIの登場を待つ声もある。慣れが必要な部分ではあるが、画面の大型化・高精細化・高性能化とともに解決していく必要がある課題といえる。
Samsung電子にしろLG Electronicsにしろ、大人気の端末の機能は意外とシンプルなものが多い。こうした中、UIという基本的な部分の利便性を大きく向上させられるメーカーこそが勝者になりうる可能性を秘めているといえる。
プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。弊誌「韓国携帯事情」だけでなく、IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。
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