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» 2009年10月20日 11時30分 UPDATE

神尾寿のMobile+Views:ドコモ“2年縛り明け”を狙い、攻勢に転じたau (1/2)

ここのところ元気がなかったauに、復活の兆しが見られる。10月19日に発表された2009年秋冬モデル、そして2010年春モデルに、auは台風の目になる可能性を見た。今年度の下期は端末市場が活性化するシナリオも考えられる。

[神尾寿,ITmedia]

 10月19日、KDDIがauの2009年秋冬および2010年春モデル 合計13機種を発表した。詳しくはレポート記事に譲るが、今回のau新商品ラインアップは、カメラ機能の充実を軸に新モデルを「12Mピクセルカメラを搭載したハイエンドモデル」と、「8Mピクセルカメラを搭載したスタンダードモデル」に2分割。価格レンジで市場の二極化に対応した上で、個々の端末のコンセプトを明確にしてメーカー同士の重複感を避けて、全体のバリエーションを広げるという布陣を取った。

 一方、料金面ではすでに導入済みだった「指定通話定額」と「ダブル定額スーパーライト」に加えて、相手先制限なしのメール無料プラン「ガンガンメール」を投入。利用料金の施策でも他社との差別化・先行性を明確にし、競争力向上を図った。

 今年の秋冬から来春の商戦期は、各キャリアが導入した「2年利用」の割賦払いプランや割引プランの満了期を迎えるユーザーが多い。その中で、これまで不振だったauは復活し、市場を動かすことができるのか。今回の新モデルを見ながら、考えてみよう。

完成度の高いスタンダードモデル──現実路線で攻勢

 さっそく今回のau 2009年秋冬モデルと2010年春モデルの布陣を見てみよう。

 auでは今期、携帯カメラ機能を大きな競争軸として打ち出し、フラッグシップモデルとして、コンセプトの異なる2つのカメラケータイ「EXILIMケータイ CA003」と「AQUOS SHOT SH003」を投入。さらに映像機能に特化した「BRAVIA Phone U1」を加えることで、ハイエンドモデルを構成している。個々のモデルで見れば、これらはそれぞれ特長がよく現れた端末であり、魅力的だ。店頭で人目を引く効果は十分にあるだろう。

PhotoPhotoPhoto フラッグシップモデルの「EXILIMケータイ CA003」「AQUOS SHOT SH003」「BRAVIA Phone U1」

 しかし、筆者がこれらハイエンドモデル以上に魅力的であり、重要だと感じたのが、8Mピクセルカメラを搭載したスタンダードモデルの完成度の高さだ。ラインアップの中では割安な普及機という位置付けだが、デザイン・機能のバランスがよく、“ほどよい機能の充実”と“端末価格の安さ”が重要視される現在の市場環境にとてもよく合っている。

 その中でも、筆者が今期の「戦略モデル」だと感じたのが、「EXILIMケータイ CA004」と「SH004」である。両機は上位モデル(CA003とSH003)より絶対的なスペックは劣るものの、現在のトレンドから見ると平均より“ちょっと上”の性能・機能を搭載する。デザインや質感は上品にまとまっており、安っぽさは感じない。とりわけCA004はデザイン・機能と、手にした時の収まり感がよく、とてもバランスのよい製品に仕上がっている。

PhotoPhoto 注目は「EXILIMケータイ CA004」と「SH004」

 その上で、CA004とSH004は先代モデルからの流用部分を大きくとり、低コストを実現したという。記者会見ではスタンダードモデルの売り出し価格は「3万円前後」というコメントであったが、CA004やSH004の商品構成や営業計画を詳しく聞くと、店頭での価格は3万円をさらに下回ることもありそうだ。売り出し早々で2万円台のプライスタグがぶら下がる可能性もある。

 「上位モデル(CA003やSH003)に目を引かれたお客様が価格でためらわれた時に、ふと目に入るのがCA004とSH004という位置づけです」(KDDI関係者)

 一方、商品コンセプトやデザインで筆者が注目したのが、「SA001」である。こちらは厚さ11.9ミリの世界最薄スライドワンセグケータイであり、スクエアなデザインと金属調の質感はとてもクールである。EZ FeliCa(おサイフケータイ)やBluetoothなど日本の携帯電話として必須の機能はすべて網羅しており、コンパクトなスライド端末がほしい人には最適なモデルになっている。売り出し価格は先述のCA004とSH004よりは高めになりそうだが、スライド端末人気が高くなっていることもあり、今期のauラインアップの売れ筋の1つになりそうだ。

 今期のau新モデル全体を総括すると、スタンダードモデルの充実ぶり、布陣の厚さが目立つ。さらに店頭での売り出し価格もかなり戦略的に設定される模様であり、「店頭価格を安く設定できる工夫をしながら、お客様に安っぽさやエントリーモデルだとは感じさせない。満足できる低価格を実現できるように腐心した」(KDDI関係者)という。

 最近の消費者心理は、ユニクロの人気やホンダ・フィットのロングセラー化にも見られるように、“納得できる品質と低価格”のバランスを求めている。今期のauスタンダードモデルは、そうした価値のあるものになっている。これまでのauはもちろん、ドコモやソフトバンクモバイルに比べても、ひときわ「現実路線で攻めてきた」というのが筆者の評価だ。

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