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» 2010年04月14日 14時15分 UPDATE

「VCは期待できない、巨大なソーシャルプラットフォームで稼げ」――関係者が語る“ジオメディア”進出方法

「foursquareみたいなサービスは5年前からあった。海外礼賛の時代は終わった」――位置情報サービスの勉強会「第5回 ジオメディアサミット」で行われたパネルディスカッションで、モバイルサービスの関係者らが位置情報サービスの現状や期待を語った。

[山田祐介,ITmedia]

 位置情報を使ったソーシャルメディアが世界で花開きつつある中、日本のアプリ開発者やプラットフォーム提供者は市場にどうアプローチしているのか――4月2日に開催された位置情報サービスの勉強会「第5回 ジオメディアサミット」のパネルディスカッションで、コロプラの馬場功淳氏をはじめとするモバイルサービス業界の関係者らが思いの一端を語った。

photo 左から、司会を務めたゴーガの小山文彦氏、DeNAの大塚剛司氏、コロプラの馬場功淳氏、gumiの国光宏尚氏、ドコモ・ドットコムの村上勇一郎氏、アジャイルメディア・ネットワークの徳力基彦氏

ベンチャーのジオメディア進出方法――gumiの国光氏が熱弁

 「モバゲータウン」「mixiアプリ」「GREE」がOpenSocialをベースとしたソーシャルプラットフォームを開放し、市場に大きなインパクトを与えている。モバイルSNS「エンタメナビgumi」でいち早くOpenSocialに対応したgumiの国光宏尚氏によれば、自社サービスで合計10万人程度の利用者を抱えていた各種アプリをmixiアプリとして提供した途端、利用者が900万人規模にふくれあがったという。

 こうした巨大なソーシャルプラットフォーム上で位置情報ゲームを公開するのが、国光氏の勧める“ベンチャーがジオメディア(位置情報サービス)に進出する方法”だ。海外では位置連動ソーシャルアプリ「gowalla」がVC(ベンチャーキャピタル)からの資金調達に成功した例などもあるが、「日本のVCは可能性に金をださない。ビジネスモデルがあって手元にキャッシュフローがないとダメ」と、日本国内での資金調達の難しさを指摘。対して、「モバゲーとかGREEなら手元のキャッシュを稼げる」と国光氏は説明する。

 また、同氏は日本でも注目が高まっている米国初の位置情報サービス「foursquare」を「日本では5年前からあるようなサービス」と一蹴(いっしゅう)し、ユーザーの位置情報が他のユーザーに広範囲に知られるために日本では受け入れられないと分析した。その上で、「海外礼賛の時代は終わった」と、日本の位置情報サービスの先進性を強調した。

 一方で、単独のプラットフォームでユーザーが100万人を突破した位置情報ゲーム「コロニーな生活☆プラス」を運営するコロプラの馬場氏は、世界的な視点から注目すべきプラットフォームとして、位置情報サービスにも進化しつつあるTwitterを挙げ、サービス連携に興味を示した。「日本の企業はTwitterになりたいと思っているところが多いが、それは難しいのではないか。Twitterと仲良くすることが重要」(馬場氏)。また、注目しているサービスとしてfoursquareを挙げ、「(ゲームとしての)楽しさというよりも、地域情報を集めるのに役立つ。流行ってもおかしくない」と、国光氏とは違う視点でサービスを分析した。

“ゲーム”なら盛り上がる?

 今回のディスカッションでは、位置情報サービスにゲーム性を持たせることのメリットを多くの登壇者が語った。DeNAの大塚剛司氏によれば、モバゲータウンで位置情報を使ったゲームアプリは現状で10本程度と数は少ないという。しかし、同氏は「位置情報とゲームの相性はよく、可能性を感じる」と話す。外に出かけることがアプリを起動するきっかけになり、アクセス頻度が高くなるというのが同氏の見解だ。さらに、近年のソーシャルアプリでアイテム課金が好調なことにも触れ、こうした課金の要素を組み合わせることで収益化が期待できるとの見方を示した。また、位置情報ゲームを早くから提供してきたコロプラの馬場氏も、サービスに対するユーザーの関心の高さをかねてから感じており、「大きな市場になると思う」と見解を述べた。

 gumiの国光氏からは、ゲーム性がユーザーから位置情報を引き出すための大きなインセンティブになるという意見も出た。リアル店舗とユーザーを結びつけるメディアとしても注目されている位置情報サービスだが、近場の店舗のクーポンが入手できるといった単純な“便利系”の機能では、ユーザーの大幅な拡大は見込めないと同氏は考える。

 位置情報ゲームのヘビーユーザーとして登壇したアジャイルメディア・ネットワークの徳力基彦氏は“短い時間で楽しめる”という位置情報ゲームの特徴を指摘する。細切れの時間の中で楽しめるソーシャルゲームは「友達がいない間に筆箱を隠す」(徳力氏)といったリアルな遊びの感覚と近いものがあるという。

 こうした位置情報ゲームのメリットが語られる一方、コロプラの馬場氏からは「今後は便利系のアプリとゲーム系のアプリの垣根がなくなっていく」という指摘も出た。つまり、エンターテインメント性と利便性を兼ね備えたアプリが今後は増えると同氏は考えているようだ。foursquareに対する同氏の評価も、こうした視点からくるものだろう。

 投資やコンサルティング事業を手掛けるドコモ・ドットコムの村上勇一郎氏は、「位置情報ありきのビジネスのやり方」は失敗するという考え。ユーティリティーアプリとしても、ゲームアプリとしても、サービスとしての利用価値を追求した上で位置情報サービスの機能を搭載するべきと主張した。


 スマートフォンを使いこなすITに関心の高いユーザーから出張の多いビジネスマンまで、幅広い層に位置情報サービスが利用されはじめている日本だが、位置情報の“使い道”はまだまだ出尽くしておらず、「アイデア次第でもっと面白いことになる」(国光氏)可能性を秘めている。今回のジオメディアサミットには300人以上が集まり、位置情報サービスに対する注目の高まりが改めて実感できる場となった。

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