ITmedia 今後のモバイルビジネスにおいて「アライアンス」は重要なキーワードになってくる。この時代において、アライアンスパートナーとしてKDDIが他キャリアよりも有利になるポイントとは、どのようなものでしょうか。
高橋氏 端的にいえば「KDDIが目立とうとしない」ということでしょうか(笑) 例えば、グリーのケースなどがそうなのですけれど、KDDIやauブランドが主導権を握ってアライアンスを進めようという姿勢ではないのです。
ITmedia 内助の功ですね。
高橋氏 そう。あと、アライアンスパートナーには「オープンを目指すべき」と勧めています。最初の立役者として我々は協力させていただきますが、最終的にパートナーのサービスや製品は、NTTドコモやソフトバンクモバイルでも使えるようにするべきだと考えています。
まず最初の立ち上げでは、我々のリソースをうまく使ってビジネスを立ち上げて利潤を得てもらう。そして、その収益を使って他キャリア展開を考えてもらえばいい。これがグリーの時のアライアンスモデルですし、もともとはナビタイムとの提携から始めていたことです。
ITmedia キャリア主導で囲い込み型のアライアンスにはしない、と。
高橋氏 いや、社内でもアライアンスパートナーを「囲い込むべきだ」という人間はいますよ(苦笑) しかし、キャリアによる囲い込みを前提にしたら、いいパートナーが集まりません。ですから、我々が推進するアライアンスでは囲い込まない。この囲い込まないことが、(アライアンスを作る上での)我々のよさであり、強みになると考えています。
ITmedia あくまでオープンなサービスを前提に、アライアンスを構築する。考え方としては、Webのエコシステム型の発想ですね。
高橋氏 インフラ視点の垂直統合という見方では、これからのサービスやビジネスのトレンドに合わなくなっていきますからね。いずれは我々とアライアンスパートナー同士が提携するようなスキームなども登場すると考えています。
ITmedia 2010年から2011年にかけて、モバイル業界全体では、どのような視点を持ち、何を重視すべきと考えますか。
高橋氏 まずスマートフォンの台頭は今後も続いて、モバイルの世界はオープンな技術やビジネススキームを取り入れなければならなくなるでしょう。ただし、そこでは過去10年にケータイ業界としてやってきたモバイルインターネットのノウハウも重要になります。インターネットのオープンな世界に、いかにケータイで培ったノウハウを組み込んでいくかが重要になる。これは新たな垂直統合を作るというのではなく、(ケータイの)ビジネスモデルを生かしていく、ということです。
世界を見渡しますと、実はモバイルインターネットの一般化・大衆化を実現している国はほとんどない。日本はそれを過去10年で実現したわけです。これをいかに新しいオープンなインターネットの世界と融合させるか。そこでは我々のLink→auのような仕組みも有効だと考えています。もし、メーカーなどパートナーからの要望がありましたら、今度は(キャリアが主導権を握るのではなく)我々からお伺いしますよ。
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