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» 2010年07月12日 18時34分 UPDATE

ユビキタス社会を“携帯+RFID”で――日立とKDDIが端末を発表

日立製作所とKDDIがRFIDタグの読み書きができる携帯電話を発表。数センチの距離での非接触通信を行うパッシブ型と、十数メートルの距離でも通信できるアクティブ型の双方に対応する。“かざして情報を得る”サービスから“歩くと情報が降ってくる”ようなサービスまで、幅広い用途を見込む。

[山田祐介,ITmedia]
photo RFIDリーダー/ライターのSDIOモジュール(写真左上)とKDDIの法人向け携帯電話「E05SH」をベースにした開発機。端末のSDIOスロットにモジュールを収められる

 日立製作所とKDDIは7月12日、総務省の委託研究「ユビキタス端末技術の研究開発」の一環として共同開発したRFIDリーダー/ライター搭載携帯電話を披露した。同端末は通信方式として、数センチの距離で非接触通信を行うパッシブ型と、十数メートルの距離でも通信できるアクティブ型の双方に対応。物流管理から、道を歩くと周辺の観光情報が端末に入ってくるようなサービスまで、さまざまな用途を想定する。両社は11月から実証実験を開始し、実験の成果を通じて2011年度以降の商用化を検討していく。

 RFID(Radio Frequency identification)とは、無線通信チップを物品などに埋め込んで個体識別を行う技術のこと。複数のIDを一括して読み取ったり、IDデータの書き換えができたりと、柔軟にIDを識別・管理できるのが特徴。流通業などでバーコードに替わる技術として導入が進んでいるほか、あらゆるものをコンピューターネットワークに繋げるユビキタスネットワーク技術として、個人用途への展開も注目されている。


photo 端末の利用イメージ

 こうした背景のもと、総務省はRFIDや各種センサーを使った情報社会基盤の研究を2008年度に開始し、その一環として「ユビキタス端末技術の研究開発」を日立、KDDI、NTTドコモ、パナソニックの4社に委託した。そのうち日立とKDDIは共同で今回の端末を開発し、ドコモとパナソニックは「アクティブ型を主力した技術の検討を進めている」(日立製作所 情報・通信システム社 セキュリティ・トレサビリティ事業部 開発本部 開発部長 松本健司氏)。

 日立は今回のプロジェクトで、小型・省電力のUHF帯RFIDリーダー/ライター専用のLSIやアンテナ技術を開発し、携帯電話に取り付けられるSDIOモジュールを製作した。同モジュールはKDDIの法人向け端末「E05SH」のSDIOスロットに差し込むことで、端末に内蔵できる。パッシブ型の通信は国際規格のプロトコルであるISO/IEC18000-6 TypeCに準拠し、RFIDタグから数センチの距離で通信が可能だ。また、独自規格のプロトコルを採用したアクティブ型の通信にも対応する。アクティブ型ではRFIDタグが電源を持つことで、十数メートル離れても通信できる。

 KDDIは同社のE05SHのOSをRFIDリーダー/ライターに対応させ、RFIDの読み書きを制御するミドルウェアを用意したほか、RFIDの情報表示・更新を行うアプリケーションを開発した。

“かざす”サービスから“歩くと情報が降ってくる”サービスまで

 法人向け端末をベースに開発したことからも分かるとおり、当初のターゲットとして想定するのは運送業や保守業務といった法人利用だ。RFIDタグに端末をかざして製品の管理をするだけでなく、例えば施設の警備員の居場所や行動履歴をアクティブ型のRFIDタグを使って把握するといった利用法も考えられるという。

photophoto バーコードシールの内部にRFID用のICチップが埋め込まれており、端末を近づけると読み取れる(写真=左)。携帯電話の出力ではパッシブ型の通信は数センチまで近づける必要があるが、出力の大きい装置なら数メートル離れてもタグを読み取れる(写真=右)

 一方、個人用途としては、RFIDタグで手元の商品を識別してインターネット上にある商品情報を呼び出したり、施設や街中に設置されたアクティブ型RFIDタグでユーザーの居場所を把握し、店のクーポンや道案内の情報を提供したりといったサービスを想定。KDDIの開発したアプリケーションは、こうした個人用途も視野に入れた利便性の高いものを目指している。

photophoto 例えば、観光看板に埋め込まれたタグを端末で認識すると、スポット案内が出る

 携帯電話をかざして情報を得る技術としては、QRコードやおサイフケータイなどさまざまなサービスが既に存在しており、ユーザーの居場所に応じたサービスとしてもGPSやWi-Fiが活用されている。しかし、RFIDではアクティブ型とパッシブ型の双方に対応することで、かざして情報を得るサービスと、「歩くと情報が降ってくる」(松本氏)ようなサービスを使い分けられるメリットがあるという。また、業務用途では、RFIDリーダー/ライターを携帯電話に内蔵することで「いつでもネットワークにつながるだけでなく、携帯電話に搭載されたさまざまな機能と連携したアプリケーションを簡単に開発できる」と、KDDI 技術統括本部の猪澤伸悟氏(ネットワーク技術本部 技術戦略部 担当部長)は話した。

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