マルチデバイス対応を見据えたiPhoneアプリ開発、ディップの場合低コスト、短納期も実現(2/2 ページ)

» 2010年09月14日 11時00分 公開
[房野麻子(聞き手:後藤祥子),ITmedia]
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ハイブリッドアプリ開発を選んだ理由

Photo システム開発部 システム運用課 チーフの亀田重幸氏

ITmedia 開発効率の向上とコスト低減を目指してWebとアプリを並行して開発したそうですが、その背景と具体的な手法を教えてください。

植木氏 iPhoneへの対応は、まずHTML5やCSS3、JavaScriptなどを使ったiPhone対応のWebサイトを構築し、それをベースにiPhoneアプリを開発する「ハイブリッドアプリ開発」という手法を採用しました。

 ゲームなどのように、作り込みが必要なiPhoneアプリは、一からObjective-Cで開発するのが適していますが、私たちが提供するのは検索系サービスのサイトであり、そこまで作り込む必要がなかったというのが理由の1つです。もう1つは、Webベースのサイトから対応を進めるほうが、Androidなどの他のスマートフォンへの横展開がしやすくなるという点が挙げられます。

亀田氏 今回のiPhoneアプリの開発にあたっては、いろいろな方法を考えましたが、ハイブリッドアプリ開発は非常に魅力的でした。一からObjective-Cでアプリを開発すると、開発に一定の期間を要するほか、コストもそれなりにかかります。iPhoneユーザーが少ない段階で多額の投資をするのが難しかったこともあり、まずは少額の投資で幅広く展開できる開発手法を採用したのです。

植木氏 アプリのアップデートについても、ハイブリッドアプリ開発ならWebをアップデートすることで、アプリ側の情報もアップデートできるので、運用の負荷が下がるのもメリットの1つです。

ITmedia ネイティブアプリに比べて、簡単にアップデートできるのですね。

亀田氏 Webをアプリ化するフレームワークがあって、データや中身はWebサービスを主軸に使う形です。Webを更新すれば、アプリ側にも反映される構造になっています。

ITmedia 改修したいと思ったときには、Webを書き換えればアプリに反映される、と。

亀田氏 Webの変更がアプリに反映されますし、この場合はApp Storeへの申請も必要ありません。ただ、中にはネイティブアプリならではの機能もあり、それはアプリ側で実装しているので、大きな枠組みを変える場合には、アプリのアップデートが必要になります。

ITmedia 開発期間はどれくらいだったのですか。

亀田氏 3〜4か月です。

植木氏 リソースにもよりますが、少人数でサービスを運営している我々では、Objective-Cベースでのアプリ開発はきつかったと思います。省力化して、この期間で開発できたのはよかったと思います。

ハイブリッドの強みを生かしてAndroid対応も

ITmedia 今回構築したiPhone向けのWebサイトをベースに、Android端末向けのアプリを開発する予定はありますか。

植木氏 検討しています。各キャリアが投入する秋冬モデルの動向をみながら対応を進めることになりますが、基本的には(一定の数が出ている)Xperiaからと考えています。

ITmedia Androidは端末ごとにUIやディスプレイサイズ、OSのバージョンが異なるので、今後は対応が難しくなりそうです。

植木氏 フィーチャーフォン的な難しさ、面倒さがあるんです。各モデルごとに仕様が異なり、それに合わせた対応が求められるので、“また面倒なことをするのか”――という気持ちはありますね(笑)。

 手間とコストがかかるため、Android対応のロードマップは、端末ごとのシェアを見ながら検討することになりますが、ベースの技術は同じなのでチューニングのレベルで対応できると見ています。Androidのベースを作るところでうまく開発して、上位レイヤーを変えていくだけで対応できるようにするつもりでいます。ここは我々の開発陣の腕の見せどころだと思います。

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