商談に新世紀は襲来するか――フィールズが目指すiPad活用(1/2 ページ)

» 2010年10月25日 10時00分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo フィールズ取締役 コーポレート本部長の伊藤英雄氏

 パチンコ・パチスロをはじめ、幅広いエンターテインメント分野で事業を手掛けるフィールズは、2010年夏にiPadを業務に広く活用していく計画を発表した。計画の手始めとして、350台の3G対応iPadを導入し、それを全営業社員に配布する予定だったが、構想はその後拡大。全社員へ配布すべく750台の3G対応iPadを購入し、社内利用向けに50台のWi-Fi版iPadも準備された。

 同社は業務支援アプリなどの準備が整い次第、社員にiPadを一斉配布して運用を開始する予定。同社取締役 コーポレート本部長の伊藤英雄氏は、iPadを導入した理由を「社員により高い次元の仕事をしてもらうため」と語る。iPadを使うことで仕事をより楽しく感じてもらい、アプリや電子書籍化されたドキュメントを通じて会社や商品を深く理解し、情報ツールとして使いこなすことで業務の質を高める――そんな効果を生みだすべく、iPadのソリューションを構築しているという。

 営業用途では、パチンコ・パチスロ遊技機といった同社商品を顧客にプレゼンテーションするツールとして、さらに出先での仕事をこなすための業務端末としてiPadを活用する。外出先でのノートPCの利用を基本的に廃止して“iPad1台”に集約するというから、その本気度がうかがえる。今回は伊藤氏に、同社が目指すiPadの業務活用の姿を聞いた。

求める効果は「社員の成長」

photo

 iPadやiPhoneといったモバイルデバイスの業務活用で、しばしば耳にするのが、「すきま時間の有効活用」や「業務効率化」といった効果への期待だ。もちろんフィールズもこうした効果を予想しているが、最大の目標は社員のやる気や仕事のレベルを上げることにある。

 同社では、提案の成功事例やさまざまな分析リポート、商品の百科事典、会社の歴史やグループ企業の紹介、さらには“会長語録”など、仕事や会社を理解するためのコンテンツを用意して、社員のステップアップを促す考えだ。また、所有する喜びのある製品を使い、洗練されたユーザーインタフェースで業務に取り組んでもらいたいという思いもあり、壁紙画像やケースのひとつからこだわっているという。

 効果の最大化を目指し、iPad導入のプロジェクト体制も手厚く構築した。同社のシステム構築全般に関わっているアクセンチュアと社内のシステム部門とで最適な運用方法を議論し、アプリ開発面ではバッカスとエージェンテックの2社からサポートを受ける考えだ。

商品の“熱さ”をiPadで魅せる

photo 紙のパンフレットでは、映像演出などの“熱さ”はなかなか分かりにくい

 iPadの法人利用において、プレゼンテーションツールとしての活用を考える企業は少なくないだろう。マルチメディアコンテンツを再生できるのはもちろんのこと、広視野角のIPS液晶の採用により複数人でも画面が見やすいことや、タッチパネルによる直感的な操作性、傾けるだけでディスプレイの表示方向が変わるといった特徴は、対面でのプレゼンテーションをスムーズにサポートする。

 フィールズもこうしたiPadの可能性に着目し、紙のカタログやDVDに替わる商品紹介ツールとしてiPadを活用する決断をした。遊技機の魅力を訴求することに特化した専用アプリを独自開発し、商品ごとにそのコンセプトにあった作り込みをして、顧客との商談に活用するという。

 「営業現場の声を聞くと、提案した商品が“映像演出に熱中できるかどうか”をお客様は気にするといいます。リーチシーンなども大きな要素の1つですし、玉を打つ中でどう熱さが増していくかというのが、台を導入する上でポイントになるのです。そうした熱さを動画なども交えてiPadで最大限伝えたいし、可能ならアプリの中で試打できればいいと考えています」(伊藤氏)

 紙のカタログでは、遊技機の魅力を画像とうたい文句で訴求してきたが、そういったものは目の肥えた顧客に飽きられているのだという。一方、iPad専用アプリは、営業マンがアプリで商品の紹介をしながら、話の流れに沿ってスムーズに動画などが再生できるように設計されている。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年