「ARをもっと身近に」――AR専業会社のアララがARアプリ「ARAPPLI」を披露

» 2010年12月15日 15時43分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo アララの岩井陽介社長

 「ARをもっと身近に」――レピカが中心となって設立したAR(拡張現実)サービス専門会社、アララの発表会が12月14日に開催され、代表取締役社長の岩井陽介氏が同社のARアプリ「ARAPPLI(アラプリ)」を説明した。

 ARAPPLIは、QRコードの入った専用マーカー「QRAR」上にCGや動画などのコンテンツを浮かび上がらせるARアプリ。ARのC言語ライブラリ「ARToolkit」の開発者である加藤博一教授(奈良先端科学技術大学院大学)がテクニカルアドバイザーとなり、ARToolkitをベースに開発された。近日中にiPhoneアプリがリリースされるほか、2011年春にはAndroidやデジタルサイネージ、PC向けのアプリケーションを公開予定という。


photo 「ARAPPLI」の利用画面。QRコードの入ったマーカーにiPhoneのカメラをかざすと、マーカー上にコンテンツが浮かび上がる。CGのキャラクターを表示したり、写真のように動画を加工して音声とともに再生したりできる
photo コンテンツ提供者はCGや画像などの素材を用意するだけで、ユーザーにARコンテンツを提供できる

 同アプリは、QRARにひも付いたARコンテンツをサーバから配信する仕組みを採用した。さまざまな企業やクリエイターが提供するARコンテンツを1つのアプリで閲覧できる、“ARプラットフォーム”として認知拡大を目指す。アプリは無料で、コンテンツも基本的には無料で閲覧できるという。

 CGクリエイターが自作のARコンテンツを無料でアップできるようにする予定で、雑誌などのメディアにも無料でプラットフォームを提供する(クライアントに有償提供する場合などは有料)。QRコードを読み込むことで、ユーザーをWebページに誘導することも可能。利用者の属性情報などをフィードバックする機能も提供し、マーケティングに活用できるようにした。

 広告や販促、キャンペーンといった商用利用を有料とし、収益源とする考え。ARソフトウェアを開発せずに、3DCGなどの素材を用意するだけでARコンテンツが「簡単に、安く、早く提供できる」と岩井氏は説明する。同社が提供するQRAR付き名刺制作サービスの場合、ARコンテンツ1つにつき料金は10万円(1月末までは特別価格の3万円で提供)。「いろんなARアプリが出ているが、ARをもっと身近にできないかと思い、アプリを開発した」(岩井氏)。


photo エディオンの「エディ店長」がQRARから飛び出した

 同アプリを使ったプロモーションがいくつか決定していることも紹介された。エディオンでは、同社のキャラクター「エディ店長」が店舗入り口や店内にあるQRARから飛び出し、商品の説明などを行うキャンペーンを12月中に開始する。また、2012年春に開業予定の高層複合施設「Shibuya HikARie(渋谷ヒカリエ)」のプロモーションとして、2011年1月下旬から、“ARコースター”や“ARマップ”の配布を行う。2011年夏には、日本ホールマークがQRAR付きのグリーティングカードを提供する予定。さらにアイドルグループ「SKE48」も同アプリを利用し、ネットで申し込める「ウェブポ有名人年賀状」でARメッセージ付き年賀状を販売する。

 アプリに今後実装したい機能として岩井氏は、Twitterやmixiといったソーシャルサービスとの連携機能を挙げる。自分の集めたARコンテンツ情報を友人と共有したり、コンテンツを交換したりできるようにするほか、将来的にはARゲームの提供なども目指すという。また、ARコンテンツにインタラクティブな機能を実装することや、QRARに限らずロゴマークや体の部位とったさまざまな特徴点を検出できるようにすることも、今後の目標だ。

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