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» 2011年04月15日 20時00分 UPDATE

バーチャルからリアルへ広がる「助け合い」――あの日から位置ゲー「コロプラ」に起きたこと (2/2)

[山田祐介,ITmedia]
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ゲームのノウハウをツールに

 「位置ゲーはリアルとバーチャルの架け橋になれる」(長谷部氏)という思いで、同社はサービスを作ってきた。ユーザーに出かけるきっかけを与え、人や地域を元気にする。提携店で買い物をすることでゲームと連動したアイテムがもらえる「コロカ」の取り組みや、ゲーム連動型の観光ツアーといった企画は、地域活性化に寄与するとしてメディアに取り上げられ、注目を集めた。

 人の移動をサポートする会社として、今できることは何か――。震災後、コロプラはゲームの対応を進める一方で、同社のプラットフォームを活用したサービスもリリースしていった。全社的にSkypeを導入して、全社員が参加できるグループチャットを行いながら、エンジニアの「頭が下がる頑張り」(長谷部氏)で開発が進められた。

 最初に公開した「位置登録実績マップ」は、位置登録があったエリアを携帯キャリアごとに把握できるサービスだ。位置登録ができたエリアを電波が入るエリアと仮定し、どの地域で携帯電話が利用できるかどうかの参考にしてもらうために作った。さらに、位置登録をするとその場所の停電情報が分かる「停電チェッカー」も公開した。同社がこうしたツール系サービスを提供するのは今回が初めてだという。


photophoto 位置登録実績マップと停電チェッカー(PC版)

 位置にまつわる実用的なサービスを提供する構想は以前からあったが、震災が実行を加速させた。同社は3月31日、人々の移動に関する調査・分析を行う「コロプラおでかけ研究所」を設立。大和総研で長年アナリストとして働いた経歴を持つ長谷部氏が主席研究員となり、月間4000万回もの登録がある位置情報データの分析結果を外部に発信している。

位置データから見える「人の動き」

photo 一都三県(東京、千葉、埼玉、神奈川)を本拠地とするユーザーが東北三県(宮城、岩手、福島)で位置登録を行った回数を指数化した表

 コロプラの位置データでは、登録件数や登録エリアだけでなく、どこからどこまで移動したかといった情報も把握できる。また、位置情報の登録頻度から、ユーザーの本拠地を割り出すことも可能だ。

 こうしたデータから、例えばユーザーの被災地への他県からの移動状況が推測できる。東京を本拠地としているユーザーの東北三県(宮城、岩手、福島)への移動率は、震災を受けていったん減少したものの、3月20日の時点で平日の7割程度にまで回復したという。また、福島県ではユーザーの位置登録件数の回復が他の被災地よりも鈍いといったデータも浮かび上がった。「背景に原発問題がある」と、長谷部氏は考えている。

 長谷部氏によれば、東日本の位置登録や移動距離の水準は、震災発生直後からは大幅に回復したものの、現在も震災前の活発さを取り戻していない。分析では、被害の大きかった地域はもちろん、関東エリアでも観光地の位置登録が減少するといった傾向が浮かび上がっている。

 また、計画停電実施エリアの繁華街が、対象外の繁華街より客足の戻りが遅いことをうかがわせるデータも出てきた。計画停電は原則実施しないことになったとはいえ、その影響はこうした形で尾を引いている。


photo 夜の時間帯における計画停電実施エリアと対象外エリアの繁華街の位置登録回数を指数化した表

 「人の移動がなければ経済復興もない」というのが長谷部氏の今の思い。地震・停電への不安や自粛ムードの中で移動が停滞すると、飲食店や観光地は打撃を受ける。研究所では、人の移動状況を分かりやすく可視化して、それらが地域経済に与える影響を推測し、リポートを広く発信していきたい考えだ。


 同社は今後、4月末ごろを目処に復興支援プロジェクトを大きく立ち上げていくという。コロプラが強みとする地域への動員力を、いかに復興に結びつけるかが今後のテーマだ。具体的な内容はまだ固まっていないが、例えば特別なアイテムやノベルティをからめたツアーなど、リアル連携型の企画で復興に寄与していきたいという。

 状況が許せば「東北へのおでかけを支援したい」という気持ちもある。提携店の中には深刻な被害を受けて営業停止を余儀なくされた店舗もあるが、無傷の店舗も多くあるという。思いは「いまこそコロプラの本領発揮」。バーチャルからリアルへ、今後も助け合いの形は広がっていく。

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