ソフトバンク、ドコモに接続料の一部返還を要求 ドコモの主張にも反論(2/2 ページ)

» 2011年06月10日 00時00分 公開
[ITmedia]
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 ソフトバンクの弓削氏は会見で、ドコモがあっせん申請に関する会見で示した“ソフトバンクの接続料水準の独自試算”について反論した。

 ドコモは接続料を、総通話時間を分母、ネットワークコストに適正な利潤を足したものを分子として算出。分母となるソフトバンクの総通話時間を3.8兆秒と見積もっていた。しかし、弓削氏はこれが「過大な推計値」だと反論した。ドコモはTCAが公表する国内全体の総通話時間から、ソフトバンク以外の携帯電話事業者3社(ドコモ、KDDI、イー・モバイル)の総通話時間を引き、ソフトバンクの総通話時間を推定したと説明しているが、この3社の総通話時間が「各社の公開データを拾っても出てこない」という。しかし、ドコモの推定からどれほどの乖離があるのかについては、口をつぐんだ。

 ドコモが3500億円と推定した分子についても「算出過程が不透明」だと弓削氏はコメント。さらに通話の種類(相互接続か、自社網内かなど)によって変わる設備利用回数が、ドコモの算出方法では未考慮であるとし、算出が「あまりに乱暴」と一蹴した。

ドコモ、さらにはNTT東西に関して紛争処理を要望

 さらにソフトバンクは今回、2009年度以前のドコモの接続料に営業費が含まれているのが適当でないとして、再精算を求めて電気通信事業紛争処理委員会にあっせんを申請した。

 総務省のガイドラインで営業費を原則除外した接続料の算出が定められたことで、ドコモやKDDIは販売奨励金などの営業費を除外し、2010年度の接続料は大幅な値下げとなった。しかし、ソフトバンクにとっては、過去の接続料に営業費が含まれていたことが想定外であったという。

 「電気通信事業法の中で接続料は適正な原価に適正な利潤を加えたものと規定されている。適正な原価の中に営業費が入らないことは、ガイドラインの確認を待つまでもなく今までも共通の理解であったと思っている」(弓削氏)

 こうしたことからソフトバンクは、ドコモに対して過去に支払った接続料を営業費の影響を除いて再精算したい考え。しかし、同じくこれまで営業費を加味していたKDDIについては、金額の規模などを踏まえ、あっせん申請は「現時点では考えていない」という。

 ソフトバンクのあっせん申請に対して、報道機関からは「水掛け論ではないか」との意見も出た。というのも、2009年以前のソフトバンクの接続料には、「ネットワーク外部性追加料」と呼ばれる、加入者獲得にかかるキャンペーンなどの費用が含まれているからだ。営業費と同じくガイドラインで除外項目とされたものだが、ソフトバンクはこの費用が電気通信事業法の定める「適正な原価」に含まれるという考え。イギリスなど諸外国で接続料に加味されていると説明し、ドコモの営業費とは別物との認識を示した。

 また、ドコモに関するあっせん申請に加え、NTT東日本、NTT西日本を対象に、ソフトバンクテレコムがあっせん申請を、ソフトバンクBBが総務大臣に対する意見申出を行うことも表明した。

 ソフトバンクテレコムは、ジャンパ工事費がNTTの加入者交換機の場合に比べて割高なことを問題視。また、ソフトバンクBBは、NTT東西の電話窓口である116によるフレッツ光への勧誘や、NTTの代理店による不適切な営業があるとする。

 116に移転を申し込んだ際にフレッツ光への勧誘を行う行為については過去に問題視され、2009年に行政指導があったが、ソフトバンクの調査によればその後も勧誘が続いているという。また、NTTの代理店については、ソフトバンクBBをかたって利用者に光への加入を勧め、契約情報を引き出した上で、今度は利用者になりすましてソフトバンクBBに光への変更を依頼する事例が発生しているという。

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