SaaSとモバイルで進化する勤怠管理――店舗運営の“現場”が生んだ「DAIM」マネージャーを“作業”から開放せよ(2/2 ページ)

» 2012年01月18日 18時27分 公開
[柴田克己,ITmedia]
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スマートデバイス、ICカードによる勤怠管理でリアルタイムに人件費を把握

photo 「DAIM」のスマートフォン向けWeb画面。ほかにもケータイやPC、FeliCaカードなどを活用して打刻することが可能だ

 DAIMは、旧来の高価なタイムレコーダーを必要とせず、PCやスマートデバイス(スマートフォン、タブレット)、ICカード(FeliCa)といった汎用機器で勤怠が管理できる点が大きな特徴だ。初期導入コスト面でのメリットに加え、据え置き型のタイムレコーダーでは実現できない柔軟な勤怠管理に対応する。

 例えば、スマートフォンによるタイムレコーダー機能は、直行直帰時の勤怠管理、現場勤務時の対応、派遣会社による派遣社員の勤怠の一括管理といった場面で便利に利用できる。スマートフォンのGPSを活用した位置情報付きの勤怠管理も可能で、「どこにいても」使え、「どこにいるか」も分かるシステムが構築できる。

 また、DAIMには勤怠実績だけでなく、給与計算、給与振込の機能、アルバイトやパートの「シフト管理」の機能なども用意されている。1日ごとの人件費の把握はもちろん、リアルタイムな予実比較が可能だ。日々の財務状況を詳細に確認したい経営者にとって、魅力的な環境といえるだろう。


photophoto シフト管理や給与振込にも対応するなど、単なるタイムレコーダーの代替ではない機能を備えている

 勤務シフトの調整、残業や休暇の申請と承認といった作業は、インターネットを介して従業員らが場所を問わず行えるようになることで、大幅な効率化が図れると鈴木氏。「店舗運営業務で、一番手間がかかっていた部分がここだろう。スタッフの利便性を図るとともに、マネージャーには本業に集中してもらうことができるようになる」と、自信を見せる。

 なお、スタッフによるシフトや休暇などの各種申請は、スタッフ専用のWebページから行える。このWebページでは、勤務明細や有休残日数の確認などに加えて、給与振込と連携した「給与移動」の機能も利用できるという。これは月ごとに支払う給与を、スタッフの要請に応じて自動で前払いする(その日までの給与を都度支払う)ものだ。上長と人事の承認があれば、月次の給与支払日を待たずにスタッフが自分の銀行口座へ給与の振り込みを指示できる。スタッフの多様なニーズに応えられる、他の勤怠管理システムでは見られない機能である。

photophoto スタッフ専用ページからシフトや休暇の申請が可能。前払いの対応も可能だ

 もちろん、こうしたWebページにはモバイル環境からもアクセスができ、スタッフの利便性向上や、管理の効率化につながっていく。スマートフォン向けには一部のWeb画面が最適化されており、今後はiOS/Androidアプリの提供も予定しているという。

きめ細かく多彩な機能群

photo スタッフに各種の確認メールを自動送信する機能も用意している

 DAIMの持つ労務管理機能には、外食チェーンでのニーズから生まれ、さまざまな業界、業種のニーズによって鍛えられた、きめの細かい設定が可能なものが多い。分かりやすいグラフで設定できるシフト作成管理機能、時間帯別時給設定機能、打刻の時間丸め処理機能、休憩設定機能、アルバイトの有休管理機能といったものがそれだ。

 また、単なる勤怠管理にとどまらない付加機能もいろいろとある。その1例が“メール自動送信機能”だ。シフトの開始/終了時刻前後に確認メールをスタッフに自動送信したり、遅刻や無断残業などに対して状況確認のメールを送ることが可能で、ユーザーからの評価も高いという。このあたりも、外食チェーンの運営経験に基づいて作られたDAIMらしい機能といえる。


photo 工数管理機能は作業を効率化するための資料としても活用できる

 さらに独特なものとして、開発プロジェクトや、作業内容が詳細に決められたパート/アルバイト業務などで使える「工数管理機能」がある。これは、従事する作業の内容ごとに勤務管理が行えるもので、これを活用することにより、人件費の精密な原価配分や人事評価なども可能になる。また、作業内容とそれにかかる時間を組み合わせて把握することで、より効率的な人員配置のヒントとすることも可能だと鈴木氏は話す。

 厳密な時間管理は、方法を間違えると現場の士気を低下させるケースもあるが、DAIMのようなツールを使い、管理の効率化、自動化を進めることは、時間効率に対するスタッフの意識を高めるきっかけにもなるというのが、鈴木氏の弁だ。時間管理を行わずに残業が多く出ていた店舗チェーンが、DAIMでシフト管理を視覚化することで、大幅に残業を減らすことができた事例もあるという。

クラウドならではのマッシュアップによる機能追加も

photo 話を進めている他社連携の1例として鈴木氏が見せてくれた“萌え勤怠アプリ”。さまざまなソリューションとアライアンスを組み、DAIMでできることをひろげていきたいという

 キズナジャパンでは今後も引き続き、DAIMの機能強化を行っていく計画だ。SaaSで提供しているメリットを生かし、DAIMユーザーであれば新たな機能はオプションとして、何らシステムを変更することなく、申し込みを行うだけで追加していくことができる。

 2012年5月には、外国人労働者を雇用する企業向けに「マルチ言語対応サービス(英語)」を追加予定だ。その後も「旅費・交通費適正化機能」「健康診断受診管理」「労働安全衛生管理」「取引先管理」などの提供を計画している。鈴木氏は、「クラウドの強みを生かして、他社が提供しているサービスとDAIMとの統合も積極的に進めていく」と、アライアンスでソリューションの価値を高めていく構想も語った。「外資企業のパッケージソフトによる進出がめざましい分野ではあるが、日本の環境に合った、日本ならではのサービスを提供していきたい」(鈴木氏)

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