―― サービス提供側も、スマートフォンへの対応が進み始めているのでしょうか。
小畑氏 このところ、急激に伸びています。サイト対応でいえば、売上に直結するEコマース業界の対応が早かったですね。最近では、ブランディングを重視するナショナルクライアントや人材系、Q&Aサイトなど、多種多様な業種が対応し始めています。
スマートフォンへの移行が進んでいるので、フィーチャーフォン向けサイトだけでは、自社の顧客とコミュニケーションできなくなってしまうんですね。それで対応を急いでいるようです。
ただ、全体でみると、まだ対応済みのところは少ないです。通販業界でさえ、300社のうちの5分の1くらいしか対応していないのが現状です。
―― なぜ、対応が進まないのでしょう。
小畑氏 投資対効果を考えて二の足を踏む企業が多いようです。まだ成功事例が少ないので、社内で決済を仰ぐときにときに担当者が大変なのだと思います。
24時間365日運用しているシステムを持つ、通販や金融などの大規模サイトは、会員データベースや商品データベース、決済システム、物流システムなど、基幹システムにつながっているプログラムに改修を入れると、とてつもない金額と期間がかかる場合もあると聞きます。
多額なコストがかかる投資では、テストマーケティングをして、効果があることを実証できないと不安になりますよね。あとは市場があると分かっていないと踏み切れない。やはり、“どぶに捨てるつもりでも払えるくらいの投資金額”で対応できないと難しいという企業が多いのだと思います。
―― エムティーアイは60ブランドもの携帯サイトをお持ちですが、すでにスマートフォンへの対応を果たしています。
小畑氏 スマートフォン人気が本格化した頃から、会員の減少が始まったのですね。アーリーアダプタ層が利用するサイトでは、特にそれが顕著になってきたのです。
これはもう、事業転換を急がなければならないということで対応策を考えたのですが、60ブランドある携帯サイトと同じ数だけスマートフォンサイトを立ち上げようとすると、今いる人材では何年もかかることが分かったのです。この10年で作り続けてきたシステムを、もう一度つくるのはあり得ないだろうと。
人の手をかけずに効率的に、しかも時間をかけずに対応するにはどうしたらいいか――と考えたときに、「フィーチャーフォンサイトをスマートフォン向けに自動変換システムを作るしかないだろう」ということになったのです。
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