シニアのネット利用、広がる――都市部の60代は7割超に調査リポート

» 2012年04月10日 16時14分 公開
[ITmedia]

 都市部では60代の7割超がネットを活用――。電通総研と東京大学の産学協同研究組織「DENTSUデジタルシニア・ラボ」の調査で、ネットを活用するシニア層が増えていることが分かった。

 調査によると、使用機器にかかわらず、何らかの形でインターネットを利用している人の割合は60代で57%、70代で23.3%に達していることが分かった。

 同ラボが2000年から5年おきに行った調査では、2000年のネット利用率が4.5%、2005年が25%、2010年が48.8%となっており、着実にシニアのネット利用が拡大している。

Photo シニア層のネット利用率(2012年)
Photo 60代のネット利用率の推移

 ネット利用率を都市の人口規模で比較すると、大都市圏のシニア層のネット利用がより進んでいることが確認できたという。人口100万人以上の都市では60代のネット利用率が7割を超え(70.2%)、70代も4分の1超(26.3%)に達している。一方、人口10万人未満の都市のネット利用率は60代が52.2%、70代が20.3%だった。

Photo 人口規模別で見たネット利用率

 ネット利用率を機器別で見ると、60代のPCによるネット利用は37.3%、70代は14%だった。携帯やスマートフォンを使ったネット利用は60代が半数超(51.3%)で、70代は18%となった。

 ネットを利用し始めてよかった点をたずねると、「友人・知人とのコミュニケーションが増えた」が55.7%でトップとなり、「情報が増えたり、知識が広がったりした」が55.3%で続いた。

Photo ネットを初めてよかったと感じていること

 デジタル機器やネットを利用したことがないシニア層が使いこなせるようになるには、若年層に比べて多くの壁が存在することが分かっている。しかし、同ラボのフィールド調査で、挫折を防ぐためのノウハウに基づいた適切な手法を採用すれば、1年でデジタルシニアになれることが実証されたという。

 挫折を防ぐ手法は、富山県で長年、高齢者のIT支援活動を行っているNPO法人PCTOOLが培ったノウハウに基づくもので、「楽しさ第一主義」「シニア特有のデジタル不安やつまづきポイントの除去」「シニアへのデジタル講習で有効となる言葉選びや、たとえ表現」「高齢者に配慮した独自のテキストブックの工夫」「自分との関係性の体感的理解と自分からつかみ取った意識の醸成」「サークル形式での運営と、横のつながりの確立」などが挙がっている。

 なお、フィールド実験に参加したシニアがネットリテラシーを身につけた結果、「健康管理のための調べごとをネットでするようになった」「旅行の予約をネットでどんどん行うようになった」というように、生活がよりアクティブになった例がみられたほか、心理面でポジティブな変化が合ったという声も聞かれたという。


 調査は1月13日から1月23日にかけて、全国の60歳から79歳までの男女計600人(60代男性、60代女性、70代男性、70代女性、それぞれ150人)を対象に行ったもの。

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