FileMakerシリーズの製品は、業務で使う上でどこがどのように便利なのか。5つのポイントからまとめてみよう。
データベースを「開発」して「運用」するというと、その語感からコンピューターの特殊技術を持った人が、ものすごく面倒くさいことをして作ってる印象を受けるかもしれないが、それはFileMaker Proに関していえば誤解だろう。操作は普通のPCソフトと一緒で、例えば、Excelに文字を入力するような感覚でデータベースを作成できる。開発を始めるのに、事前にプログラミング言語を学ぶ必要もないのだ。それでいて凝ったシステムを作ろうと思えば、プログラミング言語を使ってバリバリ開発できてしまうのが、FileMaker製品の懐の深さといえるだろう。
正直、データベースはExcelでも作れるが、FileMaker Proならさらにデータの表示方法を一覧/個別と選べるのがメリット。データの入力時は個別、五十音順に並べ替えたいときは一覧といったように、利用シーンに応じて使い分けられるのが便利だ。
簡単そうだけど、一からつくるのはちょっと――。という人には、16種類のひな形(テンプレート)が便利だ。住所録、資産管理、請求書、見積書、顧客情報の管理など、業務の現場で求められる主だった用途については最初からテンプレートが用意されるので、ゼロから作らなくて済む。いきなりデータを入力して使い始められるというわけだ。もちろんそのままではなく、自社のニーズに合わせて項目を足し引きしたりして、社内で使いやすいように見た目を変更することも可能だ。
データベースには文字だけでなく、画像や動画、Webページを貼り付けられる。例えば性別や取引先名など、限られた項目から選ぶ場合は、ポップアップメニューから選ぶようにもできるので、いちいちキーボードを入力する手間が省ける。ITに詳しくない人が、iPadを使って情報入力するようなケースでも安心だ。
FileMaker Proは、Microsoft Excel(.xls、.xlsx)、CSV(.csv)といったファイル形式の読み込みにも対応しているので、手持ちのデータベースを取り込んで、それをカスタマイズしていくことも可能だ。
例えば、受注した商品と点数、その金額をExcelで管理して、Wordで請求書を作っているようなケースでは、先に挙げたFileMakerの「請求書」テンプレートでまとめて管理できる。その際、「請求書」テンプレートの「製品」に過去のExcelファイルを読み込ませれば、過去の情報をいちいち入力し直すことなく、一元管理できるわけだ。
モバイル環境でも役立つのがFileMaker製品の強みだ。ファイルメーカーは、iPhone/iPod touch向け、iPad向けに、それぞれ無料アプリとして「FileMaker Go」を提供している。FileMaker Pro 12のテンプレートは、ほとんどがiPhone/iPod touch、iPadの画面サイズに合わせたレイアウトを用意しているので、モバイルとの連携を前提としたデータベースの準備もスムーズだ。
特にオススメなのが、持ち運びやすいiPad miniとPCとの組み合わせ。わざわざ重いノートPCを持ち歩かなくても、タッチパネルの操作で顧客の購入履歴や倉庫の在庫などをサクっと調べられるのが便利。その上、閲覧だけでなく、入力だってできてしまうのだ。基本データはPCで打ち込んで、出先で必要な部分だけ追記する――といった運用にも柔軟に対応してくれる。
ちなみに、PCに置いてあるデータベースをインターネット越しに入力/閲覧したいときは、「FileMaker Server 12」を用意しよう。グループのほかの人が更新した情報をリアルタイムで引き出して利用できるようになる。
グループで仕事をしているなら、データベースを1台のPCに収めておくのではなく、ほかのスタッフのPCやiPadからアクセスできるようにしておきたいもの。FileMaker Proの「インスタントWeb公開機能」を使えば、5台まで(Pro版)の機器からアクセスが可能になる。FileMaker Proをもう1本買うことなく、Webブラウザを使った入力や閲覧が可能だ。客先の住所録をみんなで入力していって1台のPCで集中管理する――といった用途で役立つはずだ。
FileMaker Proは、どんな業務の現場で使われているのだろう。青果仲卸業者の丸友青果は、FileMaker ProとiPadを組み合わせた業務ソリューションの導入で、年400万円のコスト削減に成功した企業だ。
紙に手書きで行っていた売買成果の伝票記入を、iPadとiPad版FileMaker Goを利用した入力に変更し、現場からオフィスにデータを送信できるようにしたところ、PC入力の手間がかからなくなり、作業効率が大幅に向上したという。
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