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» 2013年02月13日 09時00分 UPDATE

M2M活用の新しい形:“節電効果大”の遠隔空調管理、モバイル活用でより身近に――ダイキンとKDDIの新提案

節電効果が大きいものの、設置のハードルが高かったネットワーク制御の空調管理。これを3G通信モジュールの活用で、手軽に設置できるようにしたのがダイキンとKDDIの取り組みだ。

[柴田克己,ITmedia]
Photo ダイキン工業の織田俊明氏

 東日本大震災の発生以降、深刻な問題となっている電力不足。この冬にも、政府が北海道で2010年度比7%以上という節電目標を設定するなど、省エネに向けた取り組みを要請する事態になっている。

 家庭に比べて電力消費が多い企業にとって、どのような形で節電対策を講じるかは重要な問題であり、自社の業務に影響しない形の対策を模索している企業も多いのではないだろうか。

 こうした中、空調機メーカーのダイキン工業とダイキンHVACソリューション東京、KDDIの3社が7月から提供を開始したのが、KDDIの3G通信モジュールを利用した業務用エアコンの遠隔管理サービス「得見え安心プラン」だ。省エネ効果が大きい空調管理をネットワークを通じて制御するサービス「DAIKIN D-irect」に、設置が容易な3G通信モジュールを組み合わせることで、導入のハードルを下げたのが特徴。中小企業や店舗が手軽に省エネ対策を行えるようにした。

 このサービスの特徴と効果について、ダイキン工業 空調営業本部カスタマーサポートセンターソリューションサポートグループの織田俊明氏に聞いた。

Photo D-irect専用アダプタはKDDIの3G通信モジュールに接続され、3G網を通じて遠隔監視・制御サーバにデータを送信する
Photo 3G通信モジュールを利用した「DAIKIN D-irect」のシステム構成

3G通信モジュールへの対応で適用範囲が大きく拡大

 DAIKIN D-irectは、2007年以降に発売されたダイキン工業製の店舗・事務所用エアコンをインターネットに接続し、空調機のセンサーが取得する情報や、稼働状態に関するデータを収集・管理したり、あらかじめ設定したスケジュールに従って、運転状況を自動的に変更したりといったことを可能にするサービスだ。また、機器の修理履歴の管理や自己診断機能に基づくアラートをメール送信するといったこともでき、メンテナンスサービスの提供にも活用されている。

 一般的な事務所や、飲食店、物販店、病院などの施設で空調にかかる電力使用の割合は、23〜46%になるという調査結果があり、これらはいずれも照明などよりも大きな比率となっているという。

sa_dk10.jpgPhoto 設置した空調機それぞれの運用状態を確認できる。切り忘れ防止機能は10分刻みで設定可能だ

sa_dk12.jpgPhoto 運転スケジュールは柔軟な設定に対応。本部で設定した設定を複数拠点に一括で設定することも可能だ

 「電力使用比率が高い空調の使い方を管理することは、省エネルギーや電力コストの削減に大きな効果がある。大規模の事業所であれば、こうしたエネルギー管理を業務の一環として行っているところもあるものの、小規模な事業所や店舗ではそうした体制がなく、電力の管理システムも導入されていないケースが多い。DAIKIN D-irectは、そうした中小規模の空調機ユーザーに対し、運転状況や使用電力量を可視化して適切に管理することで、節電や電力コスト削減の取り組みを進めてもらえるサービス」(織田氏)

 このDAIKIN D-irectというサービス自体は、2007年から、ネットワークモジュールに対応する空調機の発売と合わせて提供してきた。しかしながら、従来は事業所や店舗などに別途設置されたLAN(および無線LAN)への接続やルータ設定を行う必要があり、それが導入のハードルを上げていたという。

 今回、新たにKDDIの3G通信モジュールという選択肢が追加されたことで、KDDI(au)の電波が入る環境であれば、別途ネットワークを設置したり、既存の環境に変更を加えたりすることなく、DAIKIN D-irectを利用できるようになった。KDDIによれば、業務用エアコンへの3G通信モジュール搭載の取り組みは、業界初だという。

 「従来は、空調機のネットワークを店舗や施設それぞれのネットワーク回線に引き込んだり、新たに回線を設けなければいけないケースが多く、その部分で導入のハードルが高くなりがちだった。KDDIの3G通信モジュールに対応したことで、システム管理者がいない環境であっても、迅速な導入が可能となったほか、施工時にも個別のネットワークに対応する必要がなくなるため、基本的な空調管理を多くの環境で行ってもらえる体制が整った」(織田氏)

 DAIKIN D-irectでは、D-irect専用アダプタを搭載した複数の空調機の管理を一括して行える。センサーによって収集された外気温や室温に加え、稼働時の設定温度、稼働時間などを48時間単位でグラフ化して、セミリアルタイムに表示することが可能だ。また、「切り忘れ防止設定」「プログラム運転」「運転や温度調節の遠隔操作」などの機能も装備している。

 フランチャイズ店舗や複数の事業所を展開している場合には、本部で「省エネ用のエアコン運用ルール」のようなものを設定し、それをすべての拠点の空調機へ一斉適用することも可能。さらに、会議室と執務室等、使われ方の異なる設備への空調については、それぞれの利用シーンに応じてルールをグループ化し、個別に適用することもできる。

 より高度なエネルギー管理を行いたい場合には「電力量計接続」による、消費電力量の可視化機能がオプションで用意されている。別途、電力量計の導入などが必要になるが、このオプションを利用すると、各拠点での消費電力量や、そこで空調が占める割合などのグラフ化なども可能になる。このシステムの導入にあたっては、条件が適合すれば経済産業省の「エネルギー管理システム(BEMS)導入促進事業費補助金」の対象になる。

Photo 電力量計の接続イメージ

数台の管理でも徹底すればかなりのコスト削減に

 もっとも、ここまで本格的なエネルギー管理を行わない小規模なケースであっても、空調機の稼働状況を確認し、設定温度や稼働時間などを見直す取り組みを行うことで、かなりの節電効果は見込めるという。実際に空調機3台でDAIKIN D-irectを導入している都内の飲食店のケースでは、夏期の運用において冷房の切り忘れ防止や、設定温度の管理を徹底することで、空調の消費電力を最大約12.4%削減できるという試算結果が出たそうだ。これは電気代に換算して1カ月あたり約7500円のコスト削減に相当する。

 3G通信モジュールへの対応によって、空調機管理のこうしたメリットを得られる事業者の幅も広がった。ダイキンHVACソリューション東京では、DAIKIN D-irectを「得見え安心プラン」と呼ばれるリースプランの一部として、3G通信料や修理対応などのサポート料込みで提供している。

 DAIKIN D-irectでは、空調機の自己診断機能との連動も行っており、稼働中に何らかの異常が検知された場合には、自動的に販売店やオーナーへのメール通知を行う機能も持っている。リース契約期間中には修理費も無料になるため、故障すると業務に影響が大きいにもかかわらず、現場ではなかなか手が回しづらい空調機器のメンテナンス面でもメリットが大きく、好評を得ているという。ダイキンHVACソリューション東京では、このリースプランとDAIKIN D-irectを含めた、今後1年の販売目標を4000台としている。

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