今、はやりのタブレットを導入しようとする企業が増えているが、ちょっと待ってほしい。タブレットの導入で、最大の効果を上げたければ、オフィスに根強く残る「紙」の情報にどう対処するのかも視野に入れた検討が必要だ。カシオの「PaperWriter」は、“紙との共存”を考えたタブレット端末。PaperWriterの前で紙の資料をめくるだけでデジタル化でき、すぐ業務で使えるよう自動でファイリングする優れものだ。
スマートフォンやタブレットといったスマートデバイスの普及が急速に進んでいる。特にタブレットは高性能でありながら持ち運びがしやすく、直感的な操作で使いこなせることから、従来、モバイルPCが担っていた利用シーンにも導入範囲を広げつつある。
ビジネスの現場においても、こうしたタブレットの持つメリットが高く評価され始めている。営業活動や会議といった日々の業務の中で、タブレットの機動性やユーザビリティの高さを生かし、社員の生産性を高めたいと考える企業は増える一方だ。
しかしながら、こうした企業には、導入前に改めて考えてほしいことがある。それは、日々の業務の流れの中に、いかにスムーズにタブレットを組み込むかという点だ。このテーマを考える際には、いまだに多くの職場や業務の中に存在する「紙」の情報を、どのように電子化していくかについても、合わせて考えるべきだろう。
タブレットに限らず、企業がPCや携帯電話といった新たなITデバイスを導入する目的は、業務の効率や社員の生産性を高め、企業の競争力を高めることだ。こうした取り組みと合わせて必ず必要となるのは、企業内情報の「電子データ化」である。
業務の中で生まれ、保存される情報は、電子データに変換されることで、初めてITシステム上で自在に扱えるようになる。印刷や保管コストの削減も合わせた「オフィスのペーパーレス化」として、そうした流れを推進しようという取り組みは、これまでも長い間行われてきた。
しかし、改めて、自分の業務やオフィスを振り返ってみてほしい。完全な「ペーパーレス」が実現されているケースは、ほとんどないのではないだろうか。
いくつか例を考えてみよう。
例えば、商談の中で交換される紙の「名刺」は、貴重な情報源だが、これらはどのように管理されているだろうか。きちんとルールを決めてデータ化しているケースはまれで、各担当者の机の中に、紙のまま眠らせてしまっていることがほとんどなのではないだろうか。
また、定例の会議やブレーンストーミングの場では、参加者に紙の資料が配られることが、まだまだ多いのではないだろうか。参加者は、会議の中でそれぞれに、その資料や紙のノートに手書きでメモを書き込んでいないだろうか。そのメモの中には、非常に重要なアイデアやヒントが埋もれているかもしれないが、それらは後で探し出せる形で保存されることは、まずない。
いまだ多くのビジネスの現場に「紙」は存在しており、その上に記された情報は未整理のままになっているのが現実だ。
業務の中で生まれるあらゆる情報を電子データ化して、必要に応じて自在に検索し、加工できるように整理しておくことが、ITデバイスによる業務効率化や生産性の向上を実現するための前提条件だ。
しかし、先ほどの例でも挙げたように、オフィスの中からすべての「紙」をなくすことは現実的には難しい。情報メディアとしての「紙」には、ITデバイスでは、どうしても補完できない使い勝手の良さがあり、それを無視して業務の中からすべての紙を排除しようとすれば、かえって作業効率や生産性を下げる結果になりかねない。
タブレットの導入にあたって、「現在の業務の流れの中に、いかにスムーズにタブレット組み込むか」と「紙の情報の電子化をいかに効率的に行うか」を合わせて考えておくべき理由はそこにある。
そして、その課題に「紙を生かす」というアプローチで臨み、注目を集めているのがカシオ計算機(カシオ)の業務用Androidタブレット「PaperWriter V-N500」シリーズ(以下、PaperWriter)なのだ。
紙の情報を電子化するには、さまざまな方法がある。主な手段としては「スキャナで読み取る」「デジカメで撮影する」「人が手作業で入力する」といったものが挙げられる。ただ、こうした手段による電子化は、なかなか継続的、組織的に行われないのが実情ではないだろうか。その理由の1つが、取り込み作業に大きな手間をとられてしまうことだろう。
PaperWriterの最大の特徴は、この「紙のデータを電子化するための手間」を軽減してくれる点にある。PaperWriterでは、本体内蔵のカメラでA4サイズまでの紙資料を撮影し、その内容をデジタルデータとして保存することができる。その撮影方法も、ユーザーに手間がほとんどかからないよう工夫されているのだ。
PaperWriterには専用のカバーが用意され、その片面に紙のノートをセットできるようになっている。このノートに、普段利用しているペンを使って手書きのメモを書き込んだあと、ケースを閉じる動作をすると、自動的に内蔵カメラのシャッターが切れ、メモの内容がイメージとして保存される。ユーザーは、取り込むための特別な操作を意識する必要はなく、面倒なケーブル接続をする必要もない。この「ページ閉じショット」には、撮影した画像のゆがみを補正する機能も含まれており、「メモをとって、カバーを閉じる」という動作だけで、データの取り込みが完了するようになっている。
また、プレゼンのハンズアウトなど、複数ページにわたる資料の取り込みに便利なのが「ページめくりショット」だ。これは、カバーを使って縦置きにしたPaper Writerの前に資料やノートを置き、順にページをめくっていくと、自動的に各ページの内容をデータ化できるというものだ。カメラは、ページ内容の変化を認識して自動でシャッターを切るため、1ページごとにシャッターを手動で押すといった作業は必要ない。これだけでも、「紙のデータ化」の障害となる手間が大幅に削減される。
さらにPaperWriterには、紙のメモに手書きで特定のマークを書き込んでおくことで、その部分のみを画像の中から切り出し、検索できるようにする機能が用意されている。
例えば、「会議の議事録」を手書きで作るシーンを想像してほしい。会議の中で出てきた有望なアイデアに「♯」マーク、決定事項に「$」マーク、ToDoリストに「△」マークを手書きで書き込んでおく。すると、PaperWriterで読み取った後、そのマークが書かれた部分のみを、タブレット上から「アイデア一覧」「ToDo一覧」「決定事項一覧」として、即座に検索できるようになるのだ。
PaperWriterには、手書きのマークを利用したさらに便利な機能もある。紙のメモに「@」マークを記載しておけば、ケースを閉じたときに自動で電子化するとともにメーラーが自動で起動して、あらかじめ登録した相手に即座に送信できるのだ。メモの内容を急いで社内に伝えたいときにこの機能を使えば、現場からすぐ伝えられるというわけだ。
デジタル化したデータをカレンダーの予定に自動で紐付けたり、ToDoリストに追加したりといった機能も備えるほか、紙の名刺もPaperWriterのカメラで取り込むことができる。名刺はOCRによるテキストデータ化にも対応しており、取り込んだデータは簡単操作でアドレス帳に登録することが可能だ。
紙というメディアの持つ利点を最大限に生かしつつ、電子化の手間を減らし、さらに電子化されたデータを「生きた情報」として活用するためのソフトウェアを合わせて提供することで、カシオはPaperWriterを他の製品にはない高い潜在能力を秘めた「業務改革のためのタブレット」に仕上げている。
例えば、取引先との打ち合わせの現場で手書きのメモをとる。話の内容を聞きながら、確認や急ぎの対応が必要な部分、関係者へ連絡したい部分に「手書きマーク」を付けておく。打ち合わせが終わってケースを閉じれば「ページ閉じショット」が作動し、そのメモの内容が自動で電子化され、メールの送信もすぐにできる。
また、確認項目、対応項目も、打ち合わせが終わった段階で、すぐにピックアップできる形に整理され、それらを記載したメモ自体のデータもカレンダー上の予定に自動でひもづけられる。「ページめくりショット」を使えば、打ち合わせの際に配付された複数ページにわたる資料を短時間で取り込み、メモや名刺データと一緒に管理しておくこともできる。
現状、PaperWriterで取り込んだデータは、Evernote、Dropboxといったネットサービスとの連携に対応しており、これらのサービスを業務で活用している企業なら、デジタル化したデータをすぐにスタッフ同士で共有できるのも便利な点だ。
なおカシオは、既存のさまざまなソリューションとPaperWriterとの連携について、SIベンダーとの協業で推進していくことを計画しているという。既に企業内で業務の一部を担っているシステムとの連携が実現すれば、PaperWriterの活用価値はさらに高まるだろう。
既にある業務プロセスの中に、「紙の情報をシームレスに電子化」し、「自動的に整理できる」という仕組みが加わることで、これまで取り払うことが難しかった「紙」と「システム」の間の壁を一気に取り払うことができる。そこから生まれる可能性が「タブレットの導入による競争力の向上」という目的に、大いに寄与することは想像に難くない。
タブレットは今後、今以上に幅広い分野のさまざまな業務に使われることになるとみられている。利用者層もITリテラシーの高い人ばかりではなくなり、これまで以上に使いやすさ、分かりやすさが求められるようになる。
「アナログの良さをデジタルで生かす」ことをコンセプトとして開発され、「紙」をユーザーインタフェースとして活用できるPaperWriterは、その点でも他のタブレットにはない優位性がある。その上で、業務現場での利用時に欠かせない耐衝撃性能や防滴防塵性能を備え、長時間駆動を支援する大容量バッテリーを装備するなど、スペック面の配慮も行き届いている。
新たなITデバイスで大きな成果を上げることを求めるならば、その活用プロセスにまで目を向けた検討が必要だ。その際、業務から「紙をなくす」のではなく、業務の中で生まれる「紙の上の情報をうまく活用する」という視点での導入を考えるのであれば「PaperWriter」は、極めて強力な選択肢になるはずだ。
PaperWriterは、本記事で例として上げたような「オフィスでの生産性向上」といった側面だけでなく、旧来からある「紙」による情報のやり取りが深く根付いた業務とも親和性が高く、既に導入に向けた検討も進んでいるという。
それは、顧客との間で「契約書」を取り交わす必要のある業務などが上げられる。例えば「コンビニエンスストアのフランチャイズ契約管理」は、そんな業務の一例だ。こうした業務では、紙による書面の取り交わしや保管が必須で、従来なら、紙のまま保存しておくか、コストをかけてスキャンなどによる電子データ化をするしかなかったという。これを電子化の手間とコストを削減できるPaperWriterによって効率化したいという動きがあるという。
また、中小規模の病院でも、これまで投資対効果の面で導入が難しかった「電子カルテ」のPaperWriterによる管理が検討されている。
さらに、図面の取り扱いが多い「地図情報関連業」「製造業」「メンテナンス業」「ライフライン業」関連では、図面と手書き情報の組み合わせによるデータ化と、その活用を検討している。少し変わったところでは、生花を扱う「花き業界」が、その防滴機能や耐衝撃性などを評価して現場業務へのPaperWriterの導入を進める動きもあるという。
紙によるフローが定着した業務の効率化を目指して、PaperWriterを検討しようという動きは、今後も加速しそうだ。
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提供:カシオ計算機株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia プロフェッショナルモバイル編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日