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» 2013年03月06日 18時20分 UPDATE

Mobile World Congress 2013:基地局にサーバーを統合するユニークな「Liquid Applications」で差別化を図る――Nokia Siemens

MWC2013でユニークなLTEソリューションを発表したNokia Siemens Networkの担当者に、同社のLTE事業について話を聞いた。

[末岡洋子,ITmedia]

 LTEネットワークが世界的に広がりつつあり、「Mobile World Congress 2013」(MWC2013)ではLTE-Advancedの声も聞かれた。NTTドコモのLTE-Advanced対応装置開発ベンダーとしてパナソニックモバイルコミュニケーションズとともに選ばれたNokia Siemens Networksに、LTE、VoLTE、最新のソリューションなどについて聞いた。

 回答いただいたのは、ネットワークシステムズ・マーケティング&コミュニケーションズのStefan Kindt氏、それに戦略マーケティングプログラム担当シニアマネージャのLeslie Shannon氏のお2人だ。

photophoto Nokia Siemens NetworksのStefan Kindt氏(写真=左)とLeslie Shannon氏(写真=右)

――(聞き手 : 末岡洋子) LTEが普及期に入りつつあるようです。LTE事業展開について教えてください。Nokia Siemens Networkの長所はどこになりますか?

Leslie Shannon氏(以下、Shannon氏) 2012年のMWCでは、LTEネットワークの提供先数は45社だったが、今年は2月23日時点で78社と大きく増やした。このうち、LTEネットワークのコアとなるEPC(Evolved Packet Core)は36社、無線部分は71社となっている。

Stefan Kindt氏(以下、Kindt氏) われわれが「Flexi」ブランドで展開する基地局は信頼性に優れており、性能、LTE以降のネットワークの進化に対応する製品設計などが特徴だ。すでに2G、3Gで利用いただいている顧客は、容易にLTEに拡張できるが、LTEでは新規顧客も獲得している。差別化の1つであるスケジューラーにより、トラフィックの無線インタフェースへの割り当てが効率化でき、全体のスループットが改善する。

Shannon氏 LTEではユーザーの行動が大きく変わり、上りのアップリンクが重要になる。ネットワークがパワフルで、使いやすいスマートフォンがあるため、動画や写真のアップロードができると分かったユーザーはすぐにアップリンクを活用し始める。例えば「スーパーボウル」の中継中はこの比率が従来と逆転し、ダウンロードが42%、アップリンクは58%になった。オーストラリアではLTEサービスインの後わずか10週間目で、LTEトラフィックにしめるアップリンク45%に上っている。

Kindt氏 LTE戦略を進めるために、会期中基地局にITサーバーを統合する画期的なソリューション「Liquid Applications」を発表した。基地局のシステムモジュールにサーバーを統合し、分散クラウド機能を提供できるもので、LTEネットワークをさらにリッチにする。

photo 基地局のスロットにサーバーモジュールを入れて、ローカルコンテンツの配信を効率化する「Liquid Applications」

―― キャッシュではなく、サーバーを統合する必要性について教えてください。サーバーではNSNが手がけるのか、提携するのか?

Kindt氏 キャッシュは基本的な機能で、ストレージでは選択肢の1つになる。Liquid Applicationsはストレージに加えて、処理機能も提供できる。つまり本物のアプリケーションを動かして基地局のすぐ横で処理できる。メリットは、エンドユーザー、コンテンツプロバイダーの両方にある。エンドユーザーはネット体験が改善し、コンテンツプロバイダーは効率のよい広告などのコンテンツ配信が可能となり、ネットワーク側の情報を活用して自分たちのアプリケーションをリッチにできる。

 例えばネットワークの混雑具合、加入者のプロファイルの変更などに応じてアプリケーションの振る舞いを変えることができる。動画ストリーミングを快適にするために、メディアコーデックの圧縮を調節し、ユーザーが認知できないレベルで品質を落としつつ途切れなく再生できるようにする、などのことが考えられる。また、ローカルで処理が行われるため、現実拡張(AR)でもメリットが大きく、その地域のレストランがメニューを表示する、ショップがクーポンを知らせるなど、的確な情報を効率よく配信できる。

 ミドルウェア側ではIBMと提携するが、独占的なものではない。今後増やしていく。

 Liquid Applicationsはまず、韓国のオペレーターとフィールドトライアルを開始することになっており、このほかにも複数のオペレーターと話し合いを進めている。このようなソリューションはNSNだけなので、高い関心をいただいている。

―― VoLTEの動向はどうでしょうか?

Kindt氏 韓国のオペレーター2社(SK TelecomとLG U+)、米国のMetroPCSがサービスを開始した。われわれはこのうち、韓国側で技術を提供している。SK TelecomのVoLTEサービス「HD Voice」の品質はユーザーにも認識できる高い品質だが、それだけではない。LTEは音声側の通話設定時間や低い遅延なども実現する。

 だが、VoLTEが離陸するためにはまず端末がそろう必要がある。VoLTEに対応した端末はまだ少なく、オペレーターのポートフォリオには2〜3機種しか存在していない。また、韓国の場合は同じオペレーター同士でしかVoLTEを利用できないなどまだ制約がある。

 VoLTE対応機種の種類が増え、相互運用性の問題が解決するのが離陸の条件となるだろう。機種については、多くのメーカーが今後6カ月でVoLTE対応機種を揃える計画なので、そこで盛り上がると期待している。

 エリアや端末などの問題からすべてVoLTEで音声通話ができる状況ではないため、途中の過程で既存(3G)の回線交換方式に切り替えるCSFB(CS Fall Back)がどうしても必要になる。欧州のオペレーターを中心にCSFBの通話設定時間への懸念があったが、3GへのCSFBは4〜5秒で(ユーザーが)認識できるレベルではない。われわれのCSFBソリューションは最も高速で信頼性もあるので、ここでも選ばれている。

 オペレーターは、最終的にはすべての通話もデータ(IP通信)になると考えており、中長期的にはVoLTEと見ているようだ。

―― トラフィック対応としてHetNetがトレンドになっています。ここへの取り組みは?

Kindt氏 HetNetはWi-Fiなど3GPP以外のさまざまな無線技術も混在している。複雑性が増しており、従来のネットワークインフラだけでは不十分で、それ相応のサービスが必要だ。われわれは、モバイルブロードバンド製品の1つである「Liquid Radio」でHetNetソリューションを提供する。ハードウェアとソフトウェアを分離してサービスの必要性に応じてキャパシティをコアエレメントに割り当てるSON(自己管理ネットワークソリューション)が重要な技術となる。

 我々はまず、フェムトベースステーション「FlexiZone Access Point」の提供を開始した。Wi-Fiでは、キャリアグレードのWi-Fiを統合して加入者管理、トラフィック管理ができるようにしている。必要に応じてオフロードとオンロードを管理し、さらにCEM(顧客体験管理)ソリューションを統合する。

Shannon氏 スモールセルのレイヤーだけでなく、異なる周波数帯を持つマルチバンドでもソリューションを提供する。例えば「Liquid Radio WCDMA Software Suite」を利用して、3Gでも900MHz帯、2100MHz帯を利用する場合に周波数帯間の負荷分散が可能だ。

 MWCで発表した「Liquid Radio LTESoftware Suite」では、TD-LTEとFDD-LTE間のオフロードが可能となる。TD-LTEの周波数帯は手に入りやすいが、対応端末はまだ少ない。オペレーターの中では両方を持っているところも多く、Liquid Radio LTESoftware SuiteならTD-LTEとFDD-LTEの間で柔軟にトラフィックを管理できる。

 オペレーターはHetNetにあたってどのようなソリューションが最適かを理解する必要がある。地域によって音声がメインなのか動画の需要が高いかなど特性が異なるからだ。われわれはニーズに合わせたインフラのチューニングとプロフェッショナルサービスで支援していきたい。

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