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「泥沼競争」避けたい――Xiで差別化目指すドコモ、契約数の通期目標を上方修正

ドコモが第3四半期決算を発表。スマートフォンが後押しする形でLTEサービス「Xi」の契約が伸び、同社は契約数の通期目標を130万から200万に上方修正した。

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 NTTドコモは1月27日、2011年度第3四半期の決算を発表した。累計の売上高は前年同期比1.1%減の3兆1742億円、営業利益は1.9%減の7438億円で、減収減益となった。

 第3四半期では、LTEサービス「Xi(クロッシィ)」の販売が加速。Xi対応スマートフォンが加入者増を後押しした。すでに通期目標だった130万契約を超える140万契約を達成しており(27日時点)、新たに目標を200万契約に上方修正する。同社は他社との差別化の軸にXiを据える戦略で、料金施策やエリア拡大の前倒しなどを通じて、取り組みをさらに強化していく考えだ。

 なお同社は決算会見の前に、相次いで発生した通信障害への対策を発表している(詳細記事:「スマートフォン5000万台に耐えうるネットワークを――ドコモが対策を説明」)。

Xiスマートフォンは第3四半期で40万契約

photo ドコモの山田隆持社長

 キャリアによるスマートフォン販売の推進により、今や「店頭でお客様がまずはじめにスマートフォンを手に取る時代」になった――。

 ドコモの山田隆持社長は決算会見で、端末販売の現状をこう表現した。同社はスマートフォンの通期販売目標を850万台としており、第3四半期末時点での累計販売台数は553万台と順調に増加している。特にクリスマス商戦に合わせて新機種を投入した12月は、同社初の“単月で100万台突破”を記録するなど好調だった。会見があった1月27日時点では、累計620万台を突破したという。

 また山田氏は第3四半期のトピックとして、初投入したXiスマートフォンの実績に触れた。12月末時点でのXiの契約数は114万で、四半期単独で約75万契約を獲得した計算になるが、このうち40万契約はXiスマートフォンによるものだ。同社は11月末から12月中旬にかけ、「GALAXY S II LTE SC-03D」「Optimus LTE L-01D」「ARROWS X LTE F-05D」の3機種を発売している。


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 また、Xiスマートフォンの発売とともに開始した、ドコモユーザー同士の通話無料プラン「Xiトーク24」も好評で、Xi総合プラン契約者の約8割がXiトーク24に加入しているという。

 第4四半期は新モデル「MEDIAS LTE N-04D」に加え、データ端末2モデルを新たに投入し、目標の200万契約を追いかける。また、Xiを2回線持った場合の月額料金を大幅に割り引く「Xi2(クロッシィクロッシィ)割」を3月から、既存の値引きキャンペーンに替わる「Xiスタートキャンペーン2」を5月から展開し、Xiへの移行を促していく。

 さらに、Xiの2012年度末の人口カバー率目標を60%から70%に増やすこともアナウンスされた。サービスの高速化も進め、2012年度の中頃には下り最大100Mbpsへの対応を一部で開始する予定となっている。

「多種多様になってきた」モバイル業界で、ドコモが重視すること

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 総合ARPUの減少は続いているが、パケットARPUは前年同期比5.9%増(2690円)と堅調に増加。また、山田氏は今回、パケット収入が9.5%増(4652億円)とARPUより高い水準で増えたことを強調した。

 1契約あたりの平均利用料金であるARPUは、キャリアの成長を図る指標の1つとして注目されてきた。しかし、データ中心のタブレット端末や通信料の安いゲーム機など、回線を提供する機器が「多種多様になってきた」ことで、それらの利用料の平均値は成長の実態と必ずしも一致しなくなってきたことを、山田氏は指摘する。同社は今後、ARPUに加え「実際に業績に効いてくる」(山田氏)というパケット収入増の水準を重視する考えだ。

 同社がパケット収入に並び重要視する解約率に関しても、山田氏は視点を変えて説明した。同社の解約率は、第2四半期が0.50%だったのに対し、第3四半期は0.59%と悪化。ソフトバンクモバイルに加えKDDIも販売を開始したiPhoneへの顧客流出が影響していることを、山田氏は認める。

 一方で、「ポートイン(他社からの転入)も結構取れている。12月は前月の1.7倍程度が取れた」とも山田氏は説明。Xiスマートフォンの発売などが転入に寄与したとし、今後は「ポートアウトはしてほしくないが、ポートインを増やす施策もしていきたい」と、転入施策を従来より重視していく姿勢を見せた。例えば、番号ポータビリティを行うユーザー向けに奨励金を積み増すなどして、転入増加を目指すという。

 ユーザーの獲得競争に関しては、KDDIが固定とモバイル回線のセットによる割引プランを新たに用意し、攻勢をかけている。これに関連して山田氏は「固定との融合ができればそれにこしたことはない」とコメント。しかし、「我々の場合はNTT東西とやることになるだろうが、それは難しい」と、NTT法が壁になっている現状を説明した。同社としてはXiを差別化の軸ととらえ、対抗していく方針だ。また、ブランドとのコラボレーションなどによる端末の付加価値向上にも注力。こうした施策で、値下げによる「泥沼競争」(山田氏)を避けたいという。

「音声エージェントサービス」の提供も予定

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 第3四半期は、スマートフォン向け新サービスとして、ポータルサイト「dメニュー」や直営コンテンツマーケット「dマーケット」の提供を開始。3月からは、フィーチャーフォン向けに提供してきた「iコンシェル」、電話帳に加えスケジュールなどの各種データをバックアップする「ケータイデータお預かりサービス」を提供予定だ。

 さらに、ドコモでは今後「ネットワーク上に情報処理機能を設ける」(山田氏)サービスを増やしていきたいという。その1つとして同社は、「音声エージェントサービス」の提供を予定している。ユーザーが話しかけることで端末を操作できるサービスで、iPhoneの「Siri」と同類の機能だ。クラウド上に音声認識や意図解釈などのエンジンを設け、これらを端末と連携させることでサービスを実現する。

 このほか、12月からトライアル提供しているクラウドストレージサービス「メモリーコレクション」の本格提供や、スマートフォン向け放送サービス「NOTTV(ノッティービー)」などの提供を、今後の取り組みとして紹介。また、M2Mの施策として山田氏は、「PlayStation Vita」に採用された128Kbpsの低速通信サービスにも触れ、今後も電気自動車や電子書籍といった新たな対象に回線を提供していきたいと語った。

photo このほか、災害対策として進めてきた大ゾーン基地局の設置がほぼ完了したことなども会見では紹介された

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